2026-08-17 コメント投稿する ▼
三重県、ベトナム人材採用支援の「裏」 税金投入はバラマキか
三重県が、県内企業によるベトナムからの「高度外国人材」採用を支援する動きを見せています。 しかし、「高度」という言葉を冠することで、あたかも優秀な人材ばかりを受け入れるかのような印象を与える一方、実態としては、単に労働力不足を補うための、いわゆる「安い労働力」を確保しようとしているに過ぎないのではないか、という疑念も拭えません。
三重県、ベトナム人材獲得へ動き出す
三重県は、県内に本社または事業所を持つ企業が、ベトナムから「高度外国人材」を採用するのを後押しするため、新たな支援策に乗り出しました。具体的には、2027年2月27日と28日に、ベトナムのハノイ工科大学で「ベトナム人材合同企業説明会&面接会」を開催する予定です。このイベントに参加する県内企業を現在募集しており、参加条件として、県内に事業所を持つこと、日本人採用と同等の処遇または高度人材の能力に沿った配置を行うこと、そして県内事業所での正規採用(派遣を除く)を予定していること、これら全てを満たす事業者を対象としています。応募が多数の場合は、中小企業や小規模企業者が優先されるとのことです。
この事業は、三重県雇用経済部が主催し、日本貿易振興機構(ジェトロ)三重貿易情報センターや地元の金融機関である百五銀行、三十三銀行などが後援しています。イベントの運営は株式会社セキショウキャリアプラスが委託を受けて実施します。参加企業の出展料は無料ですが、ベトナムへの渡航費や宿泊費は、企業側が負担する必要があります。一見すると、地域経済の活性化や産業の発展に資する取り組みのように映るかもしれません。
「高度人材」という言葉の曖昧さ
しかし、この支援策の核心部分である「高度外国人材」という言葉の定義が、極めて曖昧である点が気になります。一体どのようなスキルや専門性を持つ人材を「高度」と位置づけているのでしょうか。元記事からは、その具体的な職種や最低限求められる学歴・職務経験などの要件が全く読み取れません。
日本国内では、少子高齢化による人手不足が深刻化しており、特に地方ではその影響が顕著です。多くの企業が、採用難に直面し、事業継続が困難になるケースも少なくありません。こうした状況下で、外国人材の受け入れは、喫緊の課題であることは間違いありません。しかし、「高度」という言葉を冠することで、あたかも優秀な人材ばかりを受け入れるかのような印象を与える一方、実態としては、単に労働力不足を補うための、いわゆる「安い労働力」を確保しようとしているに過ぎないのではないか、という疑念も拭えません。
税金投入の是非、目標設定なき支援
この事業には、三重県民の血税が投入されています。県は、県内企業の国際競争力強化や、地域経済の活性化を目的としていると説明するでしょう。しかし、そもそも日本国内には、未だに若者の雇用問題や、非正規雇用者の低賃金といった課題が山積しています。
これらの国内人材の育成や、より良い雇用の創出に、税金をもっと重点的に投入すべきではないでしょうか。外国人材の受け入れ・支援に巨額の予算を割く前に、まず自国の若者や働く人々の支援を最優先すべきとの声が、多くの国民から上がっているのが現状です。
さらに、この支援事業における具体的な目標設定(KGIやKPI)が、公開されている情報からは全く見えてきません。どれだけの企業が、どれだけの数の、どのような分野の「高度人材」を獲得することを目指しているのか。明確な目標値や、事業の成果を測定する指標がなければ、この支援は単なる「バラマキ」に成り下がり、税金の無駄遣いにつながる危険性が極めて高いと言わざるを得ません。特に、中小企業や小規模企業者を優先する姿勢は、公的資金の使途として、さらに慎重な議論を呼ぶでしょう。
地域社会への影響と将来への懸念
外国人材の受け入れは、単に労働力を確保するという経済的な側面だけでは語れません。地域社会への影響も、決して無視できるものではありません。増加する外国人労働者が、地域経済の賃金水準を押し下げる懸念があります。また、住宅や医療、教育といった社会インフラへの負荷が増大する可能性も指摘されています。
「高度人材」であれば、これらの問題は生じにくいという見方もあるかもしれませんが、それはあまりに楽観的すぎます。言葉の壁、文化の違い、価値観の相違など、地域社会への適応や共生には、多くの課題が伴います。これらの課題に対し、三重県はどのような対策を講じようとしているのでしょうか。今回のような、特定の国からの人材獲得を支援する事業が、長期的な視点で地域社会の持続可能性にどう貢献するのか、その具体的なビジョンが欠けているように思われます。
今回の三重県の取り組みは、一見すると地域経済の活性化に繋がる魅力的な施策に見えるかもしれません。しかし、その裏に隠された「高度人材」という言葉の曖昧さ、税金投入の妥当性への疑問、そして明確な目標設定の欠如といった問題点を、私たちは冷静に見極める必要があります。安易な外国人材頼みは、日本社会にとって、将来的に大きな負担となりかねないのです。
まとめ
- 三重県は、2027年2月にベトナムでの合同企業説明会・面接会を通じ、県内企業によるベトナムからの「高度外国人材」採用を支援する。
- 「高度外国人材」の定義が不明確であり、単なる労働力不足の穴埋めになっていないか懸念される。
- 県民税が投入される支援策として、国内人材への支援との優先順位や、目標設定なき「バラマキ」化への疑問が呈されている。
- 外国人材の増加が地域社会に与える影響も考慮し、長期的な視点での慎重な検討が求められる。