2025-05-09 コメント投稿する ▼
マンション法改正が進行:老朽化物件の管理強化と外国人所有者対応で新たなルール策定へ
マンション法改正の議論が加速 既存マンションの活用と外国人所有者対応が焦点
鳩山紀一郎議員は5月9日、衆議院国土交通委員会でマンション法改正に関する質疑を行い、既存マンションの活用、外国人所有者の増加、損害賠償請求権の取り扱いについて議論が交わされた。今回の改正は、全国で老朽化が進むマンションの管理問題に対応しつつ、外国人所有者への適切な対応を確保することを目指している。
既存マンションの管理強化とセーフティネット化
築40年以上の分譲マンションは、2021年末時点で約116万戸に達し、今後も増加が予測されている。これに伴い、管理が行き届かず、放置される「管理不全マンション」の問題が深刻化している。鳩山議員は、これらのマンションをセーフティネット住宅として活用する案を提案。具体的には、国が買い取り、住宅確保要配慮者向けに提供することで、社会的弱者の住居確保を支援する構想だ。
しかし、実際には管理不全マンションの改修費や運営コストを誰が負担するのかという課題も残る。専門家は、地域ごとの事情に合わせた柔軟な対応が必要だと指摘している。
外国人所有者の増加と管理問題
都市部を中心に、外国人によるマンション所有が増加しており、特に東京の一部地域では外国人オーナーが全体の20%を超えるケースもある。この状況に対し、管理組合と連絡が取れず、管理費が未納になる問題が発生している。
鳩山議員は、こうした問題に対処するため、外国人所有者に対し「国内管理人制度」の導入を提案。外国に在住する所有者に代わり、国内に住む管理人が管理費の支払い手続きや通知受領を担当することで、管理の安定性を確保する狙いだ。
さらに、外国人所有者への多言語でのルール説明も提案され、国際的な居住環境に対応したガイドラインの整備が求められている。
損害賠償請求権の取り扱いが議論に
改正案では、損害賠償請求権についても新たな規定が設けられた。これまで、マンションを売却した元所有者は、その後に発生した損害に対する請求権を失うことが一般的だったが、改正案では元所有者が「別段の意思表示」をすることで、損害賠償請求権を保持できる仕組みが導入される。
鳩山議員は、これにより旧所有者が不正に請求権を保持し続けるリスクを指摘。さらに、訴訟における請求権の取り扱いが複雑化する可能性も指摘し、明確なガイドラインの策定を求めた。
今後の展望と課題
今回のマンション法改正は、老朽化マンションの管理強化と外国人所有者問題の対応を図る重要な一歩だが、実際の運用には課題も多い。
* 既存マンションのセーフティネット住宅化は、コスト負担の仕組みが不明確。
* 外国人所有者への対応には、多言語ガイドラインの整備と管理体制の強化が必要。
* 損害賠償請求権に関するルールは、裁判実務における明確化が不可欠。
マンションの所有者、管理組合、さらには行政が連携し、実効性のある法制度と運用を確立することが求められている。