2026-04-29 コメント投稿する ▼
110億円返還逃れか 障害者支援事業の絆HD、大阪市を提訴 市長「断固争う」
大阪市は、福祉関連会社「絆ホールディングス(HD)」傘下の事業所が障害者就労支援に関する給付金を不正に過大受給したとして、約110億円の返還を求めていました。 報道によると、絆HD傘下の事業所では、利用者を一時的に事業所の運営スタッフとして雇用した後、再び利用者に戻すという手法を繰り返していたとされています。
制度悪用の疑い、背景に複雑な手口
問題となっているのは、障害のある方々が就労する機会を支える「就労継続支援A型」事業における給付金の扱いです。この事業では、一定の基準を満たすことで国や自治体からの給付金が支払われます。報道によると、絆HD傘下の事業所では、利用者を一時的に事業所の運営スタッフとして雇用した後、再び利用者に戻すという手法を繰り返していたとされています。この一連のプロセスを通じて、本来支払われるべきではない加算金を含めた給付金を過剰に受け取っていた疑いが持たれています。
大阪市はこの手法について、「制度の趣旨に反する不適切なもの」と厳しく指摘しています。障害者の就労支援という本来の目的から逸脱し、制度上の仕組みを悪用して不当に利益を得ようとしたのではないか、という疑いがかけられているのです。市は、この不正行為があったとして、3月には絆HD傘下の4事業所に対し、事業者としての指定を5月1日付で取り消すという行政処分を下しました。
110億円返還請求、業者側は「見解異なる」
大阪市が算定した返還請求額は約110億円にのぼります。これは、絆HDグループ全体で他の自治体を含めて不正に受給したとされる総額約150億円のうち、大阪市が管轄する分(約79億円)に、ペナルティとして加算される金額を上乗せしたものです。市は4月20日を支払期限としていましたが、絆HD側から納付はなかったため、提訴という事態に至りました。
一方、絆HD側の広報担当者は取材に対し、「市の請求は不正を理由にしていますが、弊社グループの見解は異なっている」と述べ、市の認定に反論する姿勢を示しました。具体的にどのような点で市の見解と異なっているのか、詳細な説明はありませんでしたが、不正受給の事実自体を争う意向であることがうかがえます。この主張の隔たりが、裁判でどのように審理されていくのかが注目されます。
市長「断固として対応」刑事告発も視野に
大阪市の横山市長は、絆HD側が提訴したことに対し、「断固として対応していく」と述べ、市の主張が正当であることを法廷で証明する構えです。さらに、今回の件について、詐欺罪での刑事告訴・告発も視野に入れて検討していることを明らかにしました。これは、単なる行政上の返還請求にとどまらず、犯罪行為の可能性も視野に入れた、極めて厳しい対応と言えます。
もし刑事告発となれば、事件の悪質性が問われ、行政処分とは異なるレベルで法的責任が追及されることになります。市民の税金が、本来の目的とは異なる形で使われた、あるいは不正に引き出された疑いがある以上、行政としては徹底的な真相究明と責任追及が求められるでしょう。
福祉制度のあり方、再考促す
今回の事件は、障害者就労支援という公的な福祉制度が、悪用された場合にどのような問題を引き起こすのかを浮き彫りにしました。制度の運用実態を監視し、不正が見過ごされないようにするためのチェック体制の重要性が改めて示された形です。また、事業者側と行政側の主張が真っ向から対立する状況は、制度の解釈や運用基準についても、より明確な指針が必要であることを示唆しています。
絆HD側が提訴したことで、裁判所は両者の主張を精査し、法的な判断を下すことになります。その司法判断は、今後の同様の事業運営や、行政による監督体制の見直しにも影響を与える可能性があります。市民としては、公的資金が適正に使われ、本当に支援を必要としている人々に届いているのか、引き続き注視していく必要があるでしょう。
まとめ
- 絆HD傘下の事業所が障害者就労支援給付金を過大受給した疑いで、大阪市が約110億円の返還を請求。
- 絆HD側は市の請求を不服として、返還請求取り消しを求め大阪地裁に提訴。
- 大阪市長は争う方針を示し、詐欺罪での刑事告発も検討。
- 市は、利用者を一時的にスタッフ雇用後、利用者に戻す手法が「制度の趣旨に反する」と判断。
- 4事業所の指定取り消し処分(5月1日付)を実施済み。
- 事件は福祉制度の運用上の課題と、公的資金の使われ方を問い直すものとなっている。