2026-10-19 コメント投稿する ▼
関芳弘文科相の指針素案、デジタル教科書は紙とのハイブリッドが基本に
2030年度から正式な教科書となるデジタル教科書をめぐり、文部科学省が紙とデジタルを組み合わせたハイブリッドを基本とし、デジタル部分は補助的に扱う大臣指針の素案をまとめたことが、2026年10月19日に分かりました。なんでもデジタルに置き換えるのではなく、紙の良さも残す形が基本です。2026年6月に改正法が成立し、紙、完全デジタル、ハイブリッドの3つの形が正式な教科書になります。調査では、ハイブリッドを望む回答が小学校で88.3%に上りました。紙には理解度を高める強みが、デジタルには拡大や読み上げなどの強みがあります。関芳弘氏(文部科学大臣)が示す指針の素案の中身と経緯、紙とデジタルの良さを整理します。
ハイブリッドを基本とする素案の中身
報道によると、素案は紙の教科書とデジタル教科書を組み合わせたハイブリッド型を基本とする内容です。そのうえで、デジタル部分は補助的な扱いにとどめるとしています。デジタル教科書とは、紙の教科書と同じ内容を、タブレットやパソコンの画面で読めるようにしたものです。文字の拡大や音声の読み上げなど、紙にはない機能を使えるのが特徴です。
文部科学省は、有識者による検討会議を設けて、デジタル教科書の発行や選び方に関する指針の議論を進めてきました。取りまとめは今秋ごろを目指すと伝えられていました。今回の素案は、その指針の中身を示すものです。
全部がタブレットになるより、紙が基本という方針は安心できます。
2030年度の正式化に向けた改正法成立までの流れ
デジタル教科書が制度に登場したのは、2019年4月1日です。この日に施行された改正法で、紙の教科書の代わりに使える仕組みができました。ただし使える範囲には条件があり、視覚障害や発達障害などで紙の教科書を使いにくい子どもは、すべての授業で使えるとされました。2024年度からは、英語のデジタル教科書が紙と併用する形で、全国の小中学校などに提供され始めました。
さらに2026年6月10日、参議院本会議で学校教育法などの改正法が成立しました。紙、完全デジタル、ハイブリッドの3つの形がいずれも正式な教科書となり、どれを使うかは各地の教育委員会が選びます。今回の素案は、このうちハイブリッドを基本にするという考え方を示したものです。
文部科学省が2025年10月から12月に行った意向調査では、ハイブリッドが望ましいという回答が、小学校で88.3%、中学校で86.3%、高校で78.4%でした。すべて紙がよいという回答は、小学校と中学校で6%台、高校で16.8%でした。ハイブリッドを望む回答はどの校種でも多数を占めており、素案の方向と重なります。
自分の地域の教育委員会が何を選ぶのか、きちんと説明してほしいです。
紙とデジタルそれぞれの良さと課題
紙の教科書の強みを考えるうえで参考になるのが、2018年に発表された研究です。2000年から2017年までの多くの研究結果を合わせて分析したところ、紙で読んだほうが内容の理解度が高い傾向が示されました。時間に限りがある読書や、説明文では、その差が特にはっきりしていました。紙の優位は年を追うごとに大きくなっていたとされます。教科書に限った研究ではありませんが、じっくり読んで理解する場面では、紙に強みがあることを示す材料の一つです。
海外では、学校でのデジタル利用を見直す動きもあります。スウェーデン政府は2024年2月21日、学校の教科書購入を支える補助金を発表しました。その中で、教室で画面が増え、本が減ったことへの批判を取り上げ、基礎的な力は本や紙、鉛筆で最もよく身につくという見方を示しています。ただし補助の対象は出版社が作った教科書であり、紙だけに限っているわけではありません。
本は書き込みながら読むと頭に入ります。紙の教科書は残してほしいです。
一方で、デジタルには紙にない強みがあります。文字を大きく拡大したり、音声で読み上げたりできるため、紙の文字が読みにくい子どもの助けになります。漢字にふりがなを付ける機能や、動画で理解を深められる点も、デジタルならではの良さです。紙を中心にしながら、こうした機能を必要な場面で補うという素案の考え方は、それぞれの強みを生かす形といえます。
目が不自由な子や読むのが苦手な子には、読み上げ機能は本当にありがたいです。
子どもの学びを中心に据えた教科書づくりを
紙とデジタルのどちらか一方が万能というわけではありません。ハイブリッドを基本とし、デジタルは補助とする素案は、両方の良さを組み合わせる現実的な方向です。あとは、何を紙で学び、何をデジタルで学ぶのかを、分かりやすく整理することが課題になります。
使う形を選ぶのは各地の教育委員会ですから、判断の材料になる情報を国が丁寧に示すことが欠かせません。教科書は子どもたちが毎日手にするものです。便利だからという理由だけで置き換えるのではなく、紙とデジタルのそれぞれの良さを生かした教科書や教材になることを期待したいところです。
どちらかに決めつけず、子どもに合う形を選べる教科書になってほしいです。
まとめ
- 文部科学省が、紙とデジタルを組み合わせたハイブリッドを基本とし、デジタル部分は補助的に扱う大臣指針の素案をまとめました。2026年10月19日に関係者への取材で分かりました。
- 2026年6月10日に改正法が成立し、紙、完全デジタル、ハイブリッドの3つの形が正式な教科書になります。どれを使うかは各地の教育委員会が選びます。
- 2025年10月から12月の意向調査では、ハイブリッドが望ましいという回答が、小学校で88.3%、中学校で86.3%、高校で78.4%でした。
- 紙にはじっくり読んで理解する強みが、デジタルには拡大や読み上げなどの強みがあります。両方の良さを生かした教科書や教材が望まれます。
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