2026-09-28 コメント投稿する ▼
経済格差に負けない高校生の海外挑戦、滋賀がクラウドファンディングで支援
滋賀県と産官学が連携する「滋賀留学支援コンソーシアム」が推進する高校生向け海外留学支援プログラムで、2025年度限りで終了する国の交付金に代わる財源として、クラウドファンディングによる寄付募集が始まりました。目標額は600万円で、達成されれば新たに12人分の留学援助に充てることができるといいます。募集期間は2026年10月30日まで。プログラムは2023年度に始まり、これまで25カ国に計142人の高校生を送り出してきた実績を持ちます。円安・物価高が続くなか、家庭の経済状況に関わらず高校生が世界に飛び出せる仕組みを維持しようとする取り組みが注目されています。
公的補助の終了を越える、官民連携の新たな財源確保
滋賀県の産官学連携組織「滋賀留学支援コンソーシアム」は2026年8月末から、クラウドファンディングサイト「READYFOR(レディーフォー)」を通じて寄付の募集を始めました。目標額は600万円で、達成されれば12人分の高校生留学援助に充てられる計算だとしています。募集は2026年10月30日まで受け付けています。
同コンソーシアムが展開する「未来を描け!滋賀の海外留学応援プログラム」は、文部科学省主導の「トビタテ!留学JAPAN」制度の枠組みを活用して2023年度から始まりました。これまで国から交付される補助金を財源としてきましたが、この交付金が2025年度限りで終了することになり、翌年度以降の財源確保が課題となっていました。2025年度の支給額は約1740万円に上ります。交付金終了後も、コンソーシアムは企業からの寄付金と県費を積み増すことで2026年度の支援額を確保しており、留学期間が1カ月の場合、アジア圏なら1人あたり30万円、それ以外の地域では50万円を支給できる体制となっています。村井泰彦氏(滋賀県教育委員会教育長)は2026年8月の定例会見で「高校生の可能性が家庭の経済状況で狭められず、誰もが挑戦の一歩を踏み出せるよう環境を整えたい」と述べており、プログラム継続に向けた強い意欲を示しています。
探究型留学の3年間、25カ国142人が世界へ
同プログラムは語学習得だけを目的とする一般的な留学とは一線を画す「探究型留学」が特徴です。生徒自身が「解決したい社会課題」を設定し、その探究活動を現地で実践する仕組みで、農業・福祉・環境・教育など多様なテーマが選ばれてきました。2023年度の開始から現在までに、アジア・欧米・オセアニアなど25カ国に計142人の高校生が派遣されており、今後5年間で計300人の海外派遣を目標に掲げています。今回のクラウドファンディングは、その知名度向上と来年度以降の財源確保を兼ねた取り組みとして位置づけられています。
「家庭の収入で子どもの可能性が決まるのは悔しい。この制度があって本当によかった」
「税金に頼るだけじゃない。民間や市民が支える制度こそ、本当に続くものだと思います」
「うちの子も留学してから見違えるほど成長しました。もっと多くの子に機会を与えてほしい」
「選考があるからこそ意義がある。頑張る子をきちんと応援する仕組みを守り続けてほしい」
「600万円の目標を一緒に達成しよう。未来の日本を担う若者たちのために」
現在、アル・プラザ草津(草津市)など県内各地の商業施設でも、留学経験者の高校生たちがチラシを配りながらサポートを呼びかける活動が続いています。自身が制度の恩恵を受けた生徒たちが今度は後輩のためにPRの先頭に立つ姿は、学びの循環として多くの共感を集めています。円安・物価高が続くなか、海外での生活費や渡航費は年々膨らんでおり、経済的に余裕のない家庭にとっての留学ハードルは一段と高くなっています。
留学が変えた視野、生徒たちが語る海外体験の収穫
今夏に米国で約1カ月間の留学を終えた峯上橙生子さん(石山高校3年・17歳)は、農産物の直売所「ファーマーズマーケット」をテーマに現地で調査に取り組みました。「興味ある分野への理解が深まっただけでなく、ムスリムの友人ができるなど異文化に触れ、毎日のように新しい発見がありました。日本の良さも客観的に見えるようになった」と振り返ります。同プログラムで出会った滋賀の仲間からも刺激を受け、自身の大きな成長を実感したといいます。
一方、現在約1カ月間ニュージーランドで野外教育について学んでいる西森芽吹さん(守山高校2年・17歳)は、「このプログラムがなければ、物価高と円安を考えると留学を決断できなかった」と明かしました。金銭的な後押しがあったからこそ踏み出せた海外挑戦であり、「現地ではインタビューなどにも積極的にチャレンジしたい。将来は教師になって、ここで得たものを滋賀に還元したい」と意気込んでいます。留学が生徒の将来の夢と地域貢献への意欲を同時に育んでいることが、二人の言葉からうかがえます。
税への依存から自立へ、成果の見える化で支持を守る
今回の取り組みで注目されるのは、国の交付金という「上から降りてくる財源」に頼り続けることなく、企業・自治体・市民が自発的に支える体制へと転換を図っている点です。税を財源とする補助金が整理されることは財政の観点から一定の意味があります。だからこそ、今後も県費が投入され続ける以上、どの生徒が支援を受けるかという選考の透明性と、留学後の成果の把握が欠かせません。単に「何人派遣したか」という数字だけでなく、帰国後の探究成果が地域や社会に具体的にどう還元されているかを記録・発信し続けることが、継続的な支持者の共感を生む基盤となります。制度の持続性は、支援を受けた若者たちが「何をもって恩返しするか」にもかかっています。
まとめ
- 滋賀留学支援コンソーシアムが2026年8月末にREADYFORでクラウドファンディング開始、目標600万円(2026年10月30日まで)
- 2025年度で国の交付金(約1740万円)が終了。企業寄付・県費・クラウドファンディングで財源を多様化
- 「未来を描け!滋賀の海外留学応援プログラム」は2023年度から開始、25カ国142人が参加
- 留学支援額は1カ月ならアジア30万円、それ以外50万円(従来と同水準を維持)
- 今後5年で300人派遣が目標。円安・物価高のなか、経済格差による機会損失を防ぐ狙い