世田谷区が空襲被害者6人に見舞金認定 都内初の条例で国の論議に火

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世田谷区が空襲被害者6人に見舞金認定 都内初の条例で国の論議に火

東京都世田谷区は、太平洋戦争中の空襲などで負傷し障害が残る民間人に1人3万円の見舞金を支給する条例を都内自治体として初めて制定しました。2026年5月27日の区議会福祉保健常任委員会で、1次申請を受け付けた人のうち6人を認定し、6月に支給する見通しが明らかになりました。一方、国会では超党派の議員連盟が一時金50万円の支給を柱とする救済法案の原案を決定しましたが、自由民主党(自民)内の「戦争被害受忍論」を根拠とした反発により通常国会での提出は見送られました。80年にわたる民間被害者の放置という現実に、地域から国への問いかけが始まっています。

都内初の条例で1次申請6人を認定


東京都世田谷区は2026年5月27日の区議会福祉保健常任委員会で、太平洋戦争中の空襲などで負傷した民間被害者6人を見舞金の支給対象として認定したことを明らかにしました。

区は学識経験者や医師らでつくる審査会で2026年5月に審査を行い、1次申請期間(2026年1月15日~3月末)に申請した人のうち、やけどが残る4人と欠損などの障害を持つ2人の計6人を認定しました。6月中に1人当たり3万円の見舞金が支給されます。

区によると、認定された6人のうち2人は語り部を希望しており、区は区立施設「せたがや未来の平和館」に情報を共有したといいます。被害者の体験を次世代へと語り継ぐ取り組みにもつながる形で、支援の輪が広がっています。

戦争で苦しんだのは兵士だけじゃない。やっと光が当たった気がする

区は引き続き事業を周知していく方針で、2次申請は2026年9月末まで、3次申請は2026年10月から2027年3月12日まで受け付けます。

「軍人には補償、民間人は放置」80年の不公平


今回の条例は、戦後80年の節目に空襲被害者への「いたわりとお見舞いの気持ちを表す」とともに、国の救済制度の議論を後押しする目的で制定されました。都内の自治体で同趣旨の条例を定めたのは世田谷区が初めてです。

対象となる「民間空襲等被害者」は、1941年12月8日から1945年9月7日までの空襲や艦砲射撃で負傷し、恩給法や原爆被爆者援護法などの適用を受けていない人と定義しています。対象者は2026年1月1日時点で区内在住1年以上で、身体・精神障害者手帳を持つ人や区長が準ずると認める人で、区は約90人を見込んでいます。

3万円は少ないと思うが、国が動かない中で区が動いた意義は大きい

保坂展人・世田谷区長は条例制定時の区議会で「国は軍人・軍属への補償を進めてきたが、民間人には救済が届かない現実がある。戦後80年の節目に、何ができるか真剣に検討した」と訴えました。戦争によって傷を負ったのは軍人だけではないという当然の事実が、これほど長い年月にわたり行政の目から外れてきたことは、深刻な問題といわざるを得ません。

条例案は区議会で賛成31、反対18で可決成立しました。自民党などが「効果が見えない」「区長のパフォーマンス」などとして反対する一方、日本共産党(共産)などが賛成に回りました。

自民党の「受忍論」が壁に 国の法案は提出見送り


国会でも動きがありました。超党派の「空襲議連」(会長・平沢勝栄・自民衆院議員)は2025年5月、障害が残った生存者への一時金50万円の支給を柱とする救済法案の原案を正式決定しました。議連が2015年に発足してから10年目にして初めての原案決定で、被害者たちは「一歩前進した」と涙を浮かべました。

法案では、推定3200人の対象者に対し総額16億円の支給を想定し、国による実態調査や追悼施設の設置も盛り込んでいました。しかし、自民党執行部は「戦争被害受忍論」を根拠に難色を示し、2025年6月の通常国会閉幕時には法案提出が見送られました。

受忍論で何十年も放置してきた自民党の姿勢こそ問われるべきだ

「戦争被害受忍論」とは、戦争など国の存亡を懸けた非常事態で受けた被害は「やむを得ない犠牲」として国民が等しく受け入れなければならないとする考え方で、1968年の最高裁判決を根拠としています。しかし軍人・軍属はすでに補償を受けており、民間人だけが80年間切り捨てられてきたことに、合理的な説明は見当たりません。国民のための政治であれば、この不均衡に正面から向き合う責任があります。

語り部になってくれる人がいてよかった。記録を残すことが大切だと改めて思った

超党派議連は次の臨時国会での法案成立を目指す考えを示しています。戦後80年を経てなお続く民間空襲被害者の置き去りに、国がいつまでも向き合えないでいる現状を、世田谷区の小さな取り組みが変える力になることが求められています。

世田谷区だけでなく全国の自治体に広がってほしい。時間がない

まとめ


・世田谷区が都内自治体で初めて民間空襲等被害者への見舞金支給条例を制定(2025年12月5日、区議会で賛成31・反対18で可決成立)
・1次申請(2026年1月15日~3月末)の審査結果、6人(やけど4人、欠損2人)を認定し6月に3万円を支給
・認定者のうち語り部希望者2人の情報を「せたがや未来の平和館」と共有
・2次申請は2026年9月末まで、3次申請は2026年10月~2027年3月12日まで
・国会の超党派「空襲議連」(会長・平沢勝栄自民衆院議員)が一時金50万円支給の法案原案を決定したが、自民執行部の「戦争被害受忍論」を理由に通常国会では法案提出を見送り
・対象者(推定3200人)は高齢化が進んでおり、立法による救済は急務

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2026-05-28 11:58:23(植村)

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