アメリカのトランプ大統領が打ち出した「相互関税」政策に、日本国内でも警戒感が広がっている。こうした動きを受けて、自民党の松山政司参院幹事長は4月8日の記者会見で、「給付や減税も含め、あらゆる選択肢を排除せずに対応することが重要だ」と述べ、減税の可能性に踏み込んだ発言を行った。
現在、石破茂首相(自民党総裁)は消費税の減税には否定的な姿勢を貫いているが、松山氏は「国民生活を守り抜くためには、前例にとらわれない大胆な政策が必要ではないか」と強調。政府・与党でしっかり議論を重ねていく方針を示した。
トランプ氏の強硬策、日本への影響は?
今回の「相互関税」は、アメリカが一方的に貿易不均衡を是正するためとして導入する新たな関税政策だ。対象国がアメリカに課している関税と同等、もしくはそれ以上の税率をアメリカ側も課すという内容で、日本に対しては、自動車などを中心に最大24%の関税が課される見通しとなっている。
これにより、自動車産業をはじめとする日本の主要輸出産業には大きな打撃が予想される。特に地域経済への影響は深刻で、トヨタやマツダといった自動車メーカーを抱える山口県の村岡嗣政知事も、「世界経済に大きな打撃を与える政策だ」と強く懸念を表明。県庁内に庁内連絡会議を設置し、関係各所と連携して対応にあたる方針を明らかにしている。
減税を巡る自民党内の温度差
松山氏の減税発言は、今後の政権内議論の流れを左右する可能性がある。とくに、物価高騰が続くなかで、生活支援策としての減税や給付金支給は、国民からも強い関心を集めている。だが、財政健全化を重視する首相の立場との隔たりも大きく、党内の意見調整は簡単ではない。
実際、石破首相は以前から「消費税の減税は一時的な景気刺激にはなっても、社会保障財源の安定性を損なう」と述べており、慎重な構えを崩していない。一方、松山氏の発言は、目先の危機への対応としての柔軟性を強調したもので、財政と国民生活のバランスをどう取るかが、今後の焦点となる。
- トランプ米大統領が「相互関税」政策を発動。日本には最大24%の関税が課される見通し。
- 自民党・松山参院幹事長が、給付や減税も含めた「柔軟な対応」の必要性を強調。
- 石破首相は消費税減税に否定的な立場を維持。
- 山口県など、自動車産業への影響が懸念される地域では対策に動き出している。
- 政府・与党内では今後、減税を含む経済対策の議論が本格化する見通し。