2025-04-06 コメント: 2件 ▼
「財政再建で円安は止まるのか?」 宮沢税調会長の増税論に広がる違和感
円安の原因は本当に「財政悪化」?
そもそも円安の主要因は、日米の金利差や日銀の金融政策の違いにあるというのが、経済界の共通認識だ。米国が高金利政策を維持する一方で、日本はゼロ金利政策を続けており、資金が日本から米国に流れるのは自然な現象だ。
財政赤字が円安を招いているとする宮沢氏の論は、金融政策の影響を意図的に軽視しているようにすら見える。為替相場は単純な財政収支だけで動くわけではない。円安に対する責任を「財政悪化」に押しつけ、増税などの痛みを伴う政策の正当化に利用しようとしているようにも映る。
「財政再建」よりも「生活再建」が先では?
さらに問題なのは、宮沢氏が語る「財政再建」が、実質的に増税を前提としている点だ。財政を健全化するには歳出削減や経済成長もあるはずだが、彼の話からは「国民に負担を求める」発想しか見えてこない。
たとえば消費税の再増税。これは庶民の生活に直接響くが、宮沢氏はこうした国民の生活に与えるインパクトについて、ほとんど言及していない。物価高にあえぐ今、さらに消費税率が引き上げられれば、消費は冷え込み、結果的に税収すら減る可能性がある。
「将来世代のため」は口実?
宮沢氏は「将来世代にツケを回さないため」とも語っているが、その言葉もどこか空々しい。なぜなら、これまでの自民党政権が繰り返してきた大型補正予算や選挙前のバラマキ政策が、まさにその「ツケ」を積み上げてきたからだ。
責任ある財政運営を語るなら、まずは政権与党としての過去の政策への反省と検証が必要なはずだ。だが宮沢氏の発言からは、そうした誠実さや自己検証の姿勢は見受けられなかった。
本当に必要なのは「分配と成長のバランス」
今、国民が求めているのは、単なる「財政健全化」ではない。むしろ、物価高と実質賃金の低迷という「暮らしの危機」をどう乗り越えるかだ。政府がやるべきは、適切な支援策や将来の成長を見据えた投資であり、短絡的に「増税」や「緊縮」へと進むことではない。
宮沢氏の主張は一見、理屈として通っているようで、実は国民の現実とはかけ離れている。「財政再建」より先に、「生活再建」が必要なのではないか。そう感じた視聴者も多かったのではないだろうか。