2026-10-30 コメント: 1件 ▼
共産党が「少子化克服」を綱領から削除 志位和夫議長が結婚・出産奨励に反対表明
共産党の志位和夫議長は、先日行った記者会見で党綱領改定案について説明し、現行綱領に記載されていた「少子化傾向の克服に力をそそぐ」という文言を削除する方針を明らかにしました。 この方針転換は、加速する日本の人口減少問題に対し、共産党がどのような社会像を描いているのかを浮き彫りにしています。
共産党綱領改定の意義
志位和夫議長が2026年10月29日の記者会見で発表した党綱領改定案は、今後の日本の社会政策に大きな議論を呼ぶ内容を含んでいます。特に注目されるのは、現行綱領にある「少子化傾向の克服に力をそそぐ」という文言の削除です。
志位氏は、この削除の理由として「性と生殖に関する健康と権利(SRHR)」の尊重を強調しました。これは、子供を産むか産まないか、何人産むかといった選択が、個人の自己決定権に属するという考え方に基づいています。
この方針は、2003年の第7回中央委員会総会での不破哲三議長(当時)の発言とは対照的です。不破氏は当時、「社会全体の立場で言えば、社会を構成する女性の多数が、産まない方向で自決してしまったら、社会の存続にかかわる危機を引き起こす」と述べており、少子化克服への取り組みは「当然のこと」と認識されていました。
志位氏は、かつて自身も不破氏の発言に共感していたと認めつつ、社会全体がSRHRを重視する方向に変化したことが、今回の方針転換の背景にあると説明しました。この発言は、共産党が過去の認識から大きく踏み出し、個人の権利をより強く打ち出す姿勢を示したことになります。
「自己決定権」の重要性と課題
志位議長は、党の方針が「人口減社会がどうでもいい」という立場ではないとしながらも、SRHRを無視して出産を事実上奨励する政策は、個人の権利を侵害するだけでなく、政策効果も薄いと指摘しています。その上で、産む産まない、子供を何人つくるかなどを自己決定できる社会こそが重要だと強調しました。
この自己決定権を保障するためには、教育費の軽減や社会保障の充実が必要であるとの見解も示されました。共産党は、これらの経済的・社会的な基盤が整わない限り、個人が自由に選択できる環境は実現しないと考えているようです。
一方で、自己決定権の過度な強調が、非婚化や晩婚化、出生数の減少に直接つながり、結果として社会や共同体の維持を困難にするのではないかという批判も存在します。麗澤大学の八木秀次教授は、少子化対策においては「結婚の奨励」こそが重要であると指摘しており、共産党の新たな方針とは一線を画しています。
関連報道では、共産党の綱領改定案では、共産主義の目的が「人間の自由開花」であると明記されたとも伝えられています。これは、今回の「自己決定権」の強調と根底でつながる思想を示唆しているのかもしれません。また、天皇条項の表現変更も含まれており、綱領全体で党の思想が現代に合わせて見直されていることが窺えます。
少子化対策における与野党の対立
日本は、少子化を「国難」と捉え、政府全体で対策を強化している状況にあります。高市早苗総理を筆頭とする現政権は、結婚や出産、子育てへの支援を拡充し、出生数の回復を目指しています。このような背景の中で、共産党が「少子化克服」の文言を削除し、結婚・出産の奨励に反対する姿勢を示したことは、与野党間で少子化問題への根本的な認識に大きな隔たりがあることを浮き彫りにしています。
他の主要政党も、児童手当の拡充や保育サービスの充実など、具体的な子育て支援策を競い合っています。しかし、共産党の今回の改定案は、そうした「少子化克服」を前提とした政策とは異なるアプローチを提示しており、日本の社会保障や家族観に関する議論に新たな視点を加えることになるでしょう。
共産党がSRHRを重視する姿勢は、ジェンダー平等や多様性の尊重といった現代社会の重要な価値観と結びついています。しかし、それが具体的な人口減少問題への実践的な解決策とどう両立するのか、あるいはしないのかは、今後の政策論争で深く掘り下げられるべき論点と言えます。
共産党の政策と国民感情の交差点
共産党が打ち出した綱領改定案は、個人の尊厳と自由な選択を重んじる現代的な価値観を反映しているように見えます。しかし、日本の人口構造が急速に変化し、社会の持続可能性が問われる中で、この方針が国民にどう受け止められるかは重要な問題です。
特に、子育て世代や将来を担う若い世代が、この「自己決定権」を巡る議論をどのように評価するのか、注目が集まります。共産党が主張する自己決定権の尊重は、現代社会において不可欠な視点です。
しかし、それが国家としての少子化対策という大きな枠組みの中で、どのように位置づけられ、国民の共感を得られるのかは未知数と言えます。教育費の軽減や社会保障の充実という具体的な政策提言は評価されるかもしれませんが、根本的な人口減少への対応として、国民が求める安心感をどれだけ提供できるか、その真価が問われることになるでしょう。
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