2026-10-16 コメント投稿する ▼
米国産ジャガイモの輸入解禁、武部新農相が「合意なければ解禁なし」と明言
武部新氏(農林水産大臣)が参院予算委員会で、米国産ジャガイモの輸入解禁をめぐる米国との協議について「双方納得できる合意が見いだせない限り、輸入が解禁されることはない」と述べ、毅然とした姿勢で対応する考えを示しました。日本では生食用などの輸入が植物防疫法に基づく基準で禁止され、例外はポテトチップ用だけです。農林水産省は2026年8月28日に協議が必要な病害虫21種を特定し、手続きは最終段階に近づいています。全国の約8割を生産する北海道では反対の声が強く、武部農相の答弁の内容と、輸入が認められない理由、日米協議の進み方、生産者の心配を、分かりやすくまとめます。
武部新農相が参院予算委で語った内容
2026年10月16日、武部新氏(農林水産大臣)が参議院予算委員会で、米国産ジャガイモの輸入解禁をめぐる米国との協議について発言したと報じられました。武部氏は「双方納得できる合意が見いだせない限り、輸入が解禁されることはない。毅然とした姿勢で対応していく」と述べています。つまり、米国との間で双方が納得できる合意ができなければ、解禁は進まないという立場です。
武部氏は2026年10月15日に農林水産大臣に就任したばかりです。前任の簗和生氏(前農林水産大臣)の退任を受けた交代で、高市早苗氏(首相)が起用を決めました。武部氏は56歳で、衆議院の北海道選出、当選6回です。農林水産副大臣を務めた経験があり、父の武部勤氏も農林水産大臣を務めた政治家です。
就任初日の記者会見でも、武部氏は「病害虫のリスクを払拭できなければ、当然輸入はできない」と話していました。就任の翌日の国会でも、解禁には双方の合意が必要だという考えを示した形です。
就任してすぐ国会でここまではっきり言ってくれたのは安心です。病害虫が入ってからでは遅いので、ここは絶対に譲らないでほしいです
米国産ジャガイモが今も輸入できない理由
日本では、米国から送られる生のジャガイモ(法令上は「ばれいしょの生塊茎」といいます)の輸入について、植物防疫法に基づく厳しい基準が設けられています。農林水産省の告示は2006年に定められ、2007年に改正されました。この基準のもとでは、生で食べる用や一般に売られる用のジャガイモは輸入できません。
例外として認められているのは、ポテトチップ用だけです。その条件も細かく決まっています。指定された生産地域で育てたものを使うこと、密閉したコンテナで船に積むこと、植物検疫の証明書をつけること、加熱して加工する施設へ直接運ぶことなどです。さらに、薄く切ったものを130度以上の油に2分以上つけることも求められています。
ここまで慎重なのは、ジャガイモシロシストセンチュウなどの病害虫が日本の畑に入り込むのを防ぐためです。センチュウとは、土の中にすむ小さな虫のことで、ジャガイモの根に寄生します。一度畑に入り込めば農家に深刻な被害が出かねないため、国は輸入のルールを厳しくしてきました。
ポテチ用だけ例外で、生で食べる分は禁止なのにはちゃんと理由があるんですよね。そこを崩したら、国産のジャガイモ農家がいちばん困ります
日米協議はどこまで進んでいるのか
日米協議の土台となる、米国産の生のジャガイモを輸入できるようにするための手続きは、3つの段階に分かれています。政府は2026年8月6日、この手続きを最終段階へ進める方針を示したと報じられました。
2026年8月28日には、農林水産省がリスク評価の結果を公表しました。協議が必要な病害虫として21種類を特定し、その中にはジャガイモシロシストセンチュウも含まれています。このとき鈴木憲和氏(当時の農林水産大臣)は、閣議後の記者会見で「侵入を許さない強い決意」を示しました。次の段階は、病害虫のリスクをどう管理するかを決める作業で、検疫の対策案や有識者の意見、解禁の条件が検討されます。
2026年9月18日には、農林水産省が全国向けのオンライン説明会を開きました。3つの段階のうち2番目を終え、近く最終の工程に入るという説明です。解禁までには数年かかる見通しだと報じられています。また、米国の農務省と米通商代表部(USTR)から、手続きを早めるよう求められたとも報じられました。武部氏が「双方納得できる合意」を条件に挙げたのは、こうした流れの中での発言です。
アメリカに急かされて、安全の確認が後回しになるのだけは困ります。納得できる合意がなければ解禁しない、という言葉を信じたいです
北海道の生産者が心配していること
ジャガイモの産地として知られる北海道は、全国の生産量の約8割をつくっています。それだけに、輸入解禁への不安は大きく、2026年8月26日付の報道では、十勝地方の生産者から「畑に深刻な被害をもたらす病害虫が入り込む恐れがある」として反対する声が相次いでいると伝えられました。
2026年9月2日には、農林水産省が十勝の帯広で生産者向けの説明会を開きました。農家など約340人が参加し、反対の意見が大半だったと報じられています。農家にとって畑は、毎日の仕事と暮らしを支える場所です。病害虫のリスクが残る限り、慎重な判断を求める声が上がっています。
「一度畑に病害虫が入ったら、農家は本当に大変です。家族で守ってきた畑なのだから、慎重すぎるくらいでちょうどいいと思います」
「国民の食を守ることが農相の大事な仕事です。解禁の話が出るたびに不安になるので、結論ありきの協議だけはやめてほしいです」
武部氏は北海道選出の政治家です。高市政権のもとで就任した新しい農相が、国会という公の場で「合意がなければ解禁しない」と述べました。今後は、病害虫のリスク管理の中身と、日米協議の進み方が引き続き注目されます。
まとめ
- 武部新氏(農林水産大臣)が参院予算委で、米国産ジャガイモの解禁は「双方納得できる合意」がなければないと述べた
- 武部氏は2026年10月15日に就任し、会見でも病害虫のリスクを払拭できなければ輸入できないと発言
- 日本では生食用などの輸入が禁止で、例外はポテトチップ用のみ
- 農林水産省は2026年8月28日に協議が必要な病害虫21種を特定した
- 北海道は全国の生産量の約8割をつくっており、十勝などで反対の声が強い
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