南城市の聖地近くにヴィラ計画 大城憲幸市長に署名、観光が嫌われる理由

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南城市の聖地近くにヴィラ計画 大城憲幸市長に署名、観光が嫌われる理由

沖縄県南城市の聖地ヤハラヅカサ近くで、インフィニティープール付きヴィラ6棟の建設計画が進み、市民団体が2026年10月23日、大城憲幸市長に反対の署名2万8240人分を提出しました。市は2026年3月に開発許可を出しており、法的な問題はないとされています。ただ、沖縄県の観光収入は2025年度に過去最高の1兆747億円となった一方、2018年の県民意識調査では、観光が発展すれば生活も豊かになると思う人は29.1%にとどまりました。法律に合っていても住民が納得しない開発が、観光業が嫌われる理由になっていないか。

南城市の聖地近くにヴィラ6棟 2万8240人の署名が市長に提出


沖縄県南城市玉城百名で、2階建てのインフィニティープール付きヴィラ(宿泊施設)6棟を建てる計画が進んでいます。開発予定地は約1170平方メートルで、琉球の創世神アマミキヨが久高島に次いで沖縄本島に降りた場所とされる、南城市指定有形民俗文化財の「ヤハラヅカサ」など、複数の聖地に近い場所です。この計画に反対する市民団体「薮薩ノ浦原(やぶさつのうらばる)を未来へつなぐ会」は、2026年10月23日、南城市のヴィラ計画の再検討を求め、5月から集めた署名2万8240人分を大城憲幸氏(南城市長)に提出しました。

団体は、市内各地の文化財や自然環境を守る取り組みも市に求めており、今後も署名活動を続けるとしています。一方で、市は2026年3月に、この計画へ開発許可を出しています。予定地は市の都市計画上、ホテルや旅館を建てられる場所です。市の条例で景観を守る「風致(ふうち)地区」に指定されていますが、建物の高さなどの条件を満たせば法的な問題はないと説明されています。

聖地のすぐそばにプール付きのヴィラができると聞いて、驚きました。法律に触れなくても、これは違うと思います。

今回の件は、南城市だけの問題ではありません。観光客を呼び込むための開発が、地元の気持ちを置き去りにして進んでしまう。その積み重ねが観光業が嫌われる理由になっていないでしょうか。この記事では、この問いを数字も交えて考えます。

観光収入は過去最高でも 暮らしの豊かさは実感しにくい


沖縄県の発表によると、2025年度の観光収入は1兆747億円でした。前の年度より9.4%増え、過去最高です。入域観光客数は1093万5300人にのぼります。数字だけを見れば、観光は沖縄を支える大きな産業と言えます。

ところが、住民の生活実感を調べた調査では、異なる結果が出ています。県が2018年に行った県民意識調査では、観光が沖縄の発展に重要な役割を果たしていると「思う」人が84.4%に達しました。しかし、観光が発展すれば自分の生活も豊かになると「思う」人は29.1%にとどまり、「思わない」の37.1%を下回りました。観光は大切だが、自分の暮らしは良くならないという結果でした。

2025年度の観光客一人あたりの県内消費額は9万8281円で、前の年度より0.4%減っています。観光客の数は増えても、一人あたりの消費額は増えていません。

ホテルは増える一方なのに、観光客が増えても県民の暮らしは楽にならない。誰のための観光なのでしょうか。

観光客が増えれば、ごみ、渋滞、騒音といった負担が地域に及ぶことがあります。恩恵が見えにくいのに、負担だけは目に見える。これでは、住民が観光に冷ややかになるのも無理はありません。

狭い道をレンタカーが走り回って、地元の人は買い物に行くのも一苦労です。

法律に問題がなくても 聖地の近くという事実は消えません


市の説明どおり、今回の計画は、法的には問題がないとされています。しかし、法律に違反していなければ何を建ててもよい、という考え方だけでは、住民の納得は得られません。ヤハラヅカサは、1994年2月23日に南城市の有形民俗文化財に指定された場所で、アマミキヨが降りた地とされる伝承があります。南城市には世界遺産の斎場御嶽もあり、先人が守り続けてきた聖地を大切にしてきた土地柄です。

地元の百名区は、2026年5月に「開発すべきではない」という立場だと報じられています。計画の再検討を求める署名ページでは、観光振興そのものに反対しているわけではないと明記したうえで、住民への説明や意見交換、文化財や景観、自然環境への影響の調査結果の公開を求めています。地下水や、サンゴ礁、モズクの養殖場への影響を心配する声も書かれています。

許可を出す前に、地元の人たちともっと話し合ってほしかったです。守るものを決めてから、開発を考えるべきではないでしょうか。

観光が好かれる産業であるために必要なこと


観光そのものが悪いわけではありません。観光で生活を支えている人も大勢います。大切なのは、地域の文化や自然を守りながら、住民が恩恵を実感できる形で進めることです。そのために、少なくとも次の三つが必要だと考えます。

一つ目は、開発の前に住民へ丁寧に説明し、影響の調査結果を公開することです。二つ目は、聖地や文化財の周辺では、風致地区の基準を見直し、建てられる施設の種類や高さをより厳しくすることです。三つ目は、観光で得た収益を住民に見える形で還元することです。

沖縄県では、2027年2月1日の宿泊から、宿泊税が始まります。宿泊料金の2%で、1人1泊の上限は2000円です。県は目的として、観光による弊害の防止や、自然と文化を次の世代へ引き継ぐことなどを挙げています。宿泊税の使い道は、数字で成果を示し、住民が確認できる形で報告してほしいものです。

観光で稼ぐのは自由でも、守るべきものを壊してしまえば、観光地としての魅力もなくなります。

先人から受け継いだ文化や自然は、一度失えば取り戻せません。南城市が2万8240人分の声にどう向き合うのかは、観光と住民の暮らしの両立を考えるうえで、全国の自治体にとっても参考になる事例です。

まとめ


  • 2026年10月23日、市民団体が大城憲幸南城市長に、計画の再検討を求める署名2万8240人分を提出
  • 計画は聖地ヤハラヅカサなどに近い約1170平方メートルにヴィラ6棟で、市は2026年3月に開発許可
  • 2025年度の観光収入は1兆747億円で過去最高だが、2018年の県民意識調査で生活が豊かになると思う人は29.1%
  • 法的に問題がなくても、住民への説明と影響調査の公開、聖地周辺のルール見直しが必要
  • 沖縄県の宿泊税は2027年2月1日の宿泊から開始、使い道の報告が求められる

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2026-10-25 12:06:59(内間)

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