69歳と70歳で医療費自己負担が激変!財政審の医療改革案を音喜多駿氏が解説

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69歳と70歳で医療費自己負担が激変!財政審の医療改革案を音喜多駿氏が解説

特に、69歳と70歳で医療費の窓口負担が大きく変わる「外来特例」の不合理性が指摘され、年齢ではなく負担能力に応じた公平な負担への見直しが焦点となっている。 財政審資料は、こうした現状を踏まえ、年齢で一律に線を引くのではなく、「年齢ではなく能力に応じた負担」へと見直すべきだと主張している。

2026年11月、財務省の財政制度等審議会に提出された社会保障に関する資料が、医療制度改革の議論を加速させている。特に、69歳と70歳で医療費の窓口負担が大きく変わる「外来特例」の不合理性が指摘され、年齢ではなく負担能力に応じた公平な負担への見直しが焦点となっている。元参議院議員の音喜多駿氏は、この財政審の提案内容を分析し、現役世代の保険料負担軽減という改革の目的達成に向けた意義を解説した。

医療費自己負担、1歳で「3倍近く」の格差


音喜多氏がブログで指摘するのは、財政審資料に示された、69歳と70歳という年齢の差だけで医療費の窓口負担額が大きく異なる「理不尽さ」だ。例えば、年収300万円の単身者が、年間20万円の医療費を負担した場合を想定する。69歳であれば、3割負担として6万円の支払いとなる。一方、70歳であれば原則2割負担だが、「外来特例」と呼ばれる制度により、月額上限が適用され、実際の負担額は4万円を大きく下回る約2.2万円で済む。つまり、わずか1歳違いで、自己負担額は3倍近くも開きが生じるのだ。

この「外来特例」は、2002年に高齢者の窓口負担が1割から原則2割へと引き上げられた際に、急激な負担増を抑えるための「激変緩和措置」として導入されたものだ。しかし、20年以上経過した現在も「特例」として存続しており、その政策的合理性について財政審資料は疑問を呈している。資料は、高額療養費制度に既に存在する多重のセーフティネットに加え、年齢だけで一律に自己負担を軽減する特例は不必要であるとし、廃止を求めている。そして、年齢に関わらず「原則3割負担」を目指して、窓口負担を段階的に引き上げるべきだとの提言を行っている。

「年齢ではなく能力に応じた負担」への転換


高齢者の医療費負担を引き上げることに対しては、「必要な受診を控えて重症化するのではないか」「高齢者には低所得者が多い」といった懸念の声も上がる。しかし、音喜多氏が紹介する研究結果は、こうした懸念に一石を投じるものだ。2014年に発表された重岡仁氏の研究(American Economic Review)では、70歳を境に自己負担が3割から1割へ軽減されても、外来・入院の利用は増加したものの、死亡率や健康状態の改善効果は確認されなかったという。

さらに、逆のケース、すなわち70〜74歳の負担が1割から2割に引き上げられた際の影響を分析した研究(西田・別所、2025年)では、健康状態を悪化させることなく、受診時の支出を抑える効果があったとされている。所得面でも、同条件で比較した場合、70歳以上の単身者の可処分所得や貯蓄額は、30歳未満の層を上回るというデータも示されている。財政審資料は、こうした現状を踏まえ、年齢で一律に線を引くのではなく、「年齢ではなく能力に応じた負担」へと見直すべきだと主張している。もちろん、低所得の高齢者への配慮は前提であり、金融所得の勘案拡大やマイナンバーを活用した資産把握といった、応能負担の精度を高める提案もセットで行われている。

医療提供体制への踏み込みとその狙い


今回の財政審資料の興味深い点は、患者側の負担だけでなく、医療を提供する側の構造にも踏み込んでいることだ。診療所は全国で10万施設を超え、人口減少下でも増加傾向にある。特に都市部への偏在が顕著で、人口10万人あたりの無床診療所数は、全国平均を上回る地域が多い。資料では、ドイツの例を参考に、地域や診療科ごとに必要な医師数を定め、それを超える地域では保険医の新規許可を制限するなどの、既存の医療機関も含めた需給調整の仕組みづくりを提案している。これは、自由開業医制に手をつける、という点で非常に踏み込んだ提案と言える。

また、医学部の定員についても、将来的な医師の供給過多を見据え、現在の定員維持による「優秀な人材の医学部偏重」が他の分野へ与える影響にも懸念を示している。さらに、美容医療など保険診療外の分野で活躍する医師・看護師が、公的資金で育成された人材であるという問題意識から、「医療人材確保負担金(仮称)」の導入を提案。自由診療を行う医療機関に従事者数に応じた負担を求め、その財源を地域医療の人材確保に充てるというアイデアは、医療提供体制の公平性と持続可能性を問うものだ。

薬価制度・費用対効果評価の見直し


薬の分野では、近年増加する高額医薬品への対応が急務となっている。1回の投与で数億円にもなる薬剤が登場する一方、日本の費用対効果評価は限定的であり、保険収載の可否判断に十分活用されていないのが現状だ。財政審資料は、イギリスやカナダのように、保険収載前の段階で費用対効果を評価し、償還(保険適用)の判断に活用することを提案している。これにより、医療費の適正化を図りつつ、革新的な新薬へのアクセスも両立させるメリハリの効いた制度設計を目指すとしている。費用対効果が見合わない医療技術については、保険外併用療養や民間保険の活用も検討すべきだとしている。

まとめ


財政制度等審議会から提出された社会保障資料は、高齢者の窓口負担の不均衡是正、負担能力に応じた公平な負担への移行、医療提供体制の構造改革、そして薬価制度の見直しなど、多岐にわたる改革案を示しています。
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2026-11-05 20:48:12(かわばた)

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