能登半島地震の被災者がいまだ厳しい避難生活を強いられている中、日本共産党の仁比聡平参議院議員は3月25日、参議院災害対策特別委員会で「人間らしく暮らせる住まいの確保が急務だ」と訴え、政府の対応をただした。
仮設住宅の狭さに悲鳴
被災地では、提供されている仮設住宅の環境に厳しい声が相次いでいる。特に1Kで4.5畳という極めて狭いスペースに、住民からは「壊れた自宅の方がまだマシだ」といった切実な声も上がっている。
こうした中、内閣府の高橋謙司政策統括官は、石川県内に整備された仮設住宅の入居率が95.5%に達していると初めて明かした。そのうえで、県全体で308戸、輪島市で133戸の空きがあることも公表した。
さらに、市外の「みなし仮設住宅(民間賃貸住宅などを代用したもの)」に入居している被災者も多数に上っている。3月21日時点で、輪島市では913世帯・2023人、珠洲市や能登町などを含む周辺自治体では1042世帯・2416人が避難生活を送っている。
「ふるさとに戻りたい」願いに応える復興を
仁比氏は、こうした状況を踏まえ、「人口流出の懸念もある中で、『ふるさとに戻って暮らしたい』という切なる願いに応えることこそが復興の要だ」と強調。仮設住宅間での住み替えや住環境の改善に加え、もとのコミュニティの中で戸建て型の木造仮設や公営住宅の建設を進めるよう、きめ細かな対応を政府に求めた。
政府は「検討課題」と答弁
これに対し、坂井学防災担当大臣は「すでに完成している仮設住宅7865戸を災害公営住宅として活用するのか、新たに建てるのか、能登地域では今後検討されるだろう」との見解を示した。
また仮設住宅のあり方について、防災庁のアドバイザーからも様々な意見があるとしつつ、「私個人としても大きな検討課題の一つと受け止めている」と述べた。
住まいの本質、「人間らしさ」が問われる
仁比氏は最後に、「仮設でなければならないとか、公営住宅でなければならないということではない。被災者が“人間らしく”暮らせる住まいが確保されることが何よりも重要だ。それが、元の地域、元の暮らしの中で取り戻されることが大切だ」と語り、住環境のあり方に根本からの見直しを求めた。
今後の焦点は「地域と暮らしの再建」
専門家の間では、仮設住宅の量だけでなく、質や立地、そして地域コミュニティとのつながりが重要だと指摘されている。高齢化が進む被災地においては、バリアフリー対応や医療・福祉サービスの確保も急務となっている。
能登の復興は、単なるインフラ整備では終わらない。住まいを通じて被災者一人ひとりの「生活」をどう再建するか。地域のつながりと暮らしの尊厳を守る復興こそが、今、問われている。