2026-10-10 コメント: 1件 ▼
音喜多駿氏:雇用の「正社員特権」見直しで不平等解消を
音喜多氏は、竹中氏の主張の核心は、1979年の東京高裁判決以降、日本では正社員の解雇が極めて困難になったという事実にあると整理する。 同氏は、こうした状況が企業に正社員採用を慎重にさせ、結果として非正規雇用を増やす要因になったと指摘する。
「正社員特権」見直し論、音喜多氏が賛同
音喜多氏は、竹中氏の主張の核心は、1979年の東京高裁判決以降、日本では正社員の解雇が極めて困難になったという事実にあると整理する。この結果、企業にとって正社員の人件費は、売上変動に関わらず発生する「固定費」となり、経営上のリスクとなる。同氏は、こうした状況が企業に正社員採用を慎重にさせ、結果として非正規雇用を増やす要因になったと指摘する。竹中氏が「非正規が特殊なのではなく、正規雇用が特殊なのだ」と表現した点を引用し、一般的に非正規雇用が増加した原因が派遣法改正にあるという見方に対し、パートやアルバイト、契約社員といった雇用形態の増加が実態に近いとの見解も補足している。
解雇規制の「裏」が非正規雇用を生む構造
同氏のブログ記事によれば、竹中氏の分析は、日本の雇用市場における構造的な問題を浮き彫りにしている。企業が解雇しにくい正規雇用者への依存度を減らすために、相対的に解雇しやすい非正規雇用を増やすというインセンティブが働いてきたのだ。音喜多氏は、この「正社員の特権」とも言える手厚い保護が、結果として、正規雇用になれない、あるいは短期的な雇用で働く人々との間に不条理な格差を生んでいると問題視する。
現行制度が招く「雇用の歪み」
音喜多氏は、雇用の流動化を長年持論としてきた立場から、現行の「解雇できない仕組み」には大きなデメリットがあると解説する。その最たる例として、就職氷河期世代への影響を挙げる。景気悪化時でも正社員を減らせない企業は、新規の正社員採用を抑制せざるを得ず、そのしわ寄せが、まさに社会に出ようとしていた若者たちに集中したのだ。
さらに、平時においても、企業は景気後退に備えて必要最低限の人員で運営し、不足分を長時間労働で補う傾向にある。人員調整の手段が事実上、転勤に限られることも、転勤に応じられない人材の評価を難しくする要因となっている。
女性のキャリア形成を阻む「年功序列」の壁
現行の雇用システムが最も大きな影響を与えている層の一つとして、音喜多氏は女性を挙げる。正社員が「長く勤め続けること」を前提とする年功序列型の賃金・昇進システムでは、出産や育児で一時的にキャリアを中断した女性が、復帰後に同期から大きく遅れを取り戻すことが極めて困難になる。
一度正社員の座を離れると、再び正社員として採用される道はさらに狭まり、多くの女性が非正規雇用を選択せざるを得ない状況を生んでいる。音喜多氏は、「長年勤めた人ほど報われる仕組み」は、裏を返せば「途中で離れた人ほど報われない仕組み」でもあり、女性活躍を本気で進めるには、この構造にメスを入れる必要があると訴える。
「守られすぎ」と「無防備」の二極化
さらに音喜多氏は、日本の雇用におけるもう一つの現実として、大企業の正社員と中小企業の労働者の間の格差を指摘する。解雇規制が強いとされるのは主に大企業正社員の話であり、中小企業では、法的保護が及ばないまま、突然の解雇や退職強要といった「事実上の解雇」が少なくないという。労働組合もなく、訴訟を起こす体力もない労働者は、泣き寝入りするか、わずかな解決金で諦めるケースが後を絶たない。
音喜多氏は、こうした状況を「守られすぎている人」と「まったく守られていない人」への二極化と表現し、解雇する際の「金銭解決のルール」を明確に整備することは、規制緩和であると同時に、最も弱い立場にある労働者を保護することにもつながると主張する。明確なルールがあれば、泣き寝入りを防ぎ、最低限の補償を確保できるはずだと力説する。
流動化とセーフティネット、セットで考える
雇用の流動化は、働く人々にとっての交渉力強化にもつながると音喜多氏は説く。現在の職場に不満があっても、次の職場が見つけやすい社会であれば、一社にしがみつく必要はなくなる。しかし、同氏は、流動化だけを進めるのではなく、リスクへの対応も不可欠であると強調する。解雇されやすくなる可能性に対しては、失業給付の充実、再訓練の機会提供、所得保障といった社会保障制度によるセーフティネットの強化が求められる。音喜多氏が「給付付き税額控除」にこだわる理由も、まさに「会社ではなく、制度で人を守る」仕組みの重要性を認識しているからだ。雇用の流動化と社会保障制度の再設計は、車の両輪のように、一体となって進めるべき施策であると結論づけている。
まとめ
音喜多駿氏は、竹中平蔵氏の「正社員制度見直し」論に触発され、日本の雇用における「正社員特権」の問題点を指摘した。同氏の主張の要点は以下の通りである。
- 厳格な解雇規制は、企業に正社員採用を抑制させ、非正規雇用を増加させる一因となっている。
- 現行制度は、就職氷河期世代の機会損失、慢性的な長時間労働、転勤できない社員の評価問題などを引き起こしている。
- 特に女性は、年功序列型賃金・昇進システムの中で、出産・育児によるキャリア中断が不利となり、再就職で非正規を選ぶケースが多い。
- 大企業正社員と中小企業労働者の間には格差があり、中小企業では事実上の解雇が横行している。
- 解雇の金銭解決ルールの整備は、労働者を保護する側面も持つ。
- 雇用の流動化は働く人の交渉力向上につながるが、失業給付や再訓練、所得保障といった社会保障制度の強化とセットで進めるべきである。
音喜多氏は、「正規も非正規もない、働き方の間に制度的な不平等がない社会」の実現を目指す姿勢を示している。
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