神戸市の久元喜造市長は10日、定例記者会見で、神戸空港が18日から国際チャーター便を迎えることについて、「経済効果はもちろん、市民生活や学術分野にも良い影響がある」と期待を込めて語った。
会見では新型コロナウイルス対応の振り返りもあり、感染拡大から5年という節目での制度見直しの必要性にも言及。特に緊急時に政令市が直接国と連携できるような仕組みが必要だと訴えた。
空港の国際化、市民生活にもプラス
神戸空港の国際チャーター便は、まず韓国・台湾・ベトナムの路線からスタートする。久元市長は「これまで関西国際空港や伊丹空港を経由していた人たちが、より近い神戸空港から直接海外へ行けるようになる。これが神戸の都市としての魅力にもつながる」と強調した。
空港利用者の増加によって懸念されるのが、ポートライナーの混雑だ。これについて市は、朝夕のラッシュ時に便数を増やすほか、バスへの振り替えや手荷物配送サービスの導入も進めている。市民や観光客がストレスなく空港を利用できるよう、交通面での対策を急ぐ構えだ。
経済効果は年間100億円超と試算
ひょうご経済研究所の試算では、国際化に伴う経済波及効果は年間104億円にのぼるとされている。訪日外国人観光客の増加はもちろん、ビジネスや学術分野での交流も活発化が見込まれる。
また、神戸市はこれを機に市内の魅力をさらに磨くため、観光インフラやサービスの強化も検討している。市内中心部での手荷物預かりや多言語対応など、インバウンド対応にも力を入れる方針だ。
関空との調整課題も
一方で、関西国際空港を擁する大阪府や泉佐野市からは「空港機能の分散は望ましくない」との声もある。大阪の吉村洋文知事は「関空ファースト」の姿勢を貫いており、神戸空港の国際化には慎重な立場を取っている。
この点について神戸市は、「関空と競合するものではなく、関西全体の利便性を高める取り組み」と説明しており、今後も関係自治体との調整が続く見通しだ。
市長選や今後の展望
また、久元市長は10月に予定されている神戸市長選への対応について問われると、「まだ目の前の仕事に集中しており、今は考える余裕がない」と述べ、去就については明言を避けた。
神戸空港の国際化は、単なる交通インフラの拡充にとどまらず、神戸市全体の再活性化に向けた大きな一歩となる。今後の展開が地域にどのような影響を及ぼすのか、市民の関心も高まりそうだ。
・神戸空港、4月18日から国際チャーター便運航へ
・経済効果は年間104億円超、市民や学術分野にも波及効果
・混雑緩和へポートライナーの増便や手荷物サービス検討
・大阪府との空港機能の調整課題も