2026-05-12 コメント投稿する ▼
エネルギー安全保障と国内経済維持へ、高市総理が閣僚会議で指示
会議では、国際的なエネルギー供給の安定化に向けた取り組みの進捗状況が共有されるとともに、国内経済活動への影響を最小限に抑えるための対策が議論されました。 この取り組みは、日本企業のサプライチェーン維持に貢献するとともに、日本への医療物資の安定供給にも繋がるとしています。
総理の海外出張と外交成果
会議の冒頭、高市総理は直近のベトナムおよびオーストラリア訪問について報告を行いました。ベトナム訪問では、現地指導者らとの会談を通じて、日本の新たなエネルギー構想「パワー・アジア」の第一弾案件として、ニソン製油所への金融支援を進めることで合意に至ったことを明らかにしました。この取り組みは、日本企業のサプライチェーン維持に貢献するとともに、日本への医療物資の安定供給にも繋がるとしています。
また、オーストラリアでは、エネルギー関連製品の安定供給確保や、「パワー・アジア」構想も視野に入れた両国間の連携強化を確認。地域のエネルギー安全保障を強固なものにしていく方針を共有しました。これらの国際的な動きは、不安定化する世界情勢の中で、日本の国益を守り、経済活動の基盤を安定させるための重要な外交戦略の一環と位置づけられています。
原油調達の多角化と安定供給
今回の閣僚会議では、大型連休中に海外へ出張した各大臣から、資源外交に関する報告が相次ぎました。茂木経済産業大臣からは、アフリカの産油国アンゴラとの間で、日本企業の同国産原油取引への参画を後押しすることで一致したとの報告がありました。
さらに、サウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)を訪問した赤澤副大臣は、両国との間で、日本への原油供給の安定化、日本およびアジア地域での石油備蓄協力の拡大、そして代替調達ルートの確保といった新たな連携策について合意したことを報告しました。マレーシアを訪れた鈴木財務大臣も、肥料原料である尿素の安定供給の確約を得たほか、原油やナフサの安定供給についても働きかけを行ったと述べています。
これらの外交努力の結果、中東情勢の緊迫化により懸念されていたホルムズ海峡を通過しない代替調達ルートの確保が進展しています。5月時点で見込まれる代替調達の割合は約6割、6月には7割以上に達する見通しです。調達先も、中東や米国に加え、中南米、アジア太平洋、さらには中央アジアやアフリカへと拡大されており、原油調達先の多角化が着実に進んでいることが示されました。
国内経済への影響と対策
原油調達の見通しが立ったことを受け、高市総理は、5月中の国家石油備蓄の追加放出については見送る方針を表明しました。これは、代替調達の進展により、6月以降に必要な石油量を確保できる見通しが立ったためです。今後は、引き続き代替調達を進め、国家備蓄への依存度を抑えながら、国内全体として必要となる石油量を安定的に確保していく考えです。
国内においては、ガソリン、軽油、灯油などの価格高騰を抑えるための補助金措置も継続されています。これにより、ガソリン価格の全国平均は170円/リットル前後に抑制されており、国民生活や経済活動への急激な悪影響を防ぐための取り組みが続けられています。
「流通の目詰まり」解消に向けた新たな指示
一方で、国全体として必要量のエネルギーは確保できているものの、国内の「流通の目詰まり」、いわゆるサプライチェーンの滞りが、一部物資の供給不安を引き起こしている実態も明らかになりました。建設業界からは、シンナー・塗料、ユニットバス、断熱材、塩ビ管、アスファルト防水材などに対する供給への懸念の声が上がっています。
これらの品目については、製造段階では前年の実績に応じた供給が可能であることが確認されています。しかし、製造元から消費者に届くまでの流通プロセスにおいて、何らかのボトルネックが生じているとみられています。高市総理は、金子大臣および赤澤副大臣に対し、これらの「流通の目詰まり」を一刻も早く解消するよう、改めて指示しました。
具体的には、「シンナー・塗料」や「住宅設備」など一部品目では、流通段階での原因特定と解消作業が順次進められています。また、「潤滑油」や、ディーゼル車の排ガス浄化に不可欠な「アドブルー」については、業界団体を通じて、需要家や卸売業者に対し、前年同月比での購入協力を呼びかけるなどの働きかけが行われています。医療分野でも、エクモ用洗浄剤などの供給問題は解消されました。
高市総理は、これらの流通上の問題に対し、関係閣僚が製造事業者の供給状況を確認するだけでなく、川中から川下、すなわち流通段階の状況についても、地方経済産業局や地方整備局といった国の地方機関、さらには地方自治体とも連携しながら、プッシュ型で丁寧に把握することの重要性を強調しました。このきめ細かな実態把握を通じて、迅速かつ効果的な問題解決を図るよう、新たな指示として求めたものです。