2025-04-28 コメント投稿する ▼
マネーストック増加でも生活苦 鳩山紀一郎氏が格差拡大の実態と対策を提言
マネーストック増加と国民生活の乖離
鳩山紀一郎衆院議員は自身のX(旧Twitter)で、「マネーストックが増加しているにもかかわらず、なぜ国民生活は苦しいのか」という質問に対し、丁寧な説明を投稿した。鳩山氏は「日本のマネーストック(個人や企業が保有するお金の合計)は増えている」とし、2015年の約1200兆円から現在は約1600兆円に達していると具体的な数値を挙げた。また、個人金融資産も約1800兆円から2200兆円超へと増加している。
一方で、鳩山氏は「国民一人一人が豊かになったわけではない」と指摘する。個人資産の平均値は約2000万円とされるが、これは一部の富裕層による資産集中の影響であり、多くの現役世代は数百万円しか保有していないのが現実だという。
実質賃金の低下と格差拡大
さらに鳩山氏は、「実質賃金が低下し続けている」という厳しい現状を強調した。1990年代後半以降、日本の実質賃金は基本的に減少傾向にあり、直近10年間でも約3%下落している。インフレ率を上回る賃金上昇ができなかったため、労働者の購買力は削がれ、生活苦が深刻化している。
企業側はコスト増加に対応するために価格転嫁を進める一方、賃金には十分に反映されておらず、結果的に企業利益や株主の資産拡大に寄与している。この構図が「資本主義の宿命としての格差拡大」につながっていると鳩山氏は訴える。実際、資産格差は急速に進行しており、国内でも上位1%が個人資産の約2割を保有しているとの調査結果もある。
鳩山氏が提唱する解決策
鳩山氏は、所得税の減税(基礎控除の拡大)や、財政支出の合理化といった生産性向上策を重要視している。ただ、それだけでは格差是正には不十分だと指摘し、資産課税へのシフトも提言する。特に金融所得課税の強化やストック課税(資産に対する課税)の導入について、国民的議論を呼びかけた。
また、単に所得税・消費税を減税し、資産課税も減税するという「減税一辺倒」の政策では、格差拡大に対応できず、むしろ社会不安が広がるリスクがあると警鐘を鳴らした。鳩山氏は「簡単な議論ではないが、諦めずに発信し続ける」と意欲を示している。
今後の展望と課題
現代日本において、インフレ進行下での実質賃金低下、富裕層への資産集中、そして社会的格差の拡大は深刻な課題である。経済界では「トリクルダウン理論」の限界が指摘されて久しく、政府にも再分配機能の強化を求める声が強まっている。
鳩山氏の問題提起は、単なる批判にとどまらず、具体的な対策まで踏み込んでいる点が注目される。今後、資産課税のあり方を巡る議論が活発化すれば、日本社会における税と再分配の本質が問われることになるだろう。