2026-10-15 コメント投稿する ▼
共産党が「人間の自由」を重視した綱領改定を発表
田村智子委員長は記者会見で、「ソ連流の解釈を木っ端みじんに取り払った」と述べ、従来のソ連型共産主義との決別を強調しました。 改定案では「人間の自由をあらゆる意味で豊かに保障し開花させること」を社会主義・共産主義の最大の特徴・目的と位置づけています。 改定案では、社会主義・共産主義社会の最大の特徴であり、最終目的を「人間の自由をあらゆる意味で豊かに保障し開花させること」と明確に定義し直しました。
ソ連型共産主義との決別
共産党が今回提示した党綱領改定案の核心は、過去の「ソ連型」共産主義との決別を鮮明に打ち出した点です。田村委員長は、10月14日の記者会見で、改定案について「ソ連流の解釈を木っ端みじんに、残滓(ざんし)さえも取り払った」と強い自信を示しました。これは、社会主義・共産主義という思想が、かつてソビエト連邦などで採用された体制とは一線を画すものであることを内外にアピールする狙いがあると考えられます。
改定案では、社会主義・共産主義社会の最大の特徴であり、最終目的を「人間の自由をあらゆる意味で豊かに保障し開花させること」と明確に定義し直しました。そして、資本家が所有する工場や機械などの「生産手段の社会化」は、この「人間の自由」を実現するための「手段」と位置づけています。
この位置づけは、生産手段の国有化や集中管理そのものを最終目的とし、結果として抑圧的な体制へと陥ったソ連型の共産主義を明確に否定するものです。田村委員長は、科学的社会主義の創始者とされるカール・マルクスが資本主義社会の問題を徹底的に解明し、未来社会を展望したにもかかわらず、ロシア革命の指導者ウラジーミル・レーニンによってその解釈が歪められたと指摘しました。
「搾取をなくして人間が自由に発展していくという一番の輝きの所をそぎ落としてしまった」と田村氏は述べ、さらに「残念ながら、わが党の綱領もソ連の解釈に縛られていた」と過去の党の歴史的経緯を認めました。2004年に行われた綱領改定においても、その「縛り」を完全に断ち切ることができなかったと振り返っています。今回の改定は、過去の歴史的制約から完全に自由になるための決意表明とも言えるでしょう。
「人間の自由」を前面に
今回の綱領改定案が最も力を入れているのは、「人間の自由」という普遍的な価値を前面に押し出す点です。田村委員長は、改定案が「人間の自由ということを、とことん追求した未来社会論になる」と説明しました。搾取のない社会で得られる「自由な生活時間」を十分に確保するという理論は、党内で「衝撃も含めて大変受け止められた」と紹介されており、その訴求力の高さをうかがわせます。
特に、共産党は若い世代へのアピールを強化したい考えです。田村委員長は、現代の資本主義社会において「矛盾がいろんな所で現れている」と指摘しました。具体例として、若者が希望する仕事に就けず、「自分が傷つけられる、自己実現ができない」といった問題を挙げ、こうした課題に対して「人間の自由を開花させる」という未来社会像が、強い共感を呼ぶのではないかとの期待を語りました。
この「人間の自由」の実現に向けた具体的な方針も、大会決議案に盛り込まれています。その一つが、労働時間の短縮と大幅な賃上げを一体で進めるという方針です。田村委員長は、「労働時間の短縮を賃上げも一体にと。どっちかじゃない」と強調し、単なる労働条件の改善にとどまらない、生活全体の質の向上を目指す姿勢を示しました。
さらに、決議案には「性的搾取のない社会」の実現も明記されました。「性を『買う』ことを禁止し、『売る』側を非処罰化して支援対象とし、『売春防止法』は廃止を含めて抜本改正する」という具体的な方針が打ち出されており、これもまた、個人の尊厳と自由を守るという理念に基づいたものと言えるでしょう。こうした先進的な社会政策の提示は、特に若い世代の関心を集める可能性があります。
変わらぬ主張
一方で、共産党が「ソ連型」との決別を強調する一方で、安全保障政策に関する従来からの主張は、綱領改定案においても維持されています。具体的には、「自衛隊を国民の合意で解消すること」や「日米安全保障条約の廃棄」が引き続き盛り込まれました。
田村委員長は、これらの主張の根拠として、近年の国際情勢における「軍国主義の全面的復活」への強い懸念を表明しました。「戦争に進んでいくんじゃないかという危機感に正面から答える綱領になっている」と述べ、平和主義の立場を堅持する姿勢を強調しました。
これは、共産党がイデオロギー的な「ソ連流」の解釈からは脱却を図ろうとしているものの、冷戦終結後も一貫して掲げてきた外交・安全保障政策の基本路線は変えないという党の強い意志を示しています。しかし、「日米安保廃棄」や「自衛隊解消」といった主張が、今日の日本の安全保障環境や国民の安全保障観とどの程度合致するのか、また、改定された綱領の「人間の自由」という理念と、これらの主張がどのように結びつくのかについては、さらなる説明が求められるかもしれません。
党勢回復への期待と課題
田村委員長はこの綱領改定案を「21世紀に生きる綱領」であり、「一言で言えば、人間の賛歌と言えるのではないか」と自賛しました。この新しい綱領を武器に、国民に広く訴えかけ、長年にわたる党勢後退からの脱却を目指す考えを表明しました。
「人間の自由」という普遍的なテーマを前面に掲げ、現代社会が抱える矛盾や課題、特に若い世代が直面する困難に寄り添う姿勢を示すことで、これまで共産党に馴染みのなかった層へのアプローチを狙っていると考えられます。性的搾取の禁止といった具体的な社会政策の提示も、その一環と言えるでしょう。
しかし、共産党が長年抱える「ソ連型」という過去のイメージを完全に払拭できるかは未知数です。また、「日米安保廃棄」「自衛隊解消」といった、多くの国民が安全保障の根幹と考える政策への固執が、党のイメージ刷新や党勢拡大の足かせとなる可能性も否定できません。
「人間の自由」を旗印に掲げた新しい綱領が、具体的な政策や現実の政治課題とどのように結びつき、国民の支持を得ていくのか。共産党が目指す党勢回復への道は、多くの課題を抱えながらも、新たな局面を迎えたと言えるのではないでしょうか。
まとめ
- 共産党が党綱領を改定し、ソ連型共産主義との決別を強調。
- 「人間の自由」を最大の目的とし、若者層へのアピールを狙う。
- 日米安保条約の廃棄や自衛隊解消の主張は維持。
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