2026-10-13 コメント投稿する ▼
共産党綱領改定案「人間の自由開花」を掲げるも、皇室・少子化で揺らぐ実像
しかし、過去の表現の削除や、皇室、少子化問題への対応からは、党の思想的変遷と日本社会との根本的な隔たりが浮き彫りになっています。 志位議長は、この削除について「事実上、政治が結婚と出産を奨励することにつながる記述」との認識を示したとされています。
「自由開花」の意味とは
共産党は、第10回中央委員会総会(10中総)において、綱領の一部改定案を公表しました。その核心として掲げられたのは、「社会主義・共産主義の社会の最大の特徴・目的は、人間の自由をあらゆる意味で豊かに保障し開花させることにある」という新たな位置づけです。志位和夫議長はこの内容について、「マルクスの未来社会論の中心点、その輝きの核心部分を党綱領の規定に据えた」と自賛しています。この「自由開花」を実現するための具体的な手段として、労働時間の抜本的な短縮が強調されています。すべての人間が十分な自由な時間を持つことで、個々の能力を伸ばし、それが社会全体の発展につながる好循環を生み出す、というのが党の描く未来像のようです。生産手段の社会化はそのための条件であり、手段であるとされています。
過去との決別か、変質か
今回の改定案で注目すべきは、これまで共産党が旧ソ連や中国といった他の社会主義・共産主義国との違いを際立たせるために用いてきた表現が削除された点です。具体的には、「社会主義・共産主義の日本では、民主主義と自由の成果をはじめ、資本主義時代の価値ある成果のすべてが、受けつがれ、いっそう発展させられる」という一文が消えました。党側は、似た趣旨の記述が別の箇所にあるため整理したと説明していますが、この表現の削除は、共産党の思想的立ち位置の変化を示すものなのか、それとも単なる記述の整理に過ぎないのか、党外からは様々な憶測を呼ぶでしょう。保守的な立場から見れば、共産主義の理念が本来持つ、既存の社会システムや価値観を否定する本質が、改めて浮き彫りになったとも言えるかもしれません。
皇室・国家観の揺らぎ
皇室に関する記述も大きく変更されました。これまで憲法の天皇条項(第1章)について「形を変えて天皇制の存続を認めた」と記されていた部分が削除されたのです。志位議長は、この削除理由を「現行の天皇の制度が戦前の絶対主義的天皇性と連続性を持つかのような誤解を招く表現」だったためと説明しています。さらに、「このことを明瞭にしておくことは、日本の皇室が男系男子を貫いてきたことは2600年以上におよぶ歴史と伝統を踏まえてのものなどという、近代の天皇政府が作り上げた神話に基づく間違った議論がまことしやかに横行していることなどを考えても重要」とも訴えました。共産党が皇室の歴史的連続性や伝統を、近代国家が作り上げた「神話」と見なす姿勢は、日本の伝統や国体といった価値観を重んじる層からは、強い反発を招くことは避けられないでしょう。保守系メディアとしては、共産党の皇室に対する根本的な姿勢への疑念を深めざるを得ません。
少子化対策の削除
社会保障に関する項目では、「少子化傾向の克服に力をそそぐ」という文言が削除されました。志位議長は、この削除について「事実上、政治が結婚と出産を奨励することにつながる記述」との認識を示したとされています。代わりに新たに加えられたのは、「子どもを産むか産まないか、いつ、何人もつかを自分で決める権利、およびその土台となる健康を、すべての人が享受できる社会をつくる」という、女性の自己決定権を強調する記述です。党としては、個人の自由な選択を尊重する姿勢を明確にしたかったのでしょう。しかし、急速に進む少子化は、日本社会の持続可能性を脅かす喫緊の課題です。それを「政治が奨励することにつながる」として綱領から削除してしまう姿勢は、国家・社会全体の未来よりも個人の権利を優先する、共産主義ならではの価値観を示しているとも言えます。それは、少子化という現実的な問題への取り組み姿勢が後退したと捉えられかねません。事実、2003年の綱領改定の際には、当時の不破哲三議長が「女性の独立の人格を尊重することと同時に、社会の問題として、少子化の傾向を克服する問題に取り組むことは、当然のこと」と発言していたことと比べると、その変化は顕著です。志位議長は、人口減少社会への対応の根本は、一人ひとりの人権、個性、尊厳が尊重される社会づくりにあると述べましたが、それが具体的に少子化問題にどう結びつくのか、その道筋は必ずしも明確ではありません。
「民族」から「人民」へ
世界情勢に関する記述では、「民族の自決権」「民族自決」という言葉が、「人民の自決権」「人民自決」へと改められました。志位議長は、この変更の理由として、「民族と国民の範囲は一致しないことが多く、日本も複数の民族が共存する国家となっている」ことを挙げています。さらに、「差別と分断をあおる排外主義に反対する」という文言も追加されました。一見すると、多文化共生や多様性を尊重する現代的な姿勢を示すかのようにも見えます。しかし、保守的な視点からは、この「民族」から「人民」への移行が、国内の様々な集団間の対立を煽る、あるいは国際的な共産主義運動との連携を意識した動きではないか、という疑念も生じるでしょう。日本社会の安定や調和よりも、特定のイデオロギーに基づいた「人民」という括りを優先させることで、かえって国内の分断を深める可能性も否定できません。
今回の共産党の綱領改定案は、「人間の自由開花」という理想を掲げながらも、その実現方法や、日本社会の根幹に関わる事柄へのアプローチにおいて、依然として多くの課題と社会との乖離を抱えていることを示していると言えるでしょう。
まとめ
- 日本共産党が「人間の自由開花」を掲げた綱領改定案を発表。
- 過去の表現が削除され、思想的変遷が浮き彫りに。
- 皇室や少子化問題への対応が変化し、反発を招く可能性。
- 「民族」から「人民」への表現変更が分断の懸念を呼ぶ。
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