2026-10-28 コメント投稿する ▼
国家サイバー統括室、年収1,500万円以上の人材採用ゼロ 安野貴博氏が質疑
国家サイバー統括室が、年収1,500万円以上の待遇でサイバー人材を採用した実績はないと、2026年10月28日の国会で明らかになりました。質疑に立ったのは、安野貴博氏(チームみらい党首・参議院議員)です。安野氏の調査では、公的機関への協力を見送った人の約半数が報酬水準を理由に挙げました。古川俊治デジタル大臣は特別な配慮が必要との考えを示し、高市早苗首相は緊急対策パッケージの早急な検討を指示しています。
国家サイバー統括室で判明、年収1,500万円以上の人材採用実績はゼロ
国の守りを担うサイバーセキュリティの専門人材をめぐり、驚きの事実が国会で明らかになりました。政府は2026年10月28日の国会で、内閣官房の国家サイバー統括室が年収1,500万円以上の待遇で職員を採用した実績はないと明らかにしました。サイバー攻撃が相次ぐなか、守りの要となる組織の人材確保のあり方が問われています。
質疑に立ったのは、安野貴博氏(チームみらい党首・参議院議員)です。2026年10月28日、参議院のデジタル社会の形成及び人工知能の活用等に関する特別委員会で、「これまで年収1,500万円以上の処遇でサイバーセキュリティの専門人材を採用した実績は何件あるか」と質問しました。
安野氏がXで明らかにしたところでは、統括室からは、過去10年ほどで確認できる範囲では、前身の組織を含めて実績はないとの答弁がありました。制度上は1,500万円を超える水準でも採用できますが、その水準で募集したこと自体がなかったということです。統括室は2025年7月1日に内閣官房に設置され、前身は内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)です。
「10年近くも1,500万円以上の採用がゼロというのは衝撃です。これでは優秀な人が国に来てくれないのも当然だと思います。」
「国を守る組織なのに、専門人材の待遇が後回しにされてきたと知って驚きました。」
安野氏は、想像以上にセキュリティ専門家の処遇改善が進んでいないことに驚いたと投稿しています。
民間のトップ人材には最低水準の年収1,500万円、報酬が協力の壁に
安野氏は質疑に先立ち、AIによるインタビューで声を集めました。情報漏えいの被害にあった人、専門家、事業者あわせて1,562名から意見を聞き、セキュリティ人材の待遇については405名から回答を得たといいます。国や公的機関の仕事に関わった、声をかけられた、協力を考えたという人は160名を超え、そのうち協力を見送った人の約半数が、理由に「報酬水準」を挙げたそうです。
情報セキュリティ系の企業への事前の聞き取りでは、1,500万円はトップレベルの人材を雇うときの最低水準で、大企業では2,000万円以上を出す企業も多いと分かったといいます。民間では最低ラインとされる水準でさえ、国の組織では確認できる範囲で一度も募集されてこなかったことになります。
調査の結果からは、報酬が公的機関への協力をためらう大きな理由になっていることがうかがえます。専門家の力を借りたくても、条件が合わなければ来てもらえないという現実があります。
「民間なら2,000万円以上出す会社もあると聞くと、国の待遇との差が大きすぎると感じます。」
古川俊治デジタル大臣は処遇改善に前向き、緊急対策パッケージが焦点に
安野氏によると、古川俊治氏(デジタル大臣)は、今の水準ではこうした人材が取れないのは当然で、サイバーに限った問題ではないと答弁しました。そのうえで、国民の安心が脅かされる事態には特別な配慮が必要だとして、努力していく考えを示したということです。安野氏は、大臣が前向きな姿勢を示したことを大きな前進と受け止めています。
働き方についても答弁がありました。安野氏によると、統括室はテレワークについて、業務の必要性や特性に応じて設定でき、希望に応じて柔軟に行うと説明したそうです。安野氏は、報酬に加えて、リモート勤務や兼業を含む働き方の面でも、民間の専門家が力を貸しやすい環境づくりを求めていく考えです。
「大臣が特別な配慮が必要と答えたのは前進だと思います。口先で終わらせず、本当に給与を見直してほしいです。」
政府も動き出しています。高市早苗氏(首相)は2026年10月26日、首相官邸で開かれた第1回サイバーセキュリティに関する関係閣僚会議で、財政措置を含めた早急な検討を指示しました。緊急対策パッケージについては、2026年10月26日の翌週中をめどに取りまとめるよう求めています。安野氏は、パッケージのなかでも処遇改善は極めて重要だとして、自らも強く求めていく考えを示しています。
相次ぐ情報漏えいと、「AIにはAIを」で問われる守る人への投資
背景には、企業の個人情報漏えいが相次いでいる状況があります。民間の調査会社の集計では、2026年に上場企業とその子会社が公表した100万件以上の個人情報漏えいは、2026年10月5日時点で10件にのぼりました。2025年は通年で6件でした。
「情報漏えいのニュースが続いているのに、守る人の待遇が後回しだったとは驚きです。」
攻撃する側がAIを使う時代になり、守る側にも新しい備えが求められています。安野氏によると、統括室は防御側もAIを積極的に活用する必要があるとの認識を示し、2026年5月に策定した「プロジェクトYATA-Shield」に基づいて、AIを使った重要システムの弱点(脆弱性)の点検に取り組んでいると答弁しました。総理から前倒しの指示が出ていることも説明されたといいます。
政府機関のシステム点検は、ガイドラインで年1回程度が望ましいとされています。AIの攻撃能力は数か月ごとに高まっているため、安野氏は年1回では追いつかないとして、AIを使った継続的な点検を標準にすべきだと提案しました。民間企業については、経済産業省が、2027年3月に始まるSCS評価制度で、深刻度の高い弱点には原則14日以内の対応を求めると答弁したそうです。
安野氏は「AIにはAIを」と訴えたうえで、それを担う人がいなければ守りは固まらないとしています。サイバー人材の処遇改善が緊急対策パッケージでどこまで具体的に示されるのか、引き続き注視が必要です。
まとめ
- 国家サイバー統括室は、年収1,500万円以上の待遇で職員を採用した実績がないと、2026年10月28日の国会で明らかになりました
- 安野貴博氏によると、制度上は可能でも、その水準で募集したこと自体がなかったということです
- 安野氏の調査では、公的機関への協力を見送った人の約半数が、理由に報酬水準を挙げました
- 古川俊治デジタル大臣は、特別な配慮が必要として努力していく考えを示しました
- 高市早苗首相は2026年10月26日、緊急対策パッケージの早急な検討を指示しました
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