2026-11-04 コメント投稿する ▼
大学受験料4万円の真相:物価上昇だけではない「30年の静寂」からの目覚め
長女の大学受験に際し、4万円近い受験料に「物価高か」と感じたという音喜多駿氏。 しかし、過去のデータを見ると、大学受験料は30年近くほとんど変わらず、むしろ最近の物価上昇によって「ようやく追いついた」と見るべき側面もあるという。 大学受験料が4万円近くに達し、保護者にとっては大きな負担となっている。
受験料4万円、なぜ高くなった?
元参議院議員の音喜多駿氏は、自身のブログで、長女の大学受験(総合型選入試)で必要となった受験料について触れている。その金額は4万円近くに達し、「物価高の影響か」と感じたという。多くの方にとって、受験料といえば3万円前後という感覚が根強いのではないだろうか。この感覚は、過去の大学受験料の変遷をたどると、その理由が見えてくる。
文部科学省の資料によると、私立大学の検定料(受験料)は、1975年度には約9,647円だった。その後、1985年度には22,854円、1995年度には32,645円と、わずか20年で3倍以上に上昇した。この時期の受験経験者にとっては、「受験料は3万円強」という価格帯が一般的な認識として定着したと考えられる。
見えにくい「値上げ」の背景
しかし、この価格水準はその後、長期にわたりほとんど変動しなかった。2004年度の平均検定料は32,800円であり、1995年度とほぼ同じ水準だった。現在の私立大学の受験料(医歯学部などを除く)も30,000円から35,000円が中心であり、国公立大学の二次試験が17,000円、大学入学共通テストが3教科以上で18,000円であることを踏まえても、私立大学の受験料は約30年近く、事実上据え置かれてきたと言える。
では、この間、物価はどのように推移してきたのだろうか。関東地方の消費者物価指数は、1995年から2020年までの約25年間でわずか3%の上昇にとどまった。いわゆる「失われた30年」とも呼ばれるデフレ経済の影響が色濃く表れている。
しかし、状況は一変する。2020年を100とした場合、2025年の総合指数は111.9となり、ここ5年間で一気に1割以上上昇した。この物価上昇率を考慮して、1995年当時の3.3万円を換算すると、現在の価値では約3.8万円に相当すると推計できる。つまり、現在の4万円近い受験料という価格は、急激な「値上げ」というよりは、長らく凍結されていた価格が、ようやく現実の物価水準に「追いついた」と捉える方が、実態に近いのかもしれない。
大学側の経営圧迫と受験料
受験料が長年据え置かれてきた背景には、大学側の経営努力もあっただろう。しかし、近年の大学を取り巻く環境は厳しさを増している。私立大学協会の研究所の指摘によると、物価や施設整備費の急上昇、人件費の増大などが大学財政を圧迫しており、学納金の値上げが喫緊の課題となっている。国立大学においても、標準額を上回る授業料に改定する大学が相次いでいる状況だ。
特に、芸術大学(美大)などの場合、実技試験や個別審査に多くの教員が時間をかける必要があり、学科試験中心の学部と比べて、運営コストが高くなる傾向にある。これが、音喜多氏の長女のケースのように、受験料が相対的に高めになる一因となっていると考えられる。
家計への負担、受験料だけではない
音喜多氏も指摘するように、受験料は単なる「1校あたりの金額」では済まない。家計にとっては、受験料の総額に加え、受験に伴う様々な費用が大きな負担となる。
東京私立短期大学協会の調査によれば、受験料、交通費、宿泊費を合わせた受験費用は、自宅外通学の学生の場合、平均で273,800円に達するという。一般選抜で複数の大学や学部を併願する場合、受験料だけで十数万円、場合によってはそれ以上になることも珍しくない。
一方で、専願を基本とする総合型選抜などは、受験する大学数が限定されるため、受験料総額で見た場合は、結果的に安く済むケースもある。もちろん、それは「合格」という結果が得られた場合の話であり、親としては、受験料の負担だけでなく、子供の進路を祈る思いで支えることになる。
まとめ
大学受験料が4万円近くに達し、保護者にとっては大きな負担となっている。この状況は、単なる物価高騰の影響だけでなく、約30年間にわたってほとんど据え置かれてきた受験料が、ようやく現実の物価水準に追いついたという側面も大きい。大学側の経営環境の厳しさや、受験料以外の付随費用も含めた家計への多角的な負担を考慮すると、受験料を巡る議論は、より深く掘り下げる必要があるだろう。
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