この夏に行われる参議院選挙で、元衆議院議員の足立康史氏が大阪選挙区から立候補する方向で、国民民主党が最終調整に入っていることが分かった。複数の関係者によると、党としては4月19日にも正式に擁立を発表する見通しだ。
足立氏といえば、日本維新の会の元衆議院議員で、歯に衣着せぬ発言で知られた存在。経済官僚出身で政策通としての評価も高く、国民民主党は「即戦力になる」と期待を寄せている。
異色の経歴、そして維新離党の経緯
足立氏は大阪・泉大津市出身。京都大学工学部、同大学院を経て、アメリカ・コロンビア大学で公共政策の修士号を取得した。1990年には通産省(現・経産省)に入省し、その後JETRO(日本貿易振興機構)などで国際業務を担当。2011年に退官し、政治の世界へ飛び込んだ。
当初は「みんなの党」からスタートし、その後、橋下徹氏らとともに「日本維新の会」に参加。2012年の衆院選で初当選してからは、大阪9区を地盤に活動を続けてきた。
ところが昨年、維新の執行部に対する批判を続けたことが問題視され、半年間の党員資格停止処分を受ける。その後は衆院選への出馬を見送り、一時は政界引退を宣言していた。
「政策力は折り紙付き」 国民民主が白羽の矢
そんな足立氏に再び声をかけたのが国民民主党だ。党関係者は「政策立案の実務に精通しており、特に経済政策では群を抜いている。大阪でも知名度がある」と語る。
党内では既に擁立に向けた調整が進んでおり、手続きが整い次第、正式発表に踏み切る構えだ。実現すれば、足立氏にとっては約2年ぶりの国政復帰を目指す挑戦となる。
激戦の予感高まる大阪選挙区
大阪選挙区は改選数が多く、全国的にも注目の高い選挙区の一つだ。現在のところ、以下のような顔ぶれが立候補を予定している。
- 公明党:杉久武氏(現職)
- 維新の会:岡崎太氏、佐々木理江氏
- 共産党:清水忠史氏
- 参政党:宮出千慧氏
ここに足立氏が加われば、保守系・改革系の票をめぐって熾烈な争いが繰り広げられることは間違いない。
「暴言王」から「政策職人」へ 変化の兆しも
足立氏といえば、国会での舌鋒鋭い発言やSNSでの過激な投稿でも知られてきた。一部では「暴言王」との異名も持つが、近年は発信スタイルに変化も見られ、「分かりやすく論点を伝える」ことに軸足を置きつつある。
今後、足立氏がどのような公約を掲げ、どんな訴えを展開するのか。政界復帰に向けた本気度が問われる選挙戦となりそうだ。