「この国会の終盤は、大政局になりますよ」――。
国民民主党の榛葉賀津也幹事長が、そんな予測を語ったのは4日夜、櫻井よしこ氏が司会を務めるインターネット番組「言論テレビ」だった。番組内で榛葉氏は、最大野党・立憲民主党が近く石破茂内閣への不信任案を提出すると見通しを語り、「野党にとって正念場だ」と強調。さらに、同党代表・玉木雄一郎氏の首相就任にも意欲をにじませた。
石破首相の外交姿勢に痛烈な一言
対談では、石破首相の外交対応、とりわけトランプ米大統領による追加関税措置への向き合い方にも批判の矛先が向けられた。
榛葉氏は、「何も手を打っていない。『積み上げで交渉している』『岩屋毅外相に任せている』って、トランプ氏はトップダウン型ですよ?役所任せの積み上げで通じる相手じゃない」と切り捨てた。
さらに、トランプ氏が安倍元首相の名前を出した点にも触れ、「シンゾー・アベとの約束を思い出させるぐらいの気迫で交渉すべきだった。電話でもいい、直接会いに行ってもいい。『あなたの親友だった安倍との約束を破るのか』ぐらい言ってほしい」と語り、首相の交渉姿勢に物足りなさを感じている様子だった。
不信任案、出さねば「逃げ」になる
番組の中で焦点となったのは、やはり内閣不信任案の行方だ。榛葉氏は、立憲民主党が不信任案を出すのは「当然の流れ」だと語った。
「政権交代を本気で目指すなら、石破さんのままダラダラやって、参院選で議席を少し増やせばいい、というのでは迫力がなさすぎる。不信任案を出さなければ、『やっぱり変える気なんてないじゃないか』と見られてしまう」と指摘した。
国民民主党がどう対応するかは「その時の状況による」としたが、「年収103万円の壁の見直しやガソリン税の抜本改革、手取りを増やす政策を本気で進めるなら、我々も考える」と含みを持たせた。
「玉木が一番いい」“表紙”に期待
「首相に誰がふさわしいと思いますか?」
櫻井氏の問いかけに、榛葉氏は間髪入れずに答えた。「玉木が一番いい」。その理由について、「ウソをつかない。真っ直ぐで、意地悪をしない男なんですよ」と話し、自身が飼っているヤギと重ねて「玉木とヤギの共通点はウソをつかないこと」と笑いながら語った。
選択的夫婦別姓や皇位継承の問題に関しては、「国柄や歴史を重んじる政治家だから心配はいらない」と語り、保守層にも受け入れられるリーダーだとアピールした。
「猛者たちよ、出てきてほしい」
榛葉氏は、今後の政局を「与党だけでなく、野党も巻き込む構造が必要だ」と強調。政権の顔を変えるだけでは不十分であり、「各党から政策実現に本気で挑む“猛者”が出てきてこそ、日本の政治は前に進む」と訴えた。
衆議院で過半数を失っている自民・公明両党に対しては、「早く現実を直視すべきだ。不信任案が通る前に自民党内で動きがあるべき」と述べ、与党の対応次第では衆院解散も視野に入ると指摘した。
国会の会期末が近づく中、永田町の空気はにわかに熱を帯び始めている。「玉木首相」誕生を視野に入れた榛葉氏の発言は、ただの“ヨイショ”ではなさそうだ。夏の参院選に向け、政界の主役が交代する可能性も現実味を帯びてきた。