近年、物価高騰や経済的な困難が続く中、多くの家庭が生活の支えを求めている。その中でも、生活保護制度に関する議論が活発になっており、特に外国人の受給問題や不正受給に対する懸念が注目を集めている。
生活保護受給世帯の現状
厚生労働省の調査によると、2022年の時点で日本全国で生活保護を受けている世帯はおおよそ203万6,000世帯にのぼっている。この中で特に増加しているのが高齢者世帯で、65歳以上の世帯が半数近くを占めており、他にも障害者や母子家庭が多く支援を必要としている。
外国人世帯の受給実態
生活保護を受けている外国人世帯は、全体の中でも注目を集める存在だ。2022年のデータでは、外国籍の世帯主が受けている生活保護の世帯数は46,005世帯。その内訳を見ると、最も多いのは韓国・朝鮮籍の世帯で28,440世帯を占め、中国が6,133世帯、フィリピンが5,124世帯、ブラジルが1,829世帯となっている。
この外国人世帯に対する生活保護支給は、1954年に旧厚生省が出した通知に基づいているが、その中に「当分の間」と記載されており、長い年月が経った今、その運用に見直しの必要性を感じる声が多く上がっている。
生活保護制度における議論
日本の生活保護制度は憲法第25条に基づき、すべての国民が健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を持っているとされています。しかし、近年では「すべての国民」という文言が、外国人にも適用されるべきかどうか疑問視されている。特に、在留外国人が増加している中で、この点を明確にしておかなければ今後トラブルになる可能性もあるという指摘がある。
これに関しては、衆院予算委員会でも議論が行われており、70年以上前の基準での対応が現在の状況に適しているのか、早急に検討すべきだという声が上がっている。
不正受給の問題
生活保護に関しては不正受給の問題も常に議論の対象となっている。2021年の厚生労働省の報告によると、不正受給の件数は27,891件、金額にして約11億円にのぼる。生活保護費の全体負担金はおよそ3.8兆円に達しているが、その中で不正受給の割合はわずか0.3%であり、一見少ないように思える。しかし、実際に必要な人に支給されるべきお金が不正に使われている可能性もあるという点について、疑念を抱く声は少なくない。
困窮する家庭の声
今回、取材を通じて聞いたある母親の声が胸に響いた。物価高や経済的な困難に直面し、必死に働きながら子育てをしている一方で、生活保護を受けて悠々自適に暮らす外国人家庭を見て疑念を抱いているという。その母親は、生活保護を受けることを非常に嫌がり、どうしても支援を受けることに抵抗を感じている。しかし、生活保護は本来、困ったときに助け合うための制度であり、その趣旨を理解し、必要な支援を受けることも大切だと指摘する声もある。
今後の課題
生活保護制度については、外国人受給者や不正受給の問題をどう解決するかが今後の重要な課題である。特に、制度の運用が過去の基準に基づいている部分が多いため、時代に合わせた見直しが必要とされている。国民全員が公平に支援を受けられるよう、制度の透明性を高め、必要な支援が適切に届けられる仕組み作りが求められている。
困窮する家庭が不安なく支援を受けられる社会を目指し、これからの議論がどのように進展するのかに注目が集まっている。