2026-10-16 コメント投稿する ▼
大阪都構想の陳情に維新秘書が関与 吉村洋文氏が説明「慎重にすべきだった」
2026年9月25日、大阪市議会の財政総務委員会が、大阪都構想を巡って「大阪市廃止」の表現を避けるよう求める陳情書を、維新などの賛成で採択しました。ところが提出者34人の中に、維新の国会議員の秘書が少なくとも3人含まれていたことが分かり、自民党や公明は「自作自演」と批判しています。吉村洋文氏(日本維新の会代表・大阪府知事)は、議員は陳情を知らず、秘書は市民として署名したと説明し、「慎重にすべきだった」と述べました。陳情は民意の表れなのか、それとも政党関係者の後押しなのか。2度否決された都構想は、2027年4月の住民投票を目指す動きが続いています。
大阪都構想の陳情採択 2026年9月25日の委員会で何が起きたのか
大阪市を特別区に再編する大阪都構想を巡り、2026年9月25日、大阪市議会の財政総務委員会が、ある陳情書を採択しました。内容は、市の公文書などで「大阪市廃止」という表現を避け、市域を副首都にふさわしい大都市へと「再編・編成し直す」という制度改革の本来の趣旨が伝わる言葉を使ってほしい、というものです。陳情書には34人が名前を連ねていました。
陳情とは、住民が議会を通じて自治体に要望を届ける仕組みです。賛同を得られて採択されると、その願いが施策に反映される場合もあります。この日の委員会では、日本維新の会(維新)などが賛成して採択されました。地域政党・大阪維新の会(大阪維新)は、2023年4月の市議会議員選挙で定数81のうち46議席を得て、初めて単独で過半数に達しています。
逆に、投票用紙などに「大阪市を廃止し、特別区を設置する」と明記するよう求める陳情書も出されていましたが、こちらは不採択となりました。陳情は、採択されたからといって行政が必ず従わなければならないものではなく、要望として扱われるのが一般的です。ただし、議会が採択したという事実は軽くありません。
廃止を再編と言い換えるなら、まず制度の中身を分かりやすく説明してほしいです。
維新の国会議員秘書が名を連ねていた 他党は「自作自演」と批判
ところが後になって、採択された陳情書の提出者34人の中に、維新の国会議員の秘書が少なくとも3人含まれていたことが分かりました。陳情の内容は維新の考えと一致しているため、自由民主党(自民党)や公明党(公明)は「自作自演」と批判を強めています。
公明の市議からは、市民の間に「廃止」という表現は不適切だという空気をつくるための工作ではないか、という趣旨の指摘も出ました。反対する立場の市議からは、制度案を議論する議員に近い人たちが、市民の声として陳情するやり方に正当性があるのか、という疑問の声が上がっています。
陳情を出したのが維新関係者の秘書だったと知り、市民の声とは言いにくいと感じました。
さらに、維新の府議の秘書が、同じ趣旨の陳情書を市議会に出し、審査の前に取り下げていたことも明らかになっています。この秘書は「秘書としてではなく個人として出したが、浅はかだった」という趣旨の話をしたと伝えられています。
陳情は、住民が自分の意見を議会に届けるための正当な手段です。秘書も一人の住民であり、個人として声を上げる自由はあります。一方で、制度を決める側に近い立場の人が出す場合、市民の素朴な声なのか、政党の意向なのかが外から見えにくくなります。だからこそ、疑いを持たれないための配慮が強く求められます。
それなら最初から堂々と議員が提案すればいいのに、遠回りなやり方に見えてしまいます。
維新代表が説明 「廃止」表現をめぐる維新側の言い分
この問題について、吉村洋文氏(日本維新の会代表・大阪府知事)は2026年10月2日に記者団の取材に応じ、議員は陳情の存在を知らず、秘書は市民として署名したと説明しました。また、採択された陳情は尊重されるべきだとの考えも示しています。一方で「外形的には議員からの指示があったと思われても仕方ない。慎重にすべきだった」と述べ、注意を促す内部通達を出す方針を明らかにしました。
次に「廃止」という言葉の扱いです。維新は、過去の住民投票で「廃止」という言葉の印象が否決の一因になったと見て、表現に神経を使っていると報じられています。横山英幸氏(大阪市長)も市議会で、「廃止」という言葉が正しい理解を促すのか疑問だという趣旨の答弁をしたとされています。
一方で、「廃止」は制度の中身を表す言葉でもあります。大阪市という自治体をなくして特別区を置くことが住民投票の対象であり、投票の正式な名称にも「大阪市廃止・特別区設置」とあります。言葉を言い換えるなら、有権者が事実を正しく判断できるよう、利点だけでなく課題も含めて説明することが欠かせません。
誤解を避けたい気持ちは分かりますが、手続きが見えないと信頼できません。
民意を問うなら説明が先 3度目の挑戦を迎えた大阪都構想
大阪都構想は、2015年5月17日と2020年11月1日の2度の住民投票で、いずれも否決されました。2015年は約1万1000票差、2020年は賛成が約67万6000票、反対が約69万3000票で、約1万7000票差という僅差でした。
今回は2026年5月27日に大阪市議会、6月3日に大阪府議会が、法定協議会の設置議案を相次いで可決しました。6月12日の初会合は、維新以外の会派が欠席したと報じられています。目標は2027年4月の統一地方選挙と同じ日の住民投票で、12月に議論をまとめる方向です。また、副首都に関する議論の中で、住民投票の対象を府全域に広げる案も話題になっています。副首都は大阪だけの話ではなく、国全体の理解が必要なテーマです。
特別区の権限や財源が府に移るなら、実質は府への吸収ではないかと心配です。
「自作自演」という批判は他党の見方であり、維新側は議員の指示を否定しています。事実として確認されているのは、秘書らが提出者に含まれていたことと、委員会が陳情を採択したことです。実際に誰がどのように関わったのかについては、今後も丁寧な説明が求められます。制度への信頼は、手続きの透明性に支えられます。3度目の判断を住民に求めるなら、言葉の言い換えより先に、メリットも課題も含めた説明を尽くすことが大切です。
まとめ
- 2026年9月25日、大阪市議会の財政総務委員会が「大阪市廃止」の表現を避けるよう求める陳情書を、維新などの賛成で採択しました。
- 提出者34人の中に維新の国会議員の秘書が少なくとも3人含まれていたことが分かり、自民党や公明は「自作自演」と批判しています。
- 吉村洋文氏は、議員は陳情を知らなかったと説明し、「慎重にすべきだった」と述べて内部通達を出す方針です。
- 大阪都構想は2015年と2020年に否決されており、2027年4月の住民投票を目指す動きが続いています。
- 住民の信頼を得るには、言葉の言い換えよりも、手続きの透明性と丁寧な説明が欠かせません。
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