千葉県のLGBTQ相談窓口、半年で利用わずか25件 予算は10倍の1,000万円に
千葉県が昨年8月に開設したLGBTQ向けの相談窓口の利用状況が明らかになった。半年間の相談件数は電話が15件、メールが10件の計25件にとどまったが、県は相談体制の強化を理由に、令和7年度当初予算案で前年の10倍にあたる1,000万円を計上した。一方、県議会からは「利用件数が少ない中での大幅な予算増は適切なのか」といった声も上がっている。
相談窓口の現状と課題
県のLGBTQ相談窓口は、性的指向や性自認に関する悩みを抱える人が気軽に相談できる場として開設された。現在の運用は、毎月第2土曜日の午後1時~4時と、第4火曜日の午後7時~10時に、実務経験のある相談員2人が対応する形となっている。相談は電話(0120・311・556)またはメール(soudan@chibalgbtq.jp)で受け付けている。
しかし、半年間の相談件数はわずか25件にとどまり、利用者が少ない状況が浮き彫りとなった。県はこの原因について、「1都3県の中では相談日数や時間が少ないことが一因ではないか」と分析し、体制の強化に乗り出す方針を示した。
体制強化と予算増額の理由
今後は相談体制を拡充し、責任者1人、相談員3人の体制に変更。相談日を毎週1回に増やし、時間も4時間に拡大する。また、これまでの電話やメールに加えて、無料通信アプリ「LINE」での相談対応を新たに導入する予定だ。
この強化に伴い、予算は大幅に増額された。人件費として約300万円、LINEの専用システム導入や運用に約400万円、研修などの経費に約300万円が充てられる見込みとなっている。
県議会からの疑問の声
こうした大幅な予算増に対し、県議会では「予算の使い方として適切なのか」と疑問視する意見も出ている。
1人会派「有志の会」の折本龍則県議は、13日の予算委員会で「半年間で相談件数が25件しかないのに、1,000万円もの予算を投じるのは妥当なのか。相談員の人件費を単純計算すると時給3,906円になる。今後の運用状況をしっかり見極めるべきだ」と指摘した。
今後の展望
この相談窓口は、熊谷俊人知事が主導した「多様性を尊重する条例」の施行を受けて設置された。県としては、相談しやすい環境を整えることで、LGBTQ当事者が抱える悩みや不安の解消につなげたい考えだ。
一方で、今回の予算増額が実際に利用者の増加につながるのか、運用の改善が求められるのか、今後の推移を見守る必要がありそうだ。