2026-10-23 コメント投稿する ▼
チームみらい、デジタル庁にAIサイバー攻撃対策の緊急提言を提出
2026年10月23日、政治団体「チームみらい」がデジタル庁の古川俊治大臣に対し、「AI時代のサイバー攻撃と相次ぐ情報漏洩から国民を守るための緊急提言ー『AIにはAIを』で守りを固めるー」(略称:AIサイバー対策緊急提言)を提出しました。 事業者に対しては、安全への責任を求め、脆弱性対策を継続的に促す制度設計が盛り込まれています。
深刻化するAI時代のサイバー脅威
AI技術の進化は、サイバー攻撃の能力を飛躍的に向上させ、専門知識を持たない者でも高度な攻撃を仕掛けられる状況を生み出しています。実際に公表されている情報漏洩やサイバー攻撃の事案は氷山の一角に過ぎず、AIによって高められた攻撃能力が時間差で拡散する可能性が指摘されています。今後は、電力や水道といったライフラインの停止を伴う大規模な被害も現実的な脅威として認識しなければなりません。
チームみらいは、情報漏洩の当事者やセキュリティ専門家、事業者への大規模なインタビュー調査を実施し、その結果を踏まえて今回の提言を取りまとめました。これは、机上の空論ではない、現場の声に基づいた対策を求める姿勢を示すものです。
国家としての防御力強化と攻撃実態の把握
提言の第一の柱は、国家全体のサイバー防御力を底上げすることです。AIを防御に活用できる体制を早急に整備するため、最先端のAIモデルへのアクセス権確保や、オープンウェイトモデルの検証環境・計算資源の国による提供が求められています。また、機密情報を国外に送らずに利用できる国産サイバーセキュリティAIモデルの開発支援も、安全性検証と一体で進めるべきだと強調しています。さらに、国家サイバー統括室やデジタル庁、IPA(情報処理推進機構)、AISI(AI戦略実行会議)といった公的機関のサイバーセキュリティ専門人材を、報酬や勤務形態を見直すことで大幅に増強することも提言されています。
次に、攻撃の実態を正確に把握し、その教訓を次の防御に生かすための仕組み作りが重要視されています。AISIなどによるAIのサイバー攻撃能力評価や、未報告・未検知事案を含む被害の実態調査を継続的に行い、攻撃手法や原因の全体像を把握することを目指します。特に重大事案については、国が権限を持って原因と再発防止策を調査する「サイバー版事故調査委員会」の創設を提案し、その教訓を今後の対策に反映させることで、同様の事態を未然に防ぐ体制の構築を訴えています。
事業者への責任と支援の明確化
大規模なサイバー攻撃が発生した際に、国が緊急的に対応できる枠組みの創設も提言の重要な要素です。自律的に動作するAIが攻撃を行う事態も想定し、緊急対処事態などの現行制度の適用関係や、事態認定に至らない場合の国の対応を明確化する必要があると指摘しています。重大事案においては、期間と対象を限定して、国が事業者に対して必要な措置の指示、規制の時限的特例、専門人材の派遣などを行える仕組みを設けることを提案しています。また、平時からの事業継続計画(BCP)策定支援と実動訓練の実施も不可欠とされています。
事業者に対しては、安全への責任を求め、脆弱性対策を継続的に促す制度設計が盛り込まれています。ソフトウェアやクラウド、AIを提供する事業者に対し、安全な設計と脆弱性対応の責任を政府調達の要件とすることから始め、段階的に求めるとしています。特に、中小企業に対しては、無償の脆弱性診断機会やAIによる脆弱性発見・修正に使える「補助トークン」などの具体的な支援を提供し、セキュリティ投資を行う企業への税制優遇や公共調達での優遇も提案しています。さらに、多要素認証や脆弱性検査の義務化、取締役の責任明確化、上場企業へのCISO(最高情報セキュリティ責任者)設置の努力義務化を通じて、企業全体のセキュリティ意識と対策レベルの向上を図ります。
個人情報保護と被害者救済の強化
提言の最後の柱は、個人情報の過剰な保持を抑制し、漏洩時の被害を軽減すること、そして漏洩後の被害者を包括的に支える仕組みを整備することです。マイナンバーカードの公的個人認証(JPKI)を本人確認の標準とすることで、事業者が収集・保存する個人情報の種類を減らすことを目指します。また、必要な情報だけを伝える属性限定開示の推進や、秘密計算などのプライバシー強化技術(PETs)の研究開発を推進し、データを暗号化したまま利用できる範囲を広げることで、安全性を高める方策が示されています。
情報漏洩被害者に対しては、消費者ホットライン188の相談体制強化やAIによる相談窓口の充実を求め、二次被害の防止に注力しています。具体的には、本人の申告に基づき全ての信用情報機関にワンストップで登録でき、新規与信を保留する「無償の信用凍結制度」の創設が検討されています。さらに、被害者救済の実効性を高めるため、法定損害賠償制度とオプトアウト型集団訴訟の導入を検討することも含まれています。これらの施策は、デジタル社会で安心して生活できる環境を整備するための喫緊の課題として、政府への早急な検討と実施が強く求められています。
まとめ
- チームみらいが2026年10月23日、デジタル庁の古川俊治大臣に「AIサイバー対策緊急提言」を提出した。
- 提言は、AIの進化によるサイバー攻撃の高度化と情報漏洩の深刻化に対応するため、7つの柱から構成される。
- 主な提言内容は、AI活用と人材増強による国の防御力底上げ、攻撃実態の把握とサイバー版事故調査委員会の創設、大規模サイバー攻撃への国の緊急対応枠組み構築が含まれる。
- 事業者に対しては、安全責任の制度化、中小企業支援(無償診断、補助トークン)、多要素認証・脆弱性検査の義務化、取締役の責任明確化を求める。
- 個人情報保護については、マイナンバーカードのJPKI標準化、属性限定開示、プライバシー強化技術の推進が挙げられる。
- 情報漏洩後の被害者支援として、相談体制強化、無償の信用凍結制度、法定損害賠償制度とオプトアウト型集団訴訟の導入検討が盛り込まれている。
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