2026-11-04 コメント投稿する ▼
常陸大宮市の鈴木定幸市長が語る核のごみ文献調査と隣県への説明方針
茨城県常陸大宮市の鈴木定幸氏(市長)が2026年11月4日、日本記者クラブで会見し、核のごみの最終処分地選定に向けた文献調査について語りました。隣接する栃木県の3自治体には要望があれば説明に行く考えで、茨城県内の自治体に同意は求めないと述べました。交付金は文献調査で最大20億円、概要調査で最大70億円です。大井川和彦氏(茨城県知事)が概要調査に同意しない意向を示すなか、フュージョン発電の誘致をめぐる受け止めも明らかにしました。風評被害への不安も残り、市民の理解を得るための丁寧な説明が今後の焦点です。
核のごみ文献調査が始まった常陸大宮市の現状
鈴木定幸氏(常陸大宮市長)は2026年11月4日、東京都千代田区の日本記者クラブで記者会見に臨みました。原子力発電所から出る高レベル放射性廃棄物、いわゆる核のごみの最終処分地を選ぶための文献調査が、茨城県常陸大宮市で始まったことを受けた会見です。鈴木氏は、隣接する自治体への説明や交付金の考え方、茨城県知事との関係などについて質問に答えました。
文献調査は、処分地選びの最初の段階にあたります。現地を掘るのではなく、過去の地質図や学術論文などの資料を調べて、断層や火山の状況を確認する調査で、期間は約2年です。次の段階の概要調査は約4年かかり、その先にも調査が続くため、処分地が決まるまでの全体の流れは約20年とされています。
今回の経緯を振り返ります。経済産業省は2026年8月31日に、常陸大宮市へ文献調査を申し入れました。鈴木氏は市議会での協議や、経済産業大臣との面会を経て、2026年9月30日に受け入れを表明しました。原子力発電環境整備機構(NUMO)が調査の開始を発表したのは2026年10月15日で、全国では寿都町、神恵内村、玄海町、小笠原村に続く5例目、本州では初めてです。
一方で、地元には不安の声もあります。市議会の意見は賛成と反対に分かれ、風評被害を心配する声も出ていました。市民からは、次のような声が聞こえてきます。
「風評被害が心配です。農産物の値段に響かないか不安になります。」
「説明会を開かないまま決めたのは、少し早すぎると思います。」
隣接する栃木県の3自治体や交付金をどう考えるか
会見でまず話題になったのは、隣接する栃木県の自治体への対応です。常陸大宮市の北側には、那珂川町、那須烏山市、茂木町の3自治体が接しています。鈴木氏は、近隣の市町や隣接する都道府県の知事の同意を得ることについて、法律上の縛りはないという認識を示しました。そのうえで、要望があれば知事や隣接する3自治体へ説明に行くつもりだと述べ、「私でないと説明できない部分もある」との考えを明らかにしました。
茨城県内の自治体に同意を求めるのかという質問には、同意を求める行為そのものが近隣の首長への重圧になるとの考えを示しました。お互いに理解し合えるなら、改めて公の場で「同意します」と言わなくてもよいという立場です。調査を進めるのが常陸大宮市なら、常陸大宮市が重圧を受けながら進めるほうがよいと話しました。
交付金については、隣接する自治体に配る考えがあるのかが問われました。文献調査の交付金は最大20億円(約1266万ドル)で、概要調査に進むと最大70億円(約4430万ドル)に増えます。鈴木氏は、文献調査の段階は後戻りができるうえ、市民の理解が得られなければ概要調査には進めないと説明しました。先行した自治体では周辺にも配ったところがあるものの、もらうかどうかで賛成と反対の白黒がつきやすいため、文献調査では配分を考えていないと述べました。
概要調査に進んだ場合については、どの自治体も財政状況が苦しいとしたうえで、ともに成長できる使い道をしっかり考えたいと話しました。周辺の自治体にとっては、説明の機会と使い道の議論が重要になりそうです。市民の側にも、次のような見方があります。
「隣の県にも丁寧に説明してほしいです。迷惑をかけない姿勢が大事だと思います。」
「交付金は結局、私たちの税金です。20億円と聞いても手放しでは喜べません。」
大井川和彦知事の不同意とフュージョン発電の誘致
大井川和彦氏(茨城県知事)は2026年10月2日の定例記者会見で、次の段階の概要調査には同意しない考えを表明しました。概要調査に進むには知事の同意が必要で、これまで同意した知事はいないと報じられています。その一方で、県は市内に核融合反応を利用する「フュージョン発電」の実証プラントを誘致すると発表しました。
鈴木氏は、知事も一定程度は常陸大宮市のことを考えてくれているから、フュージョン発電に手を挙げてくれたのだと思うと話しました。そのうえで、時間をかけて知事とコミュニケーションをとりたいと述べました。県の発表では、設置にかかわる総事業費は約1兆円(約63億ドル)、運転開始後の雇用は500人以上とされています。鈴木氏は、地元にどのくらいお金が落ちるかはわからないとしながらも、経済効果は考えられるとの見方を示しました。
核のごみの地層処分については、福島第一原発の炉心溶融事故やJCO臨界事故のような重大事故は起こり得ないと説明しました。一方で、核融合発電にはデメリットや自分自身の勉強不足な点もあるとして、その点を学んだうえで市民に説明していくと話しました。難しい話題が続くため、市民には、わかりやすい説明が求められます。
「核のごみと発電所の話を同時に進めるなら、メリットも課題も全部示してほしいです。」
今後の焦点は市民への丁寧な説明
今回の会見で目立ったのは、判断の重さを自治体の首長が背負っているという点です。鈴木氏は、近隣への説明も、同意を求めるかどうかも、自らの判断で進める考えを示しました。2026年10月26日に開かれた経済産業省の有識者会合でも、次の段階へ進むかどうかを決める権限が、対象となる自治体にとって負担になっているという課題が共有されています。
文献調査は後戻りができる段階です。しかし、調査が始まった以上、市民が内容を理解できるよう、判断の材料を早く、正確に示すことが欠かせません。風評被害への備えや交付金の使い道、フュージョン発電の利点と課題についても、市民が納得できる形での説明が求められます。
隣接する栃木県の3自治体をはじめ、周辺の自治体との対話も重要です。鈴木氏は、要望があれば知事や隣接する3自治体へ説明に出向くと語っています。知事との意思疎通も、今後の大きなポイントです。
1ドル=158円(2026年10月19日時点)で換算しています。
まとめ
- 鈴木定幸氏(常陸大宮市長)が2026年11月4日に日本記者クラブで会見しました。
- 文献調査は約2年、交付金は最大20億円(約1266万ドル)です。
- 概要調査は約4年で、交付金は最大70億円(約4430万ドル)に増えます。
- 隣接する栃木県3自治体には、要望があれば説明に行く考えです。
- 大井川和彦氏(茨城県知事)は概要調査に同意しない意向です。
- フュージョン発電の実証プラントは、総事業費約1兆円(約63億ドル)、雇用500人以上とされています。
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