2026-11-02 コメント投稿する ▼
チームみらいがAIで探るSNS規制 デジタル民主主義と「ゆる語り」の挑戦
その具体的な試みとして、2026年8月末には「こどもとSNS」の規制をテーマにした「ゆる語りワークショップ」が開催されました。 * 「こどもとSNS」規制を巡るワークショップでは、制度設計によって賛否が入れ替わることや、「保護者に頼れないこども」という重要な視点が雑談から発見されました。
このワークショップは、多数の市民がオンラインで参加し、賛成か反対かの投票から始まり、AIとの対話を通じて議論を深め、最終的に少人数グループでの意見交換を行います。表面的な賛否の対立に留まらず、なぜそう考えるのか、どのような背景があるのかといった、多様な視点から問題を掘り下げることを目的としています。この新しい対話の場が、社会課題解決にどう貢献するのか、その試みと成果、そして残された課題に注目が集まります。
デジタル民主主義が拓く新たな対話
チームみらいが掲げる「デジタル民主主義」は、AI時代の新しい政治の形として期待されています。2026年7月18日の党大会で、党首である安野貴博氏は「より広く・速く・深く声を聴き、まだ見つけられていない選択肢をみんなでつくる政治を実現したい」と語りました。これまで同党は、AIが有識者や当事者の考えをヒアリングする「AIインタビュー」を通じて、多くの法案や政策に対する意見を集めてきました。
しかし、AIインタビューが個々の意見収集に特化している一方で、意見が動く過程を捉えたり、参加者同士の議論を促したりする機会は限定的でした。この課題を克服するため、チームみらいのエンジニアであるBluemo(青山柊太朗)氏が開発したのが「ゆる語りワークショップ」です。これは、討論や議論を通じて合意形成を目指す「熟議民主主義」を参考にしつつ、より多くの人が気軽に参加できる「おしゃべり」のような場を目指しています。
「こどもとSNS」規制、多角的な視点から
ワークショップのテーマは「16歳未満のこどもは、SNSのアカウントを持てないようにするべきだと思いますか?」という具体的な問いでした。2026年8月30日と31日の二晩にわたって開催されたこのワークショップには、のべ42名がオンラインで参加し、90分間の間で活発な意見交換が行われました。最初の投票では、日によって賛否が逆転する現象も見られ、問題の複雑さを示唆しています。
しかし、議論が「アカウント自体を止めるべきか、危険な機能だけ止めるべきか」といった具体的な場面に移ると、「危険な機能だけ止める」という意見に賛否を問わず多くの参加者が収斂していきました。「こどもを危険から守りたい」という共通の思いがある一方で、「何が危険か事前に判断できない」として一律規制を訴える声も聞かれました。また、参加者からは、個人情報を事業者に渡さずにマイナポータルで年齢認証のみを行うべきという画期的なアイデアが、異なる部屋から独立して複数提案されたことも注目に値します。
特に重要な発見の一つは、自己紹介やアイスブレイクなどの「雑談」の中から、「保護者に頼れないこども」という視点が生まれたことです。虐待を受けた経験のある人や不登校のこどもを持つ親など、自身の経験から「保護者による管理は、こどもの逃げ場を奪い、支配の道具に使われる可能性がある」と訴える声が上がりました。これはAIインタビューのような形式的な質問では決して引き出せない、人々のリアルな経験に基づいた貴重な意見であり、政策立案において見落とされがちな論点です。
「プランC」模索の難しさと今後の展望
「ゆる語りワークショップ」の究極の目標である「プランC」の創出は、容易ではありません。Bluemo氏は、SNS依存からの個人的な脱却策のようなカジュアルなテーマでは活発なアイデアが出る一方で、法律の設計という本質的な問いに直面すると、トレードオフの苦しい部分から議論が逸れてしまう難しさも率直に語っています。二晩のワークショップで59件の案が生まれ、中でも「アカウントを止める代わりに、AIが危ないやり取りに警告を発する」という案が最も多くの支持を集めました。
この結果は、「一律規制に賛成か反対か」という二者択一の問い方ではなく、「どんな設計なら受け入れられるのか」という問いの立て直しが、より深く建設的なアイデアにつながるという重要な示唆を与えています。チームみらいは、ワークショップの精度をさらに高め、より多くの人々が参加しやすい体験を目指し、ゆくゆくはこれを社会の共通基盤としてオープンソース化する計画です。また、参加者の声を政策に反映し、その結果を透明にフィードバックする「意思決定のループ」を確立するため、広聴本部を立ち上げ、分断を煽らず建設的に対話できる「みらいSNS」の開発も進めています。これらの取り組みは、民主主義の未来を拓く重要な一歩となるでしょう。
まとめ
- チームみらいはAIを活用した「デジタル民主主義」を提唱し、賛否二元論を超えた「プランC」の創出を目指しています。
- 「ゆる語りワークショップ」は、AIインタビューの課題を補完し、熟議民主主義を参考に「おしゃべり」感覚で公共の意見形成を促す試みです。
- 「こどもとSNS」規制を巡るワークショップでは、制度設計によって賛否が入れ替わることや、「保護者に頼れないこども」という重要な視点が雑談から発見されました。
- 「どんな設計なら受け入れられるか」という問いの立て直しが、より建設的なアイデアを引き出す鍵であることが示唆されました。
- チームみらいは、ワークショップの精度向上、参加者の拡大、そして集めた声を政策に反映しフィードバックする「意思決定のループ」の確立を目指しています。
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