横浜市立中学で異物混入366件、食の安全への警鐘 デリバリー給食の現実に迫る

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横浜市立中学で異物混入366件、食の安全への警鐘 デリバリー給食の現実に迫る

横浜市の市立中学校で、2025年度(令和7年度)に提供されたデリバリー方式の給食から、366件もの異物が検出されていたことが、本紙の独自調査で明らかになりました。 それに対し、横浜市は義務教育学校を除く市立中学校143校でデリバリー方式の継続を表明しており、食の安全よりもコストや効率を優先しているのではないかとの疑念を抱かせるものです。

横浜市の市立中学校で、2025年度(令和7年度)に提供されたデリバリー方式の給食から、366件もの異物が検出されていたことが、本紙の独自調査で明らかになりました。これは前年度から増加しており、学校給食の全生徒対象化という大きな節目を迎えた矢先の出来事であり、保護者や地域住民の間に深刻な不安を広げています。子供たちの健康と安全を最優先すべき学校給食において、なぜこのような事態が繰り返されるのでしょうか。

背景

給食制度変更で拡大したデリバリー方式の課題
横浜市は2024年4月より、市立中学校における給食提供方法を大きく変更しました。それまで希望者のみが利用できたデリバリー方式を、原則として全生徒が対象となる形へと転換したのです。これにより、給食の提供数は大幅に増加し、2025年度には約793万食に達する見込みとなりました。

しかし、このデリバリー方式は、給食会社が調理した食事を各学校へ配送する形態をとっています。この方法には、調理から喫食までの時間が長くなることや、配送中の温度管理の難しさなど、自校方式(学校内で調理する方式)にはない潜在的なリスクが伴います。今回の異物混入多発は、こうしたデリバリー方式の構造的な問題が表面化したものと言えるでしょう。

異物混入の実態

小学校を大幅に上回る中学校の発生率
2025年度、横浜市立中学校144校で提供された給食において、毛髪や虫、さらには金属片といった異物の混入が合計366件報告されました。これは、前年度(2024年度)と比較して24件の増加にあたります。

1校あたりの年間平均発生件数は約2.54件に達しており、これは単純計算で、2校に1校以上の割合で異物混入が発生している計算になります。

中でも、金属片など「重大な健康被害に至る可能性のある混入」は6件確認されており、子供たちの食の安全が脅かされていた実態が浮き彫りになりました。

一方、自校方式で給食を提供している市立小学校では、同年度に94件の報告でした。提供食数あたりの混入率で比較すると、中学校(デリバリー方式)の発生率は小学校(自校方式)の10倍近い、異常な状況が続いているのです。これは、デリバリー給食の安全管理体制に、根本的な問題があることを示唆しています。

行政の対応

緩すぎる基準と「改善」への疑問
この問題の背景には、横浜市が独自に定める給食衛生管理基準が、国の基準よりも著しく緩い点が指摘されています。

例えば、文部科学省は学校給食衛生管理基準において、「調理後2時間以内」の提供を推奨しています。しかし、横浜市はこの基準をデリバリー方式には当てはまらないと解釈し、独自の検証結果などを根拠に、「原則4時間以内」としています。

さらに深刻なのは、保管温度に関する基準です。厚生労働省の「大量調理施設衛生管理マニュアル」では、食中毒菌の増殖を抑制するため、調理された食品は「10度以下または65度以上」での保管を求めています。これに対し、横浜市はデリバリー時に「汁物は60度以上、おかずは19度以下」という基準を設定しています。これは、食中毒リスクを高めかねない基準と言わざるを得ません。

神奈川県内の他の政令市、例えば相模原市も同様の緩い基準を採用していますが、同市は2025年12月以降、段階的に自校方式やセンター方式への移行を進める方針です。それに対し、横浜市は義務教育学校を除く市立中学校143校でデリバリー方式の継続を表明しており、食の安全よりもコストや効率を優先しているのではないかとの疑念を抱かせるものです。

市教育委員会は「異物混入が続いていることは認識している。しっかり改善に努めていきたい」とコメントしていますが、その言葉通りに実効性のある対策が講じられるのか、大いに疑問が残ります。市民が安心して子供たちを学校に送り出すためには、より厳格で具体的な改善策が不可欠です。

現場の混乱と保護者の負担


給食の提供体制にも混乱が見られます。本来、生徒が選べるはずのご飯のサイズ選択が、4月当初は準備不足で実施されず、一律「中」サイズでの提供となりました。5月からの改善予定も、いまだ実現していない状況です。このような現場の混乱は、食の安全という最重要課題への取り組み姿勢にも影響を与えかねません。

また、このデリバリー給食1食あたりの実費は972円にも上ります。そのうち保護者負担は330円ですが、残りの642円は公費、すなわち市民の税金によって賄われています

安全性が十分に確保されていない可能性のある給食に、多額の公費が投入されている現状は、税金の使われ方としても問題視されるべきでしょう。

ある中学校長は「市教委と業者で対策を徹底していただくしかない」と述べており、現場の教師も、教育委員会と業者任せにならざるを得ない状況に、もどかしさを感じていることがうかがえます。子供たちの食の安全を守るためには、行政のリーダーシップと、業者への厳格な管理監督が不可欠です。

まとめ


  • 横浜市立中学校で2025年度、給食の異物混入が366件報告され、前年度から増加した。
  • デリバリー方式を採用する中学校の異物混入発生率は、小学校(自校方式)よりも著しく高い。
  • 横浜市の給食衛生管理基準は国の基準より緩く、食の安全への懸念がある。
  • 全生徒対象の給食拡大というタイミングでの事態発生は、保護者の不安を増大させている。
  • 給食提供における現場の混乱や、高額な実費、公費負担の問題も指摘されている。
  • 市教委は改善を表明しているが、実効性のある対策と厳格な管理が求められる。

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2026-05-11 16:33:42(櫻井将和)

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