2026-04-17 コメント投稿する ▼
犯収法改正案が参院を通過 大門実紀史議員、架空名義口座の「おとり捜査」的運用に警鐘
特殊詐欺対策を強化する目的で提出された犯罪収益移転防止法(犯収法)改正案が、2026年4月17日の参院本会議で自民・立民・共産党などの賛成多数で可決されました。改正案は口座不正譲渡の罰則強化や送金バイトへの罰則新設に加え、警察官が架空名義で口座を開設し犯行グループに譲渡できる制度を新設します。日本共産党の大門実紀史参院議員はこの手法が「おとり捜査的な部分がある」と指摘し、法的根拠が不明確なまま運用が広がることへの懸念を示しました。
特殊詐欺急増を受け犯収法改正案が参院可決 3つの柱とは
特殊詐欺の対策強化を目的とした犯罪収益移転防止法(犯収法)の改正案が、2026年4月17日の参院本会議で自由民主党(自民)、立憲民主党(立民)、日本共産党(共産党)などの賛成多数で可決されました。
同改正案の柱は3点です。第1に預貯金通帳の不正譲渡などへの罰則引き上げ、第2に資金洗浄の新手口として急増するいわゆる「送金バイト」への罰則新設、第3に金融機関と警察が連携し、警察官が架空名義の口座を開設して犯行グループに譲渡できる制度の導入です。
特殊詐欺の被害は急速に悪化しています。2024年の特殊詐欺被害額は約722億円で前年比約59%増となり過去最多を記録し、SNS型投資・ロマンス詐欺を含めると被害総額は約1,990億円に達しました。2025年上半期の特殊詐欺被害額は約597億円と前年同期比162%増のペースで推移しており、事態はさらに深刻になっています。
大門実紀史議員が架空名義口座の運用に警鐘 「グレーゾーンあり」
共産党の大門実紀史参院議員は2026年4月16日の参院内閣委員会で、架空名義口座の制度について「外形的にはおとり捜査的な部分がある」と指摘しました。
大門氏は、おとり捜査は刑事訴訟法にも規定がなく、2004年の最高裁判例があるだけだと述べたうえで、「犯罪に及ぶと決めている者に対するおとり捜査は適法とされる。ただし、適法か違法かにはグレーゾーンがあり慎重な対応が必要」だと強調しました。
さらに「個別行政法でおとり捜査の違法性は阻却されていると説明しているが、身分を偽る行為の詳細等が明らかにされていない」として、慎重な運用を強く求めました。
「被害者からもっと早く取り締まれという声が出るのは当然のことだと思う」
「口座を売り渡した若者が騙されて加担してしまうケースも多いはず。救済も必要だ」
「警察が偽名で口座を開くって聞いて正直びっくりした。法律で明確にしてほしい」
「おとり捜査的な手法がなし崩しに拡大しないか心配。国会でもっと議論すべき」
「送金バイトも罰則ができたなら、若者が詐欺に引き込まれる前に止められるかもしれない」
刑事訴訟法に根拠規定なし 法的整備の不備が問題の核心
今回の改正案で新設された架空名義口座の制度は、警察官が金融機関の協力を得て偽の名義で口座を開設し、詐欺犯行グループにその口座を渡す仕組みです。犯行グループが口座を悪用しようとした瞬間に証拠を押さえることで、取り締まりを強化する狙いがあります。
しかしこの手法には法的な問題が潜んでいます。警察が身分を偽って相手を誘導するおとり捜査は、捜査当局による意図的な違法行為への誘導につながるリスクがあるため、刑事訴訟法には明文の規定がありません。2004年の最高裁判例が適法性の境界線を示してはいますが、違法とのグレーゾーンは依然として残っており、捜査の逸脱を許す余地があります。
法律上の根拠が不十分なまま警察による身分偽装の捜査手法が拡大することは、監視社会への歯止めをなくす危険性をはらんでいます。市民が身分確認を求めたり情報開示を求めたりする手段が担保されないまま運用が始まれば、事後的な検証も困難になりかねません。
警察庁は「適正運用」を確約 施行後の監視が鍵
警察庁の大濱健志組織犯罪対策部長は参院内閣委員会で「本法案の措置、施行について適正に行われるよう警察庁としてもしっかり指導する」と答弁し、「各都道府県警察の公安委員会において間違いのない実施を行いたい」とも述べました。
今回の犯収法改正案は参院先議で成立後、衆院でも審議が予定されています。特殊詐欺の被害が拡大し続ける中、対策の必要性は論をまちませんが、架空名義口座のような新たな捜査手法を導入する際には、その運用が適法の範囲を逸脱しないよう、立法による明確な根拠規定と国会による継続的な監視が不可欠です。大門氏が求めた慎重な運用の確保がどこまで徹底されるか、今後の施行状況に注目が集まっています。
まとめ
- 2026年4月17日、犯収法改正案が参院本会議で自民・立民・共産党などの賛成多数で可決された
- 改正案の3本柱は①口座不正譲渡への罰則強化、②送金バイトへの罰則新設、③架空名義口座の導入
- 2024年の特殊詐欺被害額は約722億円で過去最多、SNS型詐欺を含めると約1,990億円に達した
- 大門実紀史参院議員は架空名義口座が「おとり捜査的」であり、2004年の最高裁判例に依拠するだけでは不十分と指摘した
- おとり捜査は刑事訴訟法に明文規定がなく、適法・違法の「グレーゾーン」が存在する
- 警察庁の大濱健志組織犯罪対策部長は「適正に実施するよう指導する」と答弁したが、具体的な運用基準は明らかになっていない
- 法的根拠なき身分偽装捜査の拡大は監視社会につながる懸念があり、立法による整備と国会監視が今後の課題