4月5日、岩手県盛岡市で開かれた日本共産党の演説会で、山下よしき党副委員長(参院議員)が、米国による日本への一方的な高関税措置を厳しく批判した。演説会には、参院比例予定候補のはたやま和也氏や、前衆院議員で東北比例予定候補の高橋千鶴子氏も登壇し、来る参院選での比例5議席獲得へ決意を語った。
一方的な関税は「ルール破り」
山下氏は、トランプ前大統領が再登場し、日本製品に対する関税を24〜25%まで引き上げようとしている動きに対し、「国際的なルールを無視した横暴なやり方だ」と批判。アメリカがこれまで押しつけてきた新自由主義的な自由貿易政策の矛盾が、今まさに噴き出していると指摘した。
「石破首相は、世界と連携して抗議の声を上げ、関税撤回を求めるべきです」と訴え、ただ黙って受け入れるのではなく、毅然とした外交姿勢を求めた。
「首切り・単価切り下げ」への懸念も
関税の影響が企業のコスト増となり、国内の雇用や中小企業の取引条件にしわ寄せが来ることへの懸念も語られた。山下氏は「輸出大企業が理由にして、労働者の大量解雇や下請け企業への単価切り下げを始めるようなことがあってはならない」と警鐘を鳴らした。
生活防衛のカギは「消費税減税」
会場では事前に寄せられた質問にも答える形式が取られた。「物価が上がって苦しい」という声には、山下氏は「まず消費税を5%に引き下げるべき」と明言。「消費を冷え込ませているのは消費税。これを下げることが、暮らしを守る即効性ある対策です」と述べた。
さらに、共産党が掲げる社会像についても問われると、「労働時間を短くして、人間らしく生きる自由な時間をつくる。資本主義が抱える矛盾を感じている若者にも伝えたいビジョンだ」と語った。
酪農危機に「直接支援が必要」
演説会では、農業、とくに酪農の厳しい現状にも焦点が当てられた。参加者から「牧草代が高騰し、経営が成り立たない」との声が寄せられると、はたやま氏は「飼料の価格高騰に加え、国が進めてきた“規模拡大”の政策が結果的に借金を増やし、酪農家を追い詰めてきた」と指摘。
「政府が責任を持って、酪農家に直接支援する仕組みを早急につくるべきです」と訴えた。
企業も不安、政府の対応は不透明
実際、トランプ関税の影響はすでに経済指標にも現れている。日経平均は連日の下落。輸出関連企業を中心に株価は下落し、日本経済全体に暗い影を落としている。海運最大手の日本郵船の社長も「関税は消費に影響し、最終的には物流が落ち込む」と不安を示している。
一方で、政府の対応はやや後手に回っている印象だ。石破首相は「結果がすぐに出るものではない」としながら、米国に関税緩和を働きかける意向を表明しているが、今のところ具体的な成果は見えていない。
自民政治を終わらせるとき
演説会では、日本共産党が掲げる「自民党政治からの転換」への強い意志もにじんだ。山下氏は「いまこそ、国民の暮らしと平和を守る政治に変えなければならない。比例5議席、必ず勝ち取る」と語気を強め、会場から大きな拍手が送られた。
- トランプ氏による高関税措置に山下氏が「国際ルール違反」と抗議。
- 関税による大企業のリストラや下請け圧迫に警鐘。
- 消費税5%減税で物価高対策を訴え。
- 共産主義の社会像を「自由な時間による人間の発展」と説明。
- 酪農危機への対応として国による直接支援を提案。
- 関税で日本経済に打撃、政府の対応は限定的。
- 「自民党政治に終止符を」と参院選への意気込み強調。