兵庫県明石市の前市長である泉房穂氏が、今夏の参議院選挙に兵庫選挙区(改選数3)から無所属で立候補することを表明した。市長退任時に政治家引退を宣言していたが、その決断を撤回した形となる。
立候補表明会見での発言と波紋
3月24日に神戸市内で行われた記者会見で、泉氏は以下のように述べた。
- 「国民が苦しいと言っているにもかかわらず、さらに首を締めてくるような政治は終わらせる必要がある。今の永田町に一体どれぐらい本気で国民のことを考えている政治家がいるのか」
また、無所属での出馬理由については、「魅力的な政党がないからです」と発言。この言葉が国民民主党の玉木雄一郎代表を刺激し、同党の推薦検討が取りやめとなった。
玉木代表の反応と泉氏の謝罪
玉木代表は3月28日、X(旧Twitter)で以下のように投稿した。
- 「先日の出馬会見を拝見し、あまりにも公党に対する敬意を欠いたものだったため、泉氏への兵庫県連における推薦の検討をとりやめ、国民民主党独自候補擁立の方向で動いています」
これを受け、泉氏はSNS上で玉木氏に対し謝罪し、配慮を欠いた対応を反省する旨を述べた。
過去の暴言問題と市長退任
泉氏は明石市長時代の2019年、用地買収の遅れをめぐり市職員に対し「火をつけてこい」などの暴言を吐き、辞職に追い込まれた。その後の出直し市長選で再選されたが、2022年10月には市議会での問責決議案に賛成した市議に対し脅迫的な発言を行い、次期市長選には出馬せず政界引退を宣言していた。
市長退任後の活動と支持の広がり
市長退任後、泉氏は大手芸能プロダクションに所属し、テレビのコメンテーターとして活動。街頭演説では多くの聴衆を集め、その人気は健在であることを示している。
兵庫選挙区の情勢と他候補の動向
兵庫選挙区は改選数3で、自民党の加田裕之氏、公明党の高橋光男氏、日本維新の会の清水貴之氏(前参院議員)らが立候補を予定している。清水氏は2024年の兵庫県知事選に出馬し、斎藤元彦知事に敗北した経緯がある。
また、参政党の新人・藤原誠也氏も立候補を予定しており、選挙戦は混戦模様となっている。
与党内の懸念と選挙戦の展望
自民党内では、泉氏の出馬により無党派層の支持が流れることへの懸念が高まっている。特に、連立与党の自民・公明が残り1議席を争う可能性が指摘されており、選挙戦の行方が注目されている。
政治評論家の田村重信氏は、泉氏の出馬が全国的な波及効果を持ち、与党が参議院で過半数割れする可能性もあると分析している。
兵庫選挙区の参院選は、泉氏の出馬により一層の注目を集めており、各候補者の動向が今後の焦点となる。