2026-09-26 コメント投稿する ▼
コメ価格が下がらない理由─簗和生農水大臣が継承したJAファースト農政の実態
2026年9月17日の内閣改造で農林水産大臣に就任した簗和生氏が翌日、2025年産米21万トンの備蓄米買戻し契約の成立を発表しました。しかし買戻し価格は非公表のままです。備蓄米放出時にはJA農協系統が97.7%を買い受けており、その在庫を今度は国費で引き取る構図が見えてきました。米価を高く保つために水田を3割以上減らしながら「食料安全保障」を唱える農政の矛盾と、消費者が高いコメを買わされながら税負担まで強いられる二重の損失構造を、元農水官僚の専門家が厳しく指摘しています。大臣が替わっても農林族議員とJA農協が一体となった利益構造は変わらず、国民の不利益が続く状況です。
就任翌日に示された「JAファースト」の継承
2026年9月17日、第2次高市早苗氏(首相)改造内閣が発足し、農林水産大臣に簗和生氏が就任しました。翌18日、農林水産省は2025年産米21万トンの備蓄米買戻し契約が8業者との間で成立したと発表しました。簗氏は就任会見で「食料安全保障の観点から、適正備蓄水準への回復を進めていく必要があります。2025年産米21万トンの買戻しを着実に実行してまいります」と述べ、前任の鈴木憲和氏(前農林水産大臣)の路線を明確に引き継ぎました。2026年9月20日にはさらに追加の買戻しにも言及しています。
「価格に直接コミットしない」と言いながら、価格が下がりそうになれば国費で買い支える─。元農林水産省職員で武蔵野大学国際総合研究所研究主幹の山下一仁氏は「高いときは市場に任せ放置するが、下がりそうになると買い支える。消費者は高いコメを買わされ、税金でも負担することになる。大臣が交代しても状況は変わりそうにない」と指摘します。
「就任の翌日にもう方針継続って、そもそも何のための内閣改造だったんだろう」
「農水大臣が誰になっても農林族とJAのセットで変わらないよ、この国は」
「食料安保って言葉だけ使って、中身はJAの在庫整理じゃないの?」
「価格が非公表って何?税金を使う話なのに国民に説明できないってこと?」
「スーパーで新米より古米が高いなんて異常。農政がどうかしてると思う」
価格非公表が示す政策の不透明さ
今回の買戻しで最大の問題となっているのは、取引価格の非公表です。2025年3月から4月に行われた前回の備蓄米放出では落札価格が公表されていましたが、今回は「8業者と21万トンの契約が成立した」と発表されただけで、価格は開示されていません。
2025年産米の相対取引価格は2026年8月時点で玄米60キログラム当たり3万2000円、年産平均では3万5000円と史上最高水準にあります。一方、2026年5月に実施した一般競争入札での2026年産米買い入れ落札価格は2万円でした。仮に3万円台で買い戻せば莫大な財政負担が生じ、「なぜ今すぐ国費でJA農協を救済するのか」という批判が起きます。逆に2万円で買い戻せば2025年産米の大幅な値下がりを農林水産省が容認したと受け取られ、市場での価格崩壊を招く可能性があります。どちらに転んでも批判を免れないため、価格を非公表にしたと考えられます。
消費者と納税者が二重に負担する構造
そもそもなぜ史上最高値の2025年産米の在庫がJA系統に積み上がったのでしょうか。2025年3月から4月に行われた備蓄米31万トンの放出では、JA全農が94.8%を買い受け、JA農協系統全体で97.7%を占めていました。消費者に近い卸売業者や小売業者ではなく、米価下落に反対していたJA農協に売り渡されたのです。放出されたコメが実際に消費者へ届くまで約7か月かかり、価格を抑える効果はほとんど得られませんでした。
JA全農が大量の在庫を抱えながら販売価格を下げない姿勢をとり続けたことで、米価の高止まりが長引きました。その在庫を今度は国費で買い取るという構図が出来上がっています。JA農協は「食料安全保障のために100万トンの備蓄水準への回復が必要」と主張しますが、専門家はこれを実質的な米価下落防止対策とみています。JA系列の全農物流は前期比235%の営業利益を計上しており、コメ騒動でマージンを大幅に拡大させた事実も見逃せません。農林水産省の推計によれば、来年6月末時点で約95万トンの過剰在庫が発生する見込みとされており、その処理にさらなる国家予算の投入が検討されています。消費者は高いコメを買わされ続けながら、さらに税金という形で二重の負担を強いられているのです。
水田を壊しながら「食料安保」を語る矛盾
農林水産省は「食料安全保障」を根拠に買戻しを正当化しますが、その足元では農地が急速に失われています。1969年に344万ヘクタールあった水田面積は現在230万ヘクタールへと3割以上減少しており、1961年以降に失われた農地の総量は中国地方の面積を上回ります。
最大の要因は1970年から半世紀以上にわたって続く減反政策です。米価を高く維持するために補助金でコメ作りを制限し、転作作物も見つけられない水田は耕作放棄や転用が進んできました。水田には水資源の涵養や洪水防止といった多面的な国土保全機能があります。それにもかかわらず農政は「水田を水田として使わないこと」に補助金をばらまき続け、農地そのものを消滅させてきたのです。高市政権が物価高対策の観点から備蓄米買戻しに慎重な姿勢を示した場面もありましたが、農林族議員を通じたJA農協の強い働きかけで押し切られたとも指摘されています。備蓄を増やすと唱えながら生産基盤の水田を自ら破壊し続けるという根本的な矛盾が、数十年にわたって続いてきた結果が今のコメ高騰です。農林族議員とJA農協が一体となった利益構造が変わらない限り、消費者が適正な価格でコメを手にする日は遠いかもしれません。
まとめ
- 簗和生農水大臣は2026年9月18日、前大臣の路線を引き継ぎ2025年産米21万トンの備蓄米買戻し契約成立を発表した
- 買戻し価格は非公表。高くても安くても批判を招く状況のため開示されないとみられる
- 2025年産備蓄米放出時の97.7%がJA系統に売却され、JA農協が在庫を抱えながら値下げを拒んだことが米価高止まりの一因
- 消費者は高いコメを買わされながら、備蓄米買戻しという形で税負担も強いられる二重の構造になっている
- 1969年比で水田面積は3割以上減少。減反政策が農地を破壊しながら「食料安全保障」を掲げる矛盾が問題の根本にある
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