2026-04-26 コメント投稿する ▼
米国産原油がホルムズ封鎖後初到着 コスモエネルギー、パナマ運河経由で35日
コスモエネルギーホールディングスが調達した米国産原油を積んだタンカーが2026年4月26日、千葉県の原油受け入れ設備「京葉シーバース」に到着しました。 コスモエネルギーホールディングスによると、今回到着した原油は約14万5000キロリットルで、国内消費の約半日分に相当します。 資源エネルギー庁は、2026年5月の米国からの調達量を前年比で約4倍まで拡大する見込みと説明しています。
ホルムズ封鎖後、初の米国産原油が到着
コスモエネルギーホールディングスが調達した米国産原油を積んだタンカーが2026年4月26日、千葉県の原油受け入れ設備「京葉シーバース」に到着しました。経済産業省によると、中東情勢の悪化後にイランとの軍事衝突を受けてホルムズ海峡が事実上封鎖されて以来、米国から新たに調達して届くのは初めてのことです。
ホルムズ海峡とは、ペルシャ湾とオマーン湾をつなぐ幅約33キロメートルの狭い海峡で、世界が消費する原油の約2割がこの海峡を通過します。日本にとっては輸入原油の約90パーセントがこのルートに依存しており、まさに「エネルギーの大動脈」と呼ばれてきました。2026年2月28日、米国とイスラエルがイランを攻撃したことをきっかけに、イランはこの海峡の通航を著しく制限しました。大手海運会社が相次いで通過を停止し、封鎖前に1日平均20隻以上あった原油タンカーの通航は、ほぼゼロ近くにまで落ち込みました。
「ガソリン代だけじゃなくて、スーパーの値段まで上がってきた。この危機はいつ終わるんだろう」
パナマ運河経由で35日、喜望峰回避のルートとは
コスモエネルギーホールディングスによると、今回到着した原油は約14万5000キロリットルで、国内消費の約半日分に相当します。米テキサス州を2026年3月22日に出発し、パナマ運河を経由して35日間かけて輸送されました。アフリカ南端の喜望峰を回る場合には約55日かかるところ、パナマ運河を利用することで大幅に輸送期間を短縮しました。小型タンカーしか通れないパナマ運河の制約はあるものの、今後も同様のルートが活用される見込みです。
資源エネルギー庁は、2026年5月の米国からの調達量を前年比で約4倍まで拡大する見込みと説明しています。5月の調達全体では前年実績の過半が確保できる見通しで、不足分は備蓄の放出で補う方針です。政府は米国産に加え、中南米や中央アジアのカザフスタン、ブラジル、カナダなど多方面からの調達も検討しています。
「テキサスから35日かけて運んできたんですか。日本のエネルギー安保がこれほど脆いとは思っていなかった」
備蓄放出と迂回ルート整備で官民対応急ぐ
今回の代替調達は、政府の石油備蓄放出と並行して進んでいます。2026年3月下旬、高市早苗首相は国家備蓄の放出を順次開始すると発表しました。放出予定総量は約850万キロリットル、金額にして約5400億円で、国内需要の約1か月分に相当します。ENEOSホールディングス、出光興産、コスモエネルギーホールディングス、太陽石油の4社が放出先となっています。また、アラブ首長国連邦のフジャイラ港やサウジアラビアのヤンブー港を活用した中東産原油の迂回ルートも整備されており、2026年3月末から4月初めにかけてすでに複数のタンカーが到着しています。
「備蓄8か月分あるって言うけど、ナフサの問題があるんだよな。プラスチック製品の値上がりが怖い」
専門家や市場関係者が懸念しているのが、原油より深刻とも言われるナフサ不足の問題です。プラスチックや合成ゴムなどの原料となるナフサは、国内需要の7割を輸入に頼っており、そのうち7割以上を中東からの輸入が占めます。国内化学メーカーはすでに減産を開始しており、資源エネルギー庁は、米国や南米などからの輸入と備蓄活用を合わせてもナフサは国内需要の約2か月分しか見込めないと説明しています。ガソリンや軽油に比べてナフサの備蓄余裕は少なく、化学産業や製造業への影響拡大が懸念されます。
政府は2026年3月19日からガソリン補助金を開始しています。2025年度予備費から約8007億円を閣議決定し、そのうち約7948億円をガソリン補助金の財源として充てることになりました。しかし、補助金の対象にならないナフサ由来のプラスチック製品や化学品については価格転嫁の圧力がかかっており、家計や中小企業への影響は避けられません。物価高に苦しむ国民の立場からすれば、給付金ではなく減税や直接的な価格抑制こそが求められるのは当然の民意です。
「補助金で一時しのぎするより、燃料税を下げてくれればいい。根本的な解決をしてほしい」
半世紀前のオイルショックから変わらない構造的弱点
今回の事態は、日本が長年にわたってエネルギー供給の多様化に取り組んできたにもかかわらず、中東依存率が93パーセント前後という高水準にとどまってきた構造的な問題を改めて浮き彫りにしています。1973年の第1次オイルショック以来、日本は石油備蓄の積み増しや石油火力発電の削減など一定の対策を進めてきましたが、原油調達先の多様化という課題は半世紀が経っても達成できていません。今回のホルムズ海峡封鎖は、1973年と1979年のオイルショックで世界全体の数パーセントの供給が失われたのとは異なり、世界の原油輸送量の約20パーセントが一気に遮断されるという、過去に類を見ない規模の危機です。
米国産原油の初到着は、危機への対応における第一歩にすぎません。今後も調達先の分散を続けながら、備蓄の適切な放出と価格対策を組み合わせることで、国民生活やサプライチェーンへの打撃を最小限に抑えることができるかどうか、政府の危機管理能力が問われています。数十年にわたるエネルギー政策の課題が積み重なって今日の物価高として顕在化しているという見方も根強く、一刻も早い減税措置や財政対応を求める声は日増しに高まっています。
まとめ
- 2026年4月26日、コスモエネルギーホールディングスが調達した米国産原油がホルムズ海峡封鎖後初めて千葉県に到着した
- 原油量は約14万5000キロリットル(約91万バレル)、国内消費の約半日分に相当
- 米テキサス州からパナマ運河経由で35日間の輸送(喜望峰回りの約55日より大幅短縮)
- 政府は2026年5月の米国産調達量を前年比約4倍まで拡大する見込み
- 国家備蓄は約8か月分(国家・民間・産油国共同備蓄合計)で、約850万kl・5400億円規模の放出を開始
- ナフサ不足が原油より深刻で、国内需要の約2か月分しか確保できない見込み
- 中東依存率93%という構造的問題が露呈。半世紀前のオイルショックから変わらない弱点が浮き彫りに
- 国民から減税・燃料税引き下げを求める声が高まっている