2026-05-13 コメント投稿する ▼
那覇市・民生委員不足が深刻 定員502に対し約360人 知念覚市長が啓発に動く
2026年5月12日の「民生委員・児童委員の日」に合わせ、那覇市で啓発セレモニーが開かれ、知念覚市長が1日民生委員として高齢者宅を訪問しました。訪問先の93歳女性との心温まる会話が場を和ませる一方、那覇市内の民生委員は定員502人に対して約360人にとどまる深刻な人手不足が続いています。民生委員は医療・介護・子育てなど幅広い相談を受け行政につなぐ無報酬のボランティアで、全国でも欠員が1万人を超えるなど担い手不足が社会問題になっています。市は今後も啓発活動を通じて民生委員の確保に取り組む方針です。
大正時代から続く地域の支え手 民生委員とはなにか
2026年5月12日は「民生委員・児童委員の日」です。那覇市では同日、市民に民生委員の活動を知ってもらおうと啓発セレモニーが開かれ、知念覚市長が1日民生委員として市内の高齢者宅を訪問しました。
民生委員は、厚生労働大臣からの委嘱を受けて地域で活動するボランティアです。医療や介護、子育ての悩みなど、支援を必要とする人の相談に応じ、行政や専門機関へとつなぐ橋渡し役を担っています。制度の起源は大正時代にさかのぼり、100年以上の歴史を持ちます。民生委員は児童委員も兼務し、無報酬の非常勤特別職の地方公務員として位置づけられています。
那覇市民生委員児童委員連合会の中村光雄会長は「住民一人一人の抱える悩みは複雑化・多様化しております。私たち民生委員児童委員は常に住民の立場に立ち、様々な生活課題を抱える方々に寄り添い、相談相手として支援活動を重ねていきたいと思います」と述べました。
民生委員の存在をもっと広く知ってもらいたい。地域に欠かせない支え手なのに、知らない人が多すぎる
知念市長が高齢者宅を訪問 93歳女性との心温まるやり取り
啓発セレモニーの後、知念覚市長(62)が1日民生委員として市内の高齢者の自宅を訪問しました。
訪問先では、93歳の金城千恵子さんとの心温まる会話も生まれました。金城さんが「(市長は)若い!」と言うと、知念市長が「僕62歳ですよ」と答え、金城さんは「(私は)93歳ですよ!いくつかわるの?」と切り返しました。すると市長は「30歳!」と応じ、訪問先で笑いが生まれました。
このやり取りは、民生委員の日常活動の一場面そのものです。高齢者の自宅を訪問し、会話を通じて安否を確認しながら孤立を防ぐことが、民生委員の大切な役割の一つです。
市長自ら訪問活動に参加するのは大切なこと。地域の高齢者に行政が関心を持っていると伝わる
那覇市の民生委員は定員502人に対して現在約360人にとどまっており、充足率は約72パーセントと深刻な状況です。市は今回の啓発活動を通じて民生委員の確保に努めたい考えです。那覇市は今後も民生委員・児童委員の日に合わせた啓発活動を継続する方針で、広報誌やインターネットを活用した情報発信を強化していく意向です。
全国でも深刻化する民生委員のなり手不足
民生委員のなり手不足は那覇市だけの問題ではありません。全国約24万人の定員に対して欠員は1万人を超えており、定員を満たさない市区町村は全国で過半数に達するという指摘もあります。
なり手が減っている背景には、定年退職後も働き続ける高齢者の増加や、共働き世帯の増加があります。これまでなり手の中心だったシニア世代や専業主婦に委嘱しにくい状況が生まれています。民生委員の活動は無報酬であり、福祉分野から防災、消費者保護まで広い範囲に及ぶため、負担感から1期3年で退任する例も増えています。
民生委員が減れば地域の見守りの網の目が粗くなる。高齢者が孤立死しても誰も気づかない事態が増えないか心配だ
一方で、高齢社会が進む中で民生委員の役割はますます重要になっています。1人暮らしの高齢者の増加、生活困窮世帯の拡大、児童虐待の深刻化など、地域の福祉ニーズは年々多様化・複雑化しています。
担い手確保には制度整備と社会の関心が必要
民生委員のなり手不足への対応策として、自治体によっては民生委員の活動を補佐する「協力員」制度を設ける動きも見られます。また、会議や研修を夜間・休日に開催して働きながら活動できる環境を整えることや、業務を取捨選択して負担を軽減することも求められています。
民生委員制度が機能し続けるためには、制度の見直しとともに、市民一人ひとりが身近な地域の課題として関心を持つことが不可欠です。今回の那覇市の啓発活動もその取り組みの一環であり、地域福祉の担い手を増やすうえで行政と市民が連携していくことが重要です。
民生委員をやってみたいと思う人を増やすには、制度の負担感を減らす抜本的な改善が先決だ
まとめ
- 2026年5月12日の「民生委員・児童委員の日」に那覇市で啓発セレモニーが開催。知念覚市長が1日民生委員として高齢者宅を訪問。
- 訪問先の93歳・金城千恵子さんとの年齢差トークが場を和ませる一幕も。
- 那覇市の民生委員は定員502人に対し約360人、充足率は約72パーセントと深刻な欠員状態。
- 民生委員は厚生労働大臣委嘱の無報酬ボランティア。医療・介護・子育て・見守りなど幅広い活動を担う。
- 全国でも欠員が1万人超。定員を満たさない市区町村は過半数に達するとされる。
- なり手不足の背景に、シニア世代・専業主婦層の就業率上昇、無報酬・広範な職務による負担感の増大がある。
- 協力員制度の整備や夜間・休日の研修など、負担軽減の工夫が各地に広がっている。
- 那覇市は今後も広報強化を通じて民生委員の確保を続ける方針。