鳥取県立美術館の「ブリロの箱」評価、来館者アンケートで決める?
鳥取県立美術館が、2025年3月30日の開館に向けて、注目の展示作品「ブリロの箱」について議論を巻き起こしている。
この作品は、アメリカのポップアートの巨匠アンディ・ウォーホルが手掛けたもので、県が約3億円を投じて購入したものだ。
しかし、購入時から賛否が分かれ、最近ではその評価を来館者の意見に委ねるという新たな動きが浮上している。
「ブリロの箱」の購入とその価格
「ブリロの箱」は、ウォーホルが家庭用たわしの包装箱を模倣した立体アート作品で、現代社会の大量生産や消費をテーマにしている。
この作品は、鳥取県倉吉市の県立美術館の目玉コレクションとして購入された。
価格は、ウォーホル自身が手掛けた1点が約6800万円、ウォーホルが死後に作られた4点がそれぞれ約5500万円という高額なもので、計3億円を超える出費となった。このことに対して、購入時から県民や文化人の間で意見が分かれていた。
来館者アンケート実施へ、知事の発言
平井伸治知事は、2025年3月の美術館開館に合わせて、「ブリロの箱」の評価を来館者に問うアンケートを実施する意向を明らかにした。
知事は「県民や来館者の声を大切にしたい」としており、「このまま保有し続けるべきか」「今後は展示しない方がよいか」などの選択肢を設け、自由記述欄も設ける予定だという。
もしアンケートで「保有すべきではない」といった意見が多数を占めれば、手放す可能性もあると知事は示唆している。
美術館の独立性への懸念
しかし、この方針に対しては一部の識者から懸念の声も上がっている。
特に、美術館が展示する作品を来館者の意見で決めることが、専門家の判断や美術館としての独立性を損なう可能性があるという指摘だ。「ブリロの箱」はウォーホルの代表作であり、現代アートの象徴的な作品であるため、その評価を単純にアンケートで問うことに疑問を呈する意見が多い。