「103万円の壁」協議、宮沢税調会長の対応が国民民主を怒らせ決裂

2024-12-17

「103万円の壁」協議、宮沢税調会長の対応が国民民主を怒らせ決裂

来年度の税制改正の焦点である「103万円の壁」の引き上げをめぐる協議は、17日に行われた6度目の会合で事実上の決裂を迎えました。与党側の主導で進められたこの協議ですが、冒頭わずか10分で国民民主党が退出。与党を代表する宮沢洋一税制調査会長の姿勢が、結果的に事態を悪化させたとの批判が強まっています。

この日、与党は先週と同じく所得税の基礎控除や給与所得控除を123万円に引き上げる案を示したのみで、新たな提案を一切提示しませんでした。一方で国民民主党は、労働環境や家庭経済への影響を考慮し、さらなる引き上げや具体的な支援策を求めていました。国民民主党の代表は「これ以上の議論は無意味」と厳しい言葉を残して退出。結果的に、協議は何の進展もないまま終了しました。

宮沢税調会長、国民民主党の姿勢を軽視か
協議後、自民党の宮沢税調会長は記者団に対し、「新たな提案がないのであれば協議はできないということで国民民主側が帰った」と説明。しかし、この発言は国民民主党側の怒りをさらに煽る形となりました。そもそも協議の場は、双方が妥協点を探るための対話の場であるにもかかわらず、与党側が先週の提案を繰り返しただけでは「協議に臨む真摯な姿勢が欠けている」と受け取られても仕方ありません。

宮沢氏の発言や対応について、与党内からも不安視する声が上がっています。「国民民主党は現実的な提案を求めていたが、宮沢氏がその期待に応えられなかった」(与党関係者)、「相手を軽視している印象を与えたのではないか」(党内ベテラン議員)と、内外で批判が相次いでいます。

国民民主党、怒りの背景
今回の協議で特に問題視されているのは、与党側が国民民主党の要望を事実上無視する形となった点です。国民民主党は以前から、「123万円という控除額は不十分であり、働き手の負担軽減には程遠い」と訴えてきました。それにもかかわらず、与党側が代替案や妥協策を示さなかったことが、国民民主党の退出という形での抗議につながりました。

協議終了後、国民民主党の幹部は「与党側には最初から真剣に合意を目指す意思がなかったのではないか」と強い不満を表明。これに対し宮沢税調会長は「本日は国民民主党の考えを聞きたかった」と述べるにとどまり、責任を回避する姿勢が見て取れます。

宮沢氏への批判と今後の影響
今回の事態について、政界では宮沢税調会長の手腕が問われています。与党として重要な税制改正を主導する立場にありながら、野党との対話を円滑に進められなかったことが、「無策」や「失態」とみなされても仕方のない状況です。与党内では、「国民民主党を軽視した結果、交渉が不調に終わった」との声が広がっており、与野党間の信頼関係にも影響を及ぼしかねないとの懸念が強まっています。

「103万円の壁」は、労働者や家庭に直結する重要な課題であり、政治家としての力量が問われるテーマです。しかし、今回の協議における宮沢氏の対応は、与党内外からの批判を招き、税制改正の行方をさらに不透明にしています。今後、与党がどのような形で信頼回復を図り、協議を再開させるかが注目されますが、その道のりは平坦ではなさそうです。

2024-12-17 16:37:50(植村)

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