自公が掲げる123万円の非課税枠引き上げでは、実質的な減税効果はほとんど期待できない

2024-12-19

自公が掲げる123万円の非課税枠引き上げでは、実質的な減税効果はほとんど期待できない

自民党・公明党が提出した非課税枠の「123万円への引き上げ」案について、その減税効果の乏しさが強く批判されています。これは、所得税に関連する「年収103万円の壁」を超えるための一歩として提示されたものですが、具体的な恩恵は微々たるものに留まります。国民民主党が提案する「178万円への引き上げ」と比較すると、経済的なインパクトに大きな差があることが明らかです。

玉木雄一郎国民民主党代表はSNSで、123万円案と178万円案がもたらす減税効果を試算しました。その結果、123万円案では年収300万円の労働者の場合、所得税軽減額はわずか1万円(自営業者は5000円)に過ぎず、年収500万円でも2万円(自営業者は1万円)にしかなりません。一方、178万円案では同じ年収300万円で11万3000円、年収500万円では13万2000円の軽減が見込まれます。この差は、非課税枠の設定が国民生活に与える影響の大きさを物語っています。

123万円という数字の背景には、自民党税制調査会の宮沢洋一会長の強硬姿勢があるとされています。彼は「緊縮財政派のラスボス」として知られ、財務省出身の経歴からも減税路線に否定的な立場を取っています。宮沢氏の主導で、自民党と公明党は「123万円」に固執し、国民民主党が求める上積みに一切応じませんでした。この姿勢は、庶民が求める減税措置に応えるという政治の本分を逸脱しているとの批判を招いています。

さらに、今回の決定プロセスも問題視されています。123万円案は、3党幹事長間で合意された「178万円を目指す」という基本方針を無視する形で進められました。この結果、国民民主党の古川元久税調会長は13日の会合で「話にならない」と席を立ち、玉木氏も「驚きと残念さ」を表明しています。政治の透明性や信頼性が問われる中、石破政権の姿勢は国民の期待に応えるどころか失望を招いています。

今回の非課税枠引き上げ問題は、単なる数字上の議論に留まりません。減税を切望する国民に対し、実効性のない政策を提示することは、政治への信頼を大きく損なう行為です。有馬晴海政治評論家は「自公の対応次第では、来年の参院選で大敗北を喫する可能性もある」と警鐘を鳴らしています。

国民の生活負担が増す中で、減税政策は喫緊の課題です。石破政権と自公は、国民の声を真摯に受け止め、実効性ある政策を模索すべきです。「123万円」案ではなく、庶民に確実な恩恵をもたらす「178万円」案への再検討が求められています。この問題に対する政権の対応は、今後の政局を左右する重要な試金石となるでしょう。

2024-12-20 10:00:02(植村)

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