2026-04-23 コメント投稿する ▼
東京都で老木倒木が頻発、AI活用など安全対策の緊急点検進む
春の訪れとともに、東京都内で桜などの樹木が相次いで倒れる事故が発生しています。 しかし、近年では都市化の進展により、樹木が健全に育つための環境が変化していることも、倒木リスクを高める一因と考えられています。 お花見シーズンで賑わう千鳥ケ淵(千代田区)でも、ソメイヨシノが倒れる事故が発生し、JR矢川駅(国立市)付近でも同様の倒木が見つかるなど、被害は広範囲に及んでいます。
老朽化進む都市の樹木、見えぬリスク
都内各地で倒木が報告されているのは、樹齢が進んだ桜やヒマラヤスギなどの大木です。これらは、戦後の復興期に都市整備の一環として植えられたものが多く、70年近くが経過し、寿命に近い樹木が増えていると指摘されています。
一般的に、樹木の倒木は根や幹の劣化、あるいは台風や大雨といった気象条件によって引き起こされます。しかし、近年では都市化の進展により、樹木が健全に育つための環境が変化していることも、倒木リスクを高める一因と考えられています。
桜散る悲劇、砧公園・千鳥ケ淵で相次ぐ倒木事故
3月から4月にかけて、都立砧公園(世田谷区)では、樹齢50年以上と推定されるソメイヨシノやコナラなどが相次いで5本倒れました。3月7日には、高さ約16メートルのソメイヨシノが根元から倒れ、公園利用者の70代女性が負傷するという痛ましい事故が発生しました。
翌日には、さらに大きなヒマラヤスギが倒れ、駐車していた車2台が破損する被害も出ています。お花見シーズンで賑わう千鳥ケ淵(千代田区)でも、ソメイヨシノが倒れる事故が発生し、JR矢川駅(国立市)付近でも同様の倒木が見つかるなど、被害は広範囲に及んでいます。
AIと樹木医が連携、緊急点検の現場
こうした事態を受け、東京都は対策を急いでいます。砧公園では、約5千本の樹木の状態を樹木医が詳細に点検する緊急調査が開始されました。
さらに、職員がタブレット端末で撮影した樹木の画像データをAIが解析し、「至急の専門家確認」から「おおむね健全」まで4段階でリスクを評価するシステムも導入されました。これにより、従来は年1回程度の目視点検が中心だった体制から、より迅速かつ効率的な点検が可能になると期待されています。
千代田区でも、千鳥ケ淵を含む区管理の桜833本のうち、専門家が経過観察が必要と判断した258本を対象に、空洞や亀裂の有無などを詳しく調べています。
専門家が警告:樹齢と管理が鍵、倒木リスクの見極め方
日本樹木医会の副会長を務める和田博幸氏は、「樹齢40年、50年を超えた樹木は注意が必要」と警鐘を鳴らしています。同氏によると、倒木のリスクを高める要因として、樹木が本来持つべき根を張るスペースが限られていることや、過度な剪定が挙げられます。
「根がコンクリートなどに擦れて傷つくと、樹木は弱ってしまいます。また、枝葉を切りすぎると光合成で得られるエネルギーが減少し、木が衰弱し、結果として腐朽菌などの侵入を許してしまうのです」と和田氏は説明します。特に、幹の内部が腐朽している場合は、見た目だけでは判断が難しく、木づちで叩いて音で確認するなど、専門的な知識と技術が必要になるとのことです。
未来へ向けた計画的な樹木管理
倒木リスクへの対応は、個々の公園や自治体レベルでの計画的な取り組みも進められています。目黒区では、樹齢60年を超える桜が増加している状況を受け、「サクラ再生実行計画」に基づき、2015年度から計画的な伐採や植え替えを進めています。
区立公園など約2100本の桜を対象に、樹木医の診断結果に基づき、倒木のリスクが高いと判断された木は伐採されます。同時に、採光や風通しを考慮した剪定、固くなった土壌の改善など、樹木が健全に育つための環境整備も行われています。
将来的には、公園ごとの景観にも配慮した長期的な管理計画の策定と実行が不可欠です。老朽化した樹木の更新と、新たな緑化の推進を両立させていくことが求められています。