2026-09-25 コメント投稿する ▼
簗和生農水相、備蓄米の早期買い戻しで食料安全保障を強調し国民に理解要請
第2次高市改造内閣で農林水産相に就いた簗和生氏(衆議院議員)が、2025年に放出した政府備蓄米の買い戻しについて「早期に実施する」と表明しました。食料安全保障の観点から在庫水準を確保する必要があると説明し、国民の理解を求めています。背景には過去最高水準まで膨らんだコメの民間在庫と、生産コストの指標を下回る概算金に苦しむ農家の実情があります。簗氏は流通コストを可視化する食料システム法の運用に力を入れる考えを示すとともに、農家が作り続けられる適正な価格の実現を農政運営で最も重視するテーマに位置づけました。コメを取り巻く需給と価格の両面で、今後の政策運営が注目されます。
備蓄米の早期買い戻しを表明 食料安全保障を強調
高市早苗氏(首相)は2026年9月17日に内閣改造を行い、簗和生氏(農林水産相)を新たに起用しました。栃木3区を地盤とする自由民主党(自民党)所属の衆議院議員で、今回が初入閣です。党の農林部会長や畜産・酪農対策委員長などを歴任し、農業の幅広い分野に通じてきました。
簗氏は就任後のインタビューで、2025年に放出した政府備蓄米の買い戻しについて「早期に実施する」と明言しました。在庫の水準を踏まえると、買い戻しの機会を逃さずに対応する必要があるとし、食料安全保障の備えとして理解してほしいと国民に呼びかけました。食料の供給がいつ滞るかは誰にも分からず、そうした不測の事態に備える仕組みが備蓄制度との考えを示しています。
コメ余りの裏で概算金が急落 農家に募る不安
足元では、コメの民間在庫が積み上がる状態が続いています。2026年6月末時点の民間在庫は約243万トンと過去最高の水準に達しました。農林水産省の見通しによると、21万トン分の政府備蓄米を買い戻した後でも、2027年6月末の民間在庫は最大283万トンまで増える可能性があるとされています。適正とされる在庫水準は180万トンから200万トン程度とされ、現状はこれを大きく上回っています。簗氏はこうした状況について「需要に応じた生産をより徹底する。需要と供給のバランスを整えて安定させる」と述べ、生産現場を支える制度の充実に取り組む姿勢を示しました。
在庫の膨張と歩調を合わせるように、農家に前払いされる新米の概算金は各地で大きく下落しています。例えば栃木県のコシヒカリは60キログラムあたり1万5500円で、前年より45パーセントほど下がりました。業界団体の米穀安定供給確保支援機構が示した生産コストの指標は玄米60キログラムあたり2万5535円で、多くの産地で概算金がこの指標を大きく下回っています。農家からは、経営の先行きを不安視する次のような声が聞かれます。
「今年の概算金では正直やっていけません」
「肥料や燃料は上がる一方なのに収入だけ減っていく」
「このままでは田んぼを続けられる自信がありません」
「安いコメはありがたいけれど農家さんは大丈夫なのでしょうか」
「備蓄米の放出も買い戻しも後手に回っている印象です」
こうした声を受け、簗氏は概算金が指標を下回っている点について「しっかりと検証するようさっそく指示を出した。状況を把握して今後の政策に生かしていく」と述べ、実態調査を急ぐ考えを示しました。
流通コストの可視化で適正な価格形成へ
コメの価格を巡っては、生産から消費者に届くまで何段階にも分かれた流通の仕組みが分かりにくいという指摘があります。この点について簗氏は、2026年4月に施行された食料システム法の運用に力を入れる考えを示しました。同法では、コメを含む指定品目について業界団体がコストの指標を作り、公表する仕組みが導入されています。
簗氏は「価格が一度決まると流通にも影響が出てくる。コスト構造をどう見せるかが重要だ」との認識を示し、消費者の理解も得ながら、生産者が作り続けられる環境を実現するために法律をきちんと運用していく考えを強調しました。適正な価格形成の仕組みづくりは、農業を支えるうえで重要な課題といえます。
農業人口の減少に歯止め 「稼げる農業」実現を最大の課題に
簗氏はさらに、農業人口の減少に歯止めをかける必要性にも言及しました。「稼げる農業は言葉でいうほど簡単ではない。生産資材の価格が上がる中で利益の確保も難しい」と述べ、適正な価格が形成され、農家が作り続けられ、設備にも再び投資できる環境をつくることが急務との考えを示しました。その上で、この課題を自身の農政運営で最も重視するテーマに位置づける考えを明らかにしています。
備蓄米の買い戻し、概算金の検証、流通コストの可視化は、いずれも農業を続けられる仕組みをつくるという目標につながる取り組みです。コメを食べる消費者と、コメを作り続ける農家の双方が納得できる仕組みづくりに向けて、今後の農政運営が注目されます。
まとめ
・簗和生氏が第2次高市改造内閣で農林水産相に初入閣
・2025年に放出した政府備蓄米の買い戻しを「早期に実施する」と表明
・食料安全保障の観点から国民に理解を求めた
・コメの民間在庫は約243万トンと過去最高水準、2027年6月には最大283万トンの見通し
・栃木県のコシヒカリの概算金は前年比45パーセント下落、生産コスト指標を大きく下回る
・概算金の実態について検証を指示
・2026年4月施行の食料システム法でコスト構造の可視化を推進
・農業人口減少への対応として「稼げる農業」の実現を最大の課題に位置づけ
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