2025-04-28 コメント投稿する ▼
武豊町・鳥羽悠史町長が「住民税5%減税」へ始動 30億円増収活用で財源確保に挑む
武豊町新町長、減税を最優先課題に掲げる
愛知県武豊町の新町長に就任した鳥羽悠史氏(40)が2025年4月28日、役場に初登庁した。20年ぶりとなった町長選挙を制した鳥羽氏は、選挙戦で最大の公約に掲げた「住民税5%減税」実現に意欲を示し、職員への訓示でも最初に取り組むべき課題として減税を強調した。
町議出身の鳥羽氏は、現職町長の後継と目された元副町長を接戦の末に破って初当選。初登庁では職員から拍手で迎えられ、「武豊町に新しい風を吹き込む」と力強く語った。
過去の減税実績から学ぶ厳しい現実
住民税減税を掲げた政治家といえば、2009年の名古屋市長選で圧勝した河村たかし前市長が有名だ。河村氏は公約通り就任直後に10%減税を実現させたが、その後、財源不足に苦しみ、議会との対立が激化。最終的にはリコール運動にまで発展した。恒久減税にこぎ着けたのは、減税率を5%に抑えた2012年度からだった。
また、愛知県内では同時期に半田市や大治町でも同様の動きがあったが、財源確保が難航し、いずれも減税はわずか1年で終了した経緯がある。鳥羽氏にとっても、減税実現は平坦な道ではないことは明らかだ。
町民の声 二分する期待と懸念
住民税減税について、武豊町民の間では期待と懸念の声が交錯している。
- 「物価高で苦しい中、減税は素直にうれしい」(現役世代)
- 「家計の助けになるので期待したい」(若い世帯)
- 「減税は無駄。景気が悪いのに財源は大丈夫か」(高齢者)
物価高騰や生活費の負担増に直面する現役世代にとって、住民税減税は歓迎すべき施策だが、高齢者や慎重な町民の間では、長期的な町財政への影響を不安視する声も根強い。
JERA火力発電所の税収増を原資に 議会との調整がカギ
鳥羽新町長は、住民税減税の財源として、JERAの武豊火力発電所建て替えによる固定資産税収の増加分約30億円を活用する方針を示している。また、保育園の民営化や行財政改革を進め、継続的な財源確保も図る考えだ。
「現状では約30億円の増収が見込まれている。これを有効に活用する。加えて無駄な支出の削減にも取り組む」と鳥羽氏は述べた。
一方で、減税の実現には議会の同意が不可欠であり、議会構成によってはハードルも高い。鳥羽氏は「議会との調整をうまく進める必要がある」と述べ、慎重なかじ取りの重要性を認識している。
なお、選挙戦で鳥羽氏を支援した河村たかし前名古屋市長(現衆議院議員)は、「議会が反対したらリコールだってやればいい」とエールを送り、「国全体に減税の流れを広げてほしい」と期待を寄せた。
住民税減税実現に向けた課題
- 減税公約を掲げた鳥羽新町長が初登庁し、減税実現に意欲
- 過去の名古屋市や他自治体では、財源問題や議会対立で苦戦
- 現役世代から歓迎の声、高齢者などからは財政不安を指摘
- JERA火力発電所の税収増活用と行財政改革を計画
- 議会との調整が今後の最大の焦点に
鳥羽新町長が「現役世代応援」を掲げたこの挑戦は、単なる町政の話題にとどまらず、日本全体の税制改革の議論にも一石を投じる可能性がある。今後の武豊町の動向に注目が集まる。