2026-10-19 コメント: 1件 ▼
沖縄県庁職員を名乗る人物が国会前で政権批判 地方公務員法第36条を問う
2026年10月19日、東京の国会正門前の集会で、沖縄県庁の職員を名乗る人物が「今の政府のために働きたくありません」と訴えたとSNSで紹介されました。この発言は地方公務員法第36条に触れないのか、厳しい処分が必要ではないのかという疑問を呼んでいます。条文を確認すると、制限の対象は政治的目的と条文に挙げた行為の両方がそろった場合で、デモ参加や発言そのものは明記されておらず、自治体の区域外のただし書きもあります。それでも憲法第15条第2項の全体の奉仕者という原則に照らせば、公務員の政治的中立への疑問は残ります。沖縄県には事実確認と県民への説明が求められます。
国会前で訴えた沖縄県庁の職員を名乗る人物の発言
2026年10月19日、東京の国会正門前で開かれた集会「国会正門前大行動」で、沖縄県庁の職員を名乗る人物がスピーチを行ったと、SNSで紹介されています。投稿によると、この人物は「今の政府のために働きたくありません」「私たち公務員は全体の奉仕者。高市政権の、自民党のための組織ではありません」と訴えました。さらに「誰かの権利や自由を奪う法律を、国の安全のためと説明したくありません」と述べ、「政治に関心を持ってください」と呼びかけたということです。
この発言は、高市早苗氏(首相)の政権を名指しして反対する内容です。現時点では、集会の主催者の発信や報道機関による詳しい報道、発言者の身分、沖縄県の対応は確認できていません。そのため、この記事ではSNSで伝えられている発言を前提に、公務員のあり方という一般的な問題として整理します。
発言を受けた疑問の声として、次のような意見が挙がっています。
「県民の税金で働く県庁の職員が、政権への反対を国会前で訴えるのは違和感があります。」
「デモに出る自由はあっても、県庁職員を名乗るなら中立の立場を忘れないでほしいです。」
地方公務員法第36条は何を禁じているのか
ここで確認したいのが、地方公務員法第36条です。第1項は、職員が政党その他の政治的団体の結成に関わったり、その役員になったりすることを禁じています。第2項は、職員が「特定の政党その他の政治的団体又は特定の内閣若しくは地方公共団体の執行機関を支持し、又はこれに反対する目的をもつて」、あるいは「公の選挙又は投票において特定の人又は事件を支持し、又はこれに反対する目的をもつて」、次の行為をしてはならないと定めています。
その行為とは、1つ目が選挙や投票で投票するように、またはしないように勧誘運動をすること、2つ目が署名運動を企画し、または主宰するなど積極的に関わることです。3つ目は寄附金その他の金品の募集に関わること、4つ目は文書や図画を庁舎や施設に掲示したり、庁舎・施設・資材・資金を利用したりすることです。5つ目は、条例で定める政治的行為となっています。
大切なのは、制限の対象が「政治的な目的」と「条文に挙げられた行為」の両方がそろった場合に限られる点です。衆議院のウェブサイトに掲載された資料も、「政治的目的」をもってする「政治的行為」に限り制限の対象になると整理しています。そのうえで、個別の行為が当てはまるかどうかは、行為の態様や状況などを考慮して、個別具体的に判断するとしています。
デモへの参加や集会での発言そのものは、第1号から第4号には書かれていません。伝えられている範囲では、投票の勧誘や署名集めを行った事実も確認できません。第5号の条例についても、沖縄県にどのような条例があるのかは確認できていません。
さらに、第2項のただし書きは、職員が属する自治体の区域の外であれば、第1号から第3号と第5号の行為を行えると定めています。国会正門前は東京にあり、沖縄県の区域の外です。このため、第36条だけを根拠に「違反に当たる」と断定することはできません。「厳罰に処せ」と言い切る前に、条文の読み方を正確に押さえる必要があります。
「全体の奉仕者」を盾にする姿勢への疑問
憲法第15条第2項は、「すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない」と定めています。地方公務員法第30条も、職員は「全体の奉仕者として公共の利益のために勤務し、且つ、職務の遂行に当つては、全力を挙げてこれに専念しなければならない」と定めています。全体の奉仕者とは、特定の政権や政党の味方にも敵にもならず、どの政権のもとでも住民全体のために公平に仕事をするという考え方です。
ところが、今回伝えられた発言は、この言葉を理由にして、特定の内閣である高市氏の政権への反対を公の場で訴える内容です。「今の政府のために働きたくありません」という言葉は、政権への好き嫌いで仕事への向き合い方を語るものです。私は、住民全体に公平に奉仕するという原則と相いれないと考えます。県庁の職員の給与は県民の税金でまかなわれています。「全体の奉仕者」を自分の主張の理由に使うことは、本来の意味とは逆の使い方だと言わざるを得ません。
もちろん、一人の市民が集会に参加し、意見を述べる自由は憲法で保障されています。しかし、公務員が県庁の職員という立場を明らかにして政権批判を訴えれば、個人の意見にとどまらず、県庁全体の政治的中立への信頼に関わります。地方公務員法第33条は、職員は「その職の信用を傷つけ、又は職員の職全体の不名誉となるような行為」をしてはならないと定めています。今回の行動がこれに当たるかどうかは、事実関係を確認したうえで判断すべきですが、問われうる論点だと考えます。
こうした点について、次のような意見も挙がっています。
「政権が変わるたびに、この人は仕事を同じように進めてくれるのか不安になります。」
「全体の奉仕者という言葉を、自分の主張の理由に使うのは筋が違う気がします。」
「県は本人確認と事実確認をして、県民にきちんと説明してほしいです。」
沖縄県に求められる事実確認と説明
まず必要なのは、事実確認と県民への説明です。発言した人物は本当に沖縄県の職員なのか、所属や役職は何か、休暇中や勤務時間外の行動だったのかを確かめなければなりません。庁舎や公用の資材、資金を使っていないかも確認の対象になります。県は発言内容について、どのように受け止めているのかを明らかにする責任があります。
懲戒については、地方公務員法第29条が、法律や条例に違反した場合、職務上の義務に違反した場合、そして「全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあつた場合」に、戒告、減給、停職または免職の処分ができると定めています。どの規定に当たるかは、事実を確かめたうえで、任命権者である県が判断することです。法令に反する事実が認められた場合には、あいまいにせず、厳正に対処することが県民の信頼を守る道です。
一方で、法令に反しないとされた場合でも、県民への説明は欠かせません。行政の姿勢が政権によって左右されないことは、公務への信頼の土台です。「政治に関心を持ってください」という呼びかけは大切ですが、それは公務員が中立を守ったうえで、住民一人ひとりが考えることです。今回の発言をきっかけに、沖縄県だけでなく全国の自治体が、職員の政治的中立のあり方を改めて見直すべきではないでしょうか。
まとめ
- 2026年10月19日、国会正門前で沖縄県庁の職員を名乗る人物が政権批判を訴えたとSNSで紹介されています
- 地方公務員法第36条第2項は、政治的目的と条文に挙げた行為の両方がそろった場合を制限しています
- デモ参加や発言は第1号から第4号に明記されず、区域外のただし書きもあるため、第36条だけで違反と断定はできません
- 憲法第15条第2項と地方公務員法第30条・第33条に照らし、政治的中立への疑問は残ります
- 沖縄県は事実確認を行い、県民に説明したうえで、法令違反が認められれば厳正に対処すべきです
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