アゼルバイジャン産原油がイラン攻撃後初めて横浜・根岸製油所に到着 ENEOSとINPEXが実現した代替調達の第一歩

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アゼルバイジャン産原油がイラン攻撃後初めて横浜・根岸製油所に到着 ENEOSとINPEXが実現した代替調達の第一歩

石油元売り大手ENEOSが調達したアゼルバイジャン産原油を積んだタンカーが2026年5月12日正午ごろ、横浜市の根岸製油所に接岸する予定です。2026年2月末の米国・イスラエルによるイラン攻撃とホルムズ海峡の事実上の封鎖以降、中央アジア産原油が日本に到着するのは初めてです。日本の1日消費量の12%にあたる約28万3000バレルを積んでおり、INPEXが権益を持つカスピ海沖のACG油田からBTCパイプライン・スエズ運河を経由したルートで輸送されました。資源エネルギー庁は「形になりつつある」と評価しますが、具体的な数値目標と工程表の公開が政府には求められます。

イラン攻撃後初 アゼルバイジャン産原油が横浜に到着へ


石油元売り大手のENEOSが調達したアゼルバイジャン産原油を積んだタンカーが2026年5月12日正午ごろ、神奈川県横浜市にあるENEOSの「根岸製油所」に接岸する予定です。経済産業省が明らかにしました。

今回のタンカーが積んでいる原油の量はおよそ28万3000バレルで、日本の1日あたりの消費量の約12%に相当します。2026年2月末の米国・イスラエルによるイラン攻撃とホルムズ海峡の事実上の封鎖以降、アゼルバイジャンを含む中央アジア産の原油が日本に到着するのは今回が初めてとなります。

資源エネルギー庁は「多角的な調達先の確保は、日本の原油や石油製品の供給に必要」とコメントし、原油の代替調達が「形になりつつある」と強調しました。

こういうニュースは正直ほっとする。でも1日の消費量の12%でしかないという現実も重い

INPEXが権益を持つACG油田から カスピ海→黒海→スエズ→日本へ長距離輸送


今回の原油は、日本の石油開発大手INPEXが権益の一部(出資比率9%程度)を持つアゼルバイジャン・カスピ海沖のACG(アゼリ・チラグ・ガンシャリ)油田で採掘されたものです。

採掘された原油はBTC(バクー・トビリシ・ジェイハン)パイプラインを通じてトルコの地中海岸まで陸送された後、タンカーに積み替えられてスエズ運河を経由し日本まで輸送されました。ホルムズ海峡を一切通過しない代替ルートによる輸送であることが今回の大きな意義の一つです。

INPEXはカスピ海沖に、アゼルバイジャンのACG油田とカザフスタンのカシャガン油田の2つで権益を保有しており、2油田合計の1日あたりの生産能力は約78万バレルに上ります。INPEXは2026年3月下旬に、これまで欧州向けに販売してきたスポット契約分を、日本の石油元売りや商社からの需要に応じて優先的に振り向ける方針を固めていました。

INPEXが日本向けを優先にしてくれた。日本企業がエネルギー安全保障に貢献しているのはいいことだ

代替調達ルートは複数存在 しかしリスクの「複雑化」という課題も


日本の原油輸入の約9割は中東産で、そのほとんどがホルムズ海峡を経由してきました。今回のアゼルバイジャン産原油を皮切りに、政府は代替調達ルートの多角化を急いでいます。

代替ルートとしては、アゼルバイジャン・カザフスタンからのBTC・CPC(カスピアン・パイプライン・コンソーシアム)パイプライン経由のほか、サウジアラビアからヤンブー港(紅海沿岸)、アラブ首長国連邦(UAE)からフジャイラ港(オマーン湾沿岸)を経由する迂回ルートも活用されています。

しかしこれらのルートにも課題があります。カシャガン産の出荷に使うCPCパイプラインは2026年3月にドローン攻撃を受け、出荷能力が一時的に大幅に低下したとの報道があります。代替調達ルートを増やすことはリスクの「分散」であると同時に、監視すべきリスクの「複雑化」でもあります。

代替ルートも安全ではないのか。ホルムズ一極依存の怖さを今さらながら痛感している

調達多角化は評価するが 数値目標と工程表の明示が政府の責任だ


今回のアゼルバイジャン産原油の到着は、中東依存からの脱却に向けた一歩として評価できます。しかし、28万3000バレルという量は日本の1日消費量の12%に過ぎず、代替調達が完全に軌道に乗るまでにはなお時間がかかります。

日本が中東産原油に9割近くを依存してきた構造は、長年の政策判断が積み重なった結果です。国産エネルギーの開発推進・再生可能エネルギーの強化など、根本的なエネルギー政策の立て直しが急務です。

外国への資源依存を続ける以上、調達先の多角化と同時に、エネルギー調達に関わる数値目標と達成期限を政府が国民に明示することが必要です。「形になりつつある」という現状報告だけでなく、いつまでに何%を非中東ルートに切り替えるのか、具体的な数値目標と工程表を示す責任が政府にはあります。

「数値目標なしの『形になりつつある』では困る。国民はいつ、どれくらい安定するかを知りたい」
「エネルギー安全保障の観点から原子力も含めた総合的な政策を早急に議論すべきだ」

まとめ


  • ENEOSが調達したアゼルバイジャン産原油タンカーが2026年5月12日正午ごろ横浜市の根岸製油所に到着予定
  • 積荷は約28万3000バレル(日本の1日消費量の約12%)
  • 米国・イスラエルのイラン攻撃とホルムズ海峡封鎖以降、中央アジア産原油が日本に到着するのは初
  • INPEXがカスピ海沖のACG油田(出資比率9%程度)の権益を持ち、日本向け優先供給の方針を3月に決定
  • 輸送ルートはBTCパイプライン→地中海→スエズ運河経由でホルムズ海峡を通過しない
  • CPCパイプラインへのドローン攻撃など代替ルートにもリスクが存在し、「分散」と「複雑化」の両面がある
  • 資源エネルギー庁は「形になりつつある」と評価するが、政府は具体的な数値目標と工程表の公表が必要

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2026-05-12 10:14:36(植村)

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