2026-08-20 コメント投稿する ▼
小泉進次郎防衛相「退職自衛隊員・家族支援庁」創設へ 深刻な定員割れ解消に本腰
防衛省は、退職自衛官とその家族への支援を一元化する「退職自衛隊員・家族支援庁」(仮称)を2027年度に創設する検討を進めています。小泉進次郎防衛相が2026年6月に検討を指示し、2026年8月末締め切りの2027年度予算概算要求に関連経費を盛り込む方針です。背景には自衛官の深刻な定員割れがあります。2026年3月末時点の現員は21万7701人と定員比88%にとどまり、防衛省は少子化が続けば2045年には約13万人まで減少するとの試算も示しています。退職後も安心できる環境を整えることで、自衛官を志す若者を増やす狙いがあります。
急ぐ背景 自衛官の定員割れが常態化 2045年には約13万人に減少の試算
防衛省が新たな庁の創設を急ぐ最大の理由は、自衛官のなり手不足が危機的水準に達しているからです。少子化が進む日本では入隊する若者の数が減少傾向にあり、このままでは国防体制の維持が困難になるという危機感が高まっています。
定員24万7154人に対し、2026年3月末時点の現員は21万7701人にとどまります。充足率は88%にすぎず、定員割れが常態化しています。
2025年度には石破政権時代の処遇改善の効果もあり、採用者数が3年ぶりに1万人を超えました。しかし同年度の中途退職者は4500人を超え、新規採用者数の約4割に相当する規模での流出が続いています。
防衛省は少子化の進行が続いた場合、2045年には自衛官が現在の約半数に当たる13万人程度まで減少するとの試算もまとめています。安全保障環境が厳しさを増す中、人材確保への対策は待ったなしの状況です。
小泉進次郎防衛相が主導 2027年度概算要求に関連経費を計上へ
第2次高市早苗内閣で防衛大臣を務める小泉進次郎氏は2026年6月17日、省内に退職自衛隊員・家族支援庁の創設を含む支援強化策を検討する委員会を立ち上げ、自らが委員長に就任しました。
小泉防衛相は「国を守るという崇高な任務を全うした自衛隊員、平素から支える家族に報いることができるよう、支援と体制を強化することが必要だ」と語り、米国の退役軍人省を参考にした制度設計を進めています。
2026年7月21日に閣議決定された「骨太の方針」(経済財政運営と改革の基本方針)にも、退職自衛隊員・家族への支援について「新たな庁の設置を含め取り組みの強化を検討する」という表現が盛り込まれました。
防衛省は2026年8月末締め切りの2027年度予算概算要求に関連経費を盛り込む方針で、早ければ2027年1月召集の通常国会に関連法案を提出したい考えです。超党派の議員連盟も発足するなど、庁の創設に向けた機運は与野党を越えて高まっています。
「自衛隊に入ってくれた人たちをもっと国が大切にしてほしい。支援庁の構想は正しい方向だと思います」
「定員の1割超が空席とは深刻。少子化がこんな形で安全保障に直結するとは改めて考えさせられます」
「退職後の生活が不安なら入隊をためらうのは当然。国が責任を持って面倒を見る仕組みが必要です」
「アメリカの退役軍人省のような組織を日本も作るべきだとずっと思っていた。やっと動きが出てきた」
「支援庁を作るだけでなく、実際に機能するかが大事。成果の目標をしっかり示した上で進めてほしい」
再就職・医療・年金・家族支援を一元化 「ワンストップ」対応を目指す
現在、退職自衛官への支援は内局の各課や陸海空の各自衛隊などに機能が分散しており、退職後の隊員や家族にとって窓口がわかりにくく使いにくい状況が続いています。新庁が創設されれば、こうした機能が統合され、利用しやすい環境が整います。
具体的には、民間と連携した再就職先のあっせん、メンタルヘルスを含む医療ケアの提供、家族の就学支援、年金や給付金の相談対応などを「ワンストップ」で担う見通しです。
自衛隊は組織の精強性を維持するために若年定年制を採っており、大半の隊員が50代後半で定年を迎えます。退職後の生活が安心できるものでなければ、入隊の魅力は下がり続けます。庁の規模は100人余りの既存の庁を参考に検討が進んでいます。
米国では退役軍人を社会全体で感謝しながら支える文化が根付いており、退役軍人省がその中核を担っています。米国居住経験もある小泉防衛相は、こうした文化への言及を折に触れて行っています。
消極論を抱えながらも推進へ 「国を守った隊員を守り返す」政策は評価できる
政府内には「庁の設置は選択肢の一つ」という消極的な意見もあります。将来的な予算や人員の確保が課題となるためです。
しかし「国を守る職業を選んでくれた人への報いが不十分」という現実は、安全保障を語る以前の問題です。退職後の支援を充実させることは、現役の自衛官にとっても自らの将来像を安心して描くことにつながり、なり手不足の解消に直接・間接的に貢献します。
防衛省は概算要求への計上を通じて庁の設置に向けた姿勢を明確にします。「入ってよかった」「退職後も守ってもらえる」と感じられる組織であってこそ、自衛隊への志願者は増えていきます。退職後も隊員とその家族が安心して暮らせる仕組みづくりは、国家の安全保障の礎を支える重要な一歩です。
まとめ
・防衛省は「退職自衛隊員・家族支援庁」(仮称)を2027年度に創設する検討を進め、2026年8月末の概算要求に関連経費を盛り込む方針です。
・自衛官の定員充足率は88%(2026年3月末時点)にとどまり、2045年には約13万人まで減少するとの試算もあります。
・庁が設置されれば、再就職支援・医療ケア・年金相談・家族支援などを現在の分散した体制から一元化します。
・米国の退役軍人省が参考モデルで、小泉進次郎防衛相がトップとなる委員会が制度設計を主導しています。
・関連法案は2027年1月召集の通常国会への提出を目指しており、超党派議員連盟の後押しもあります。