立憲民主党の小沼巧参院議員は、19日の参院予算委員会で、農林水産省が4月1日から施行する外国人による農地取得の条件厳格化について意見を述べました。小沼氏はこの規制強化に対して「百点満点ではないが、一歩前進だ」と評価し、その方向性に賛同の意を示しました。しかし、外国人が農地取得を許可されなかった場合に訴訟を起こされるリスクについても言及し、政府に対して慎重な対応を求めました。
農水省の省令改正で外国人農地取得が厳格化
農林水産省は、外国人による農地取得に関する新しい規制を4月1日から施行します。この改正では、外国人が農地を取得する際の条件が厳しくなり、以下の点が新たに求められます。
- 在留資格の報告義務:
外国人が農地を取得する際、在留資格の期間について審査機関に報告することが義務付けられます。
- 農業委員会の審査:
農業委員会は、外国人の農地取得に対して厳格な審査を行い、年間150日以上農業に従事することを求めます。
- 法人の規制強化:
法人が農地を取得する場合、農業関係者が法人の議決権の過半数を占めなければならないという規制も設けられます。
- 短期間の在留資格に対する制限:
外国人が短期間で在留資格が切れる場合、その農地取得が許可されないようになります。
これにより、農地取得の審査が一層厳しくなることが予想されます。
農業委員会の審査に関する懸念
小沼巧氏は、この新しい規制が現場でどう運用されるかについても懸念を表明しました。特に、農業委員会が外国人の農地取得を審査する際に、「訴訟を恐れて不許可の判断を避ける」可能性がある点を指摘しました。また、農作物の栽培期間が異なるため、農業委員会が一貫した基準で判断することが重要だと述べました。
これに対して、江藤拓農水相は、農業委員会がより明確な基準を持って審査できるよう、事務次官通知を出して基準を整備すると約束しました。
外国人による農地取得規制の背景と課題
外国人が農地を取得することに対しては、国内の食料安全保障の観点から強い懸念があります。海外資本や外国人が農地を取得することで、投資目的で農地が放棄される可能性があり、これが地域農業や食料自給率に悪影響を及ぼすおそれがあるからです。実際、2023年9月には、外国人が農地を新たに取得する際、国籍を記載することが義務化され、規制が強化されました。
一方で、規制強化には慎重な意見もあります。昨年3月、参院予算委員会で岸田文雄前首相は、「外国人のみを対象として農地取得を規制することは慎重に検討すべき」と述べ、外国人農地取得規制に対しては「ハードルが高い」との立場を取っていました。
- 小沼巧氏は、農水省の外国人農地取得規制強化に賛同しつつも、現場での運用に懸念を示した。
- 4月から施行される新しい規制では、外国人の農地取得に厳しい条件が課せられ、農業委員会の審査が強化される。