2025年3月に開催された核兵器禁止条約(TPNW)第3回締約国会議を受けて、日本共産党の吉良よし子参院議員と笠井亮前衆院議員は、4月11日に東京都内のカザフスタン大使館を訪問し、駐日大使バウダルベック・コジャタエフ・イェルラン氏と懇談した。この会談は、核兵器廃絶に向けた国際的な連携を強化する一環として行われた。
懇談の主な内容
- 吉良・笠井両議員は、TPNW会議の議長を務めたカザフスタンのアカン・ラフメトゥリン外務第1次官に宛てた要請文を大使に手渡し、会議での有意義な議論への謝意を伝えた。
- 日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)の濱住治郎事務局長代行が会議の冒頭でスピーチを行ったことについて、両議員は大使の協力に感謝の意を表した。
- バウダルベック大使は、被団協のスピーチ実現に向けた自身の働きかけが功を奏したことに触れ、「実現できてありがたい」と述べた。
カザフスタンの役割と今後の展望
カザフスタンは、かつてソビエト連邦時代にセミパラチンスク核実験場で多数の核実験が行われた被害国であり、核兵器廃絶に向けた国際的な取り組みに積極的に関与している。今回のTPNW会議では、「核抑止」論を乗り越え、被爆者や核実験被害者への支援を具体化する上で重要な役割を果たした。
吉良議員は、被爆80年を迎える今夏、さらに来春の核不拡散条約(NPT)再検討会議、11月末からのTPNW再検討会議に向けて、引き続き協力を要請した。これに対し、バウダルベック大使は「世界から核兵器を廃絶するために力を合わせていきたい」と応じた。
今後の課題と国際社会の動向
TPNWは、核兵器の完全な廃絶を目指す国際条約であり、2021年1月に発効した。しかし、核保有国や日本を含む一部の国々は未だに署名・批准しておらず、条約の普遍化には課題が残る。今後のNPT再検討会議やTPNW再検討会議では、核兵器廃絶に向けた具体的な行動計画や被爆者・核実験被害者への支援策が議論される見通しである。
日本は、唯一の戦争被爆国として、核兵器廃絶に向けた国際的な取り組みに積極的に関与する責務がある。被爆者の声を国際社会に届けるとともに、核兵器禁止条約への参加を含めた具体的な行動が求められている。
今回の懇談は、核兵器廃絶に向けた国際的な連携を強化する重要な一歩となった。今後も、被爆者や核実験被害者の声を反映した政策の実現に向けて、国際社会の協力が期待される。