滋賀県甲賀市土山町に計画されている産業廃棄物の最終処分場をめぐり、地域の不安が広がっている。旧東海道の宿場町としての歴史と、自然豊かな環境を誇るこの土地に「ごみの町」というレッテルが貼られてしまうのではないか。そんな強い危機感を抱く住民たちの声に耳を傾けようと、4月6日、日本共産党の山下よしき副委員長(参院議員・比例予定候補)が現地を訪れ、住民たちと意見を交わした。
山下氏は「ふるさとを守りたいという皆さんの気持ちを、ひしひしと感じました。最後まで粘って中止に追い込みましょう」と激励の言葉を送り、住民からの要望を真剣に聞き取った。
住民の声――「このままでは風評被害が…」
懇談の場では、住民たちからさまざまな懸念の声が上がった。
- 「土山は観光資源もある宿場町。ここに“産廃処分場”なんて造られたら、風評被害で町が台無しになる」
- 「栗東市の最終処分場では、硫化水素ガスが発生して問題になった。そんな前例があるのに、本当に安全と言えるのか?」
処分場の予定地は琵琶湖の上流域にあたる。山下氏は「近畿一円の水を支える琵琶湖の源流にこんな施設を作っていいのか。しかも、地権者が土地を売れば止めようがないという話もある。これは地方だけでなく、国全体で考えるべき問題だ」と強調した。
計画の概要と視察の顔ぶれ
計画によれば、建設される最終処分場の埋め立て面積はおよそ12ヘクタール。容積は約230万立方メートルにも上る。視察には、共産党のさとう耕平参院滋賀選挙区予定候補をはじめ、中山和行県議、山岡光広、岡田重美、西山実の各甲賀市議も同行し、現地の空気を肌で感じた。
全国で広がる「住民 vs 産廃処分場」
今回のケースに限らず、全国では産業廃棄物処分場をめぐる住民の反対運動が相次いでいる。岡山市御津町では約25ヘクタールの大規模処分場計画に対し、住民が「環境が壊される」と声を上げているほか、京都市伏見区でも同様の動きが出ている。
こうした動きの背景には、住民の不信感がある。計画そのものよりも、「説明不足」「リスクが見えない」という行政や事業者の姿勢への疑問が、反発の火種になっている。
ふるさとを守るという覚悟
処分場の建設には、地域経済や環境、安全面に及ぼす影響が大きく関わってくる。地元住民が一様に口をそろえるのは、「自然と文化を大事にしたい」という思いだ。利便性や経済性の裏で、失われるかもしれない“ふるさとの風景”に、多くの人が心を痛めている。
「一度壊れた自然や信用は、簡単には戻らない」と話す地元の70代女性は、「ここで生まれ育ったからこそ、黙っていられない」と語った。
懸念が現実のものとなる前に、声を上げる住民たちの取り組みは今後も続きそうだ。地域に根ざした未来の選択が、今、問われている。