2026-09-30 コメント投稿する ▼
静岡県、外国人材採用支援に挑むも「バラマキ」懸念の声
しかし、公的資金を投じて外国人材の獲得を急ぐこの取り組みに対し、具体的な成果目標(KPI)が不明瞭なまま進められる「バラマキ」ではないかとの懸念も指摘されている。 特に、今回の支援策において、県がどのような「高度人材」を定義し、どのような基準で選定・評価するのか、その具体的な目標設定(KGIやKPI)が不明確である点が問題視される。
県内産業を支える人材の危機
静岡県は、製造業をはじめとする多様な産業が集積する地域であるが、近年、多くの企業が深刻な人材不足に直面している。元記事が伝えるところによれば、県内企業からは「技術系人材の応募が来ない」「若手採用が年々難しくなっている」「DX推進人材を採用したい」「海外展開を見据えた人材がほしい」といった切実な声が上がっているという。こうした状況は、経済の持続的な成長にとって大きな足かせとなりかねない。
特に、技術革新やデジタル化の波に対応するためには、専門知識やスキルを持つ人材の確保が不可欠である。しかし、国内の労働人口が減少する中で、若年層の採用競争は激化の一途をたどり、企業は頭を抱えている。このような背景から、静岡県は採用市場の視野を国内から海外へと広げ、新たな活路を見出そうとしている。
「高度人材」獲得へ異例の支援策
静岡県が今回企画した「インド・ネパール高度人材オンライン就職面接会」は、こうした人材不足の課題に対する具体的なアクションと言える。主催は静岡県、共催には独立行政法人日本貿易振興機構(JETRO)静岡・浜松貿易情報センター、浜松経済同友会などが名を連ね、独立行政法人国際協力機構(JICA)中部センターや公益社団法人静岡県国際経済振興会(SIBA)も後援するなど、官民一体となった体制で臨む構えだ。
この取り組みの対象となるのは、静岡県内に事業所を有し、高度外国人材の採用を希望する企業である。面接会は2026年11月16日、12月11日、そして2027年1月15日と複数回にわたって開催される予定だ。特筆すべきは、参加費や紹介料が無料である点であり、企業側の経済的負担を軽減し、積極的な参加を促す狙いがある。県は、外国人採用に興味はあるものの不安を感じている企業に対し、この機会を活かすよう呼びかけている。
税金投入、効果測定への疑問
しかし、こうした公的支援には常に疑問符がつく。少子高齢化による国内労働力不足は喫緊の課題ではあるが、その解決策として海外からの人材誘致を公費で行うことの是非は慎重に問われるべきだ。特に、今回の支援策において、県がどのような「高度人材」を定義し、どのような基準で選定・評価するのか、その具体的な目標設定(KGIやKPI)が不明確である点が問題視される。
KGIやKPIが設定されていない公的支出は、往々にして効果測定が困難なまま、税金が浪費される「バラマキ」に繋がりかねない。国際協力機構(JICA)が後援している点も、表向きは国際貢献や開発支援を装っているものの、実質的には国内産業の労働力確保を目的とした公的資金の活用であると見られかねない。単なる労働力不足の穴埋めとして外国人材を受け入れるのではなく、それが静岡県の経済発展に中長期的にどのように貢献するのか、その明確なビジョンと具体的な評価指標が示される必要があるだろう。
また、この事業が株式会社セキショウキャリアプラスに業務委託されている点も注目される。委託費用が妥当か、そして委託先がどのような実績を上げているのか、透明性のある情報公開が求められる。
全国で広がる外国人材誘致競争
静岡県だけが、このような外国人材誘致に乗り出しているわけではない。報道によれば、兵庫県、愛知県、北海道、神奈川県など、全国各地で同様の取り組みが進められていることがうかがえる。愛知県は中国やフランスとの関係強化を進め、北海道はインドネシア人技術者向けの研修を実施。神奈川県はシンガポールへの企業団派遣を行っている。
これは、日本全体が直面する構造的な人材不足の表れであり、各国・各自治体が限られた人材の獲得競争を繰り広げている状況を示している。このような全国的な人材誘致競争の中で、静岡県が他県にない独自の強みや魅力をもって、本当に「高度」な人材を惹きつけ、定着させることができるのか。あるいは、単に全国の「バラマキ」競争に加わっているに過ぎないのか。今後の検証が不可欠である。
公的資金を用いた外国人材採用支援は、その目的と手法、そして期待される効果を厳格に評価する必要がある。単なる「支援」という美名のもとに、税金が無為に消費されることのないよう、静岡県には徹底した成果検証と説明責任が求められる。
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