2026-04-09 コメント投稿する ▼
沖縄初・小児救急輪番制が始動 南部医療センターと那覇市立病院が協定締結
沖縄県南部地域の子どもたちを取り巻く医療環境が、大きく変わろうとしています。2026年4月8日、沖縄県立南部医療センター・こども医療センター(南風原町、重盛康司院長)と那覇市立病院(那覇市、外間浩院長)は、夜間・休日の小児救急を曜日ごとに分担する「輪番制」の協定を締結しました。沖縄県内の病院が同様の協定を結ぶのはこれが初めてで、2026年4月13日から運用を開始します。
小児科医師が全国最少水準なのに救急受診者は全国最多という深刻な現実
今回の協定締結の背景には、沖縄県が抱える深刻な小児医療の課題があります。沖縄県は地域ごとの小児科医師の数の割合が全国44位と最も低い水準にある一方で、診療時間外の小児救急受診者数は年間7000人を超え、全国で最も多い状況です。しかも、夜間や休日に初期救急医療を提供する「休日夜間急患センター」が県内に設置されておらず、在宅当番医制も実施されていません。
その結果、軽症の子どもを含むすべての患者が病院の救急窓口に集中し、医療現場のひっ迫が深刻な問題となっていました。これまで南部地域の小児救急の要として、南部医療センター・こども医療センターが事実上365日にわたって対応を担い続けてきましたが、医療スタッフの負担は限界に近づいていました。那覇市立病院でも休日や夜間に軽症の患者が集中し、緊急性の高い重症患者への迅速な対応に支障が生じるケースが増えていました。
月曜から日曜まで2病院が分担、4連休は両院で対応
新たな輪番制では、南部医療センターが月・火・木・土曜日を担当し、那覇市立病院が水・金・日曜日を担当します。対応時間は平日が午後5時から翌朝午前8時30分まで、土日・祝日・慰霊の日は午前8時30分から翌朝午前8時30分まで終日対応します。ゴールデンウィークや年末年始など4連休以上の期間については、両病院がともに小児救急に対応する仕組みとなっています。
なお、各病院にかかりつけの患者が病状悪化した場合など、緊急性が高い場合は輪番に関わらず各院がそれぞれ対応します。また、両病院は診療時間以外での相談に対してオンライン診療サービス「キッズドクター」の利用を呼びかける方針です。
「地域全体で子どもを守る」、協定締結式で院長が決意表明
2026年4月8日、南風原町の南部医療センター・こども医療センターで協定締結式が執り行われました。南部医療センターの重盛院長は「医師の働き方にも向き合いながら、子どもたちの医療の未来をしっかりと築いていかなければならない」と話しました。那覇市立病院の外間院長は「南部医療圏の小児救急医療を次の段階とする大きな一歩だ。持続可能で質の高い体制へと進化させていく」と述べました。
「子どもが夜中に熱を出すたびにどこに連れて行けばいいか不安だった。輪番制になれば少し安心できそう」
「担当する医師への負担が一極集中していたと聞いて申し訳なかった。これで先生たちも少し楽になれるといい」
「那覇周辺は夜間に診てくれる小児科がなくて本当に困っていた。今回の協定は本当に大きな前進だと思う」
「7000人超えの時間外受診者数、数字で見ると改めて医療崩壊の瀬戸際にいたんだなと怖くなった」
「県の小児科医師数が全国44位って初めて知った。子育て支援と医療体制の整備は両輪でないといけないと感じる」
課題は「かかりつけ医の活用」と「医師確保」、持続可能な体制構築が鍵
今回の輪番制導入は小児救急体制の改善に向けた大きな一歩ですが、課題も残ります。最大の問題は、「コンビニ受診」と呼ばれる軽症患者の夜間救急への安易な集中です。那覇市はすでに「ストップ!コンビニ受診」を掲げ、救急医療の適正利用を呼びかけています。深夜に受診すべきかどうか迷った場合には、小児救急電話相談(「#8000」)を活用することも、医療体制を守る上で重要です。
また、輪番制が機能するためには、両病院それぞれに十分な小児科医師が確保されていることが前提となります。沖縄県内の小児科医師不足は構造的な問題であり、今回の協定が持続可能なものとなるためには、県全体で医師確保と育成に取り組む中長期的な視点が欠かせません。今回、沖縄県内で初めて実現した病院間の輪番制協定が成功すれば、他の地域への拡大や、より多くの医療機関が参加する体制への発展が期待されます。
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まとめ
- 2026年4月8日、南部医療センター・こども医療センターと那覇市立病院が小児救急輪番制の協定を締結(沖縄県内初)
- 2026年4月13日から運用開始
- 南部医療センターが月・火・木・土曜日、那覇市立病院が水・金・日曜日を担当
- 平日は午後5時〜翌朝8時30分、土日祝・慰霊の日は終日対応
- 4連休以上は両病院が同時対応
- 沖縄県の小児科医師数は全国44位(最低水準)だが時間外小児救急受診者は全国最多(年間7000人超)
- 夜間・休日対応の小児救急診療所が県内に存在しないことが問題の根本
- 両院は診療時間外の相談にオンライン診療「キッズドクター」を活用するよう呼びかけ